教育におけるノーマライゼーションについて [一般質問(1998年12月)]
〔平野みどり君登壇〕
○平野みどり君
御答弁ありがとうございました。これから国の動きを見つつ、県の教育行政に反映させていきたいという御答弁がありました。
福島県三春町というところを御存じでしょうか。ここのユニークな教育実践が全国的に注目を浴びています。総合学習をいち早く取り入れ、いわゆる詰め込みではないユニークな教育を実践し、効果を上げている自治体です。例えば、子供がみずから計画し、関係機関に電話で問い合わせをして約束を取りつけ訪問するなど、町の中に学びの場を見つけるなど、座学にはない、主体性を育てる教育実践を行っています。
実は、先月、三春町の中学校教諭である長谷川先生のお話を聞く機会を得ましたが、先生は、かつてに比べ、今は私たち教師自身が楽しく学校に行っているとおっしゃっていました。校長のリーダーシップのもと、皆がよりよい教育についてディスカッションを重ねていくのが当たり前になっているそうです。言葉は必ずしも適切ではないかもしれませんが、楽しい、わくわくする、すてきな学校でなければ、教職員、そして生徒にとって不幸な状況です。
かつて五五年体制のもと、イデオロギーをめぐっての対立の構図がさまざまな場面で見られました。学校現場においても、過去、管理職と教員の対立や緊張があったことは事実です。しかし、二十一世紀を目の前に、今こそ協働、協力して働くことで、山積する教育課題に取り組むため、より深いパートナーシップを築き、地方分権時代にふさわしい、それぞれの地域、学校に応じた円滑な学校運営がなされていくよう、リーダーシップを持つ校長と教職員が教育論議を積み重ねる場としての職員会議が、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
今回の答申で、校長の権限拡大という文言が二つの側面を持つことがよくわかりました。校長のもとに管理される教育ではなく、校長のもとに教育論議を積み重ねていける学校運営を期待したいと思います。
次に、教育におけるノーマライゼーションについて質問いたします。
これまで指摘しましたように、山積する教育問題の解決のために、子供たちにゆとりと生きる力をはぐくむ教育が急務だと考えます。そのための一つの問題提起として、国立特殊教育研究所室長落合俊郎さんの講演からの一節を御紹介いたします。
インクルージョンは、能力主義的な現在の学校教育を根本から変えることにつながる、二十一世紀の教育改革とは、単に普通教育の教育改革ではなく、障害児を受け入れた教育改革でなければならない、社会の中で、障害者、高齢者などが迷惑がられ排除される現実がある、しかし、高齢化社会を想定すれば、あすは我が身の障害児教育なのです。
ここで言うインクルージョンとは、英語で包含、包み込むということですが、分けられることなく必要な支援を受けられるという意味です。現在先進国と呼ばれる国々のほとんどが、障害を持つ子供、持たない子供も分けられることなく、必要な支援が受けられるシステムを構築しています。子供同士の多様性を認め、それを評価する、そんな土壌の福祉国家が形づくられているのです。
そうした意味でも、二十一世紀の教育改革は、障害を持つ子を受け入れた教育改革でなければならないと私も考えます。事実、小中学校の段階では、障害を持った子供たちがともに教育を受けることにより、学校全体で子供たちのゆとりを考え、生きる力を育成している実践が数多く報告されています。
しかし、さきにも述べましたように、高校入試制度のひずみの中で、子供たちがせっかく身につけてきた連帯して生きる力が断ち切られてしまっています。入試によって中学までの教育が断ち切られることに対して憂慮する声は、障害を持つ子供の教育だけに限ったことではありません。 有馬文部大臣も、日本経済新聞のインタビューの中で、中学の三年間が終わったところで高校入試があり、さらに三年後に大学入試というのは少し短過ぎる気はする、今日のように高校に行く人が非常にふえた段階でも、もう少し適切な接続方法があり得るかどうか考えてみたいと述べ、中高の連携の重要性に言及しています。
そこで、教育長にお尋ねいたします。
障害を持った子供たちが、地域ではぐくんだ生きる力を、地域の中学、高校と連携していけるような措置についてどのような検討をなされているか、お伺いいたします。
〔教育長佐々木正典君登壇〕
○教育長(佐々木正典君)
教育におけるノーマライゼーションについてでございますけれども、ともに学び合うノーマライゼーションの考え方に立った教育も重要な課題であると考えております。
そこで、特殊教育学校では、小学校、中学校及び高等学校の生徒や地域の方々とともに学び合う交流教育の機会を積極的に推進しているところでございます。また、障害のある児童生徒の場合、一人一人の能力、特性に応じた可能性を最大限に伸ばす学習の場が大切でございます。このような考えから、盲学校、聾学校及び養護学校での充実した教育のほかに、小中学校に特殊学級や通級指導教室を設置して、多様な形態での教育を行っているところでございます。
高等学校への進学につきましては、希望する受験生が高校教育を受けるに足る能力、適性を有しているかどうかを校長が判定して入学の許可を行っております。
今後とも、ノーマライゼーションの精神に基づき、生徒一人一人の能力、特性が発揮され、可能な限りの社会参加と自立ができるよう、適正で細やかな進路指導に当たってまいりたいと考えております。