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UD(ユニバーサルデザイン)について [一般質問(2000年9月)]

○平野みどりさん 次に、やさしいまちづくりとユニバーサルデザインについてお伺いいたします。  障害を持つ人を初め、だれもが地域の一員として暮らす社会が当たり前の社会であり、それを目指す方向性を意味するノーマライゼーションという考え方が少しずつ浸透してまいりました。そして、急激な高齢化により、生活上著しく不便や不利益をこうむる人がふえてきたことと重なり合って、建物や道路、バスや電車を初めとする公共交通機関にまでさまざまな配慮や工夫が必要だという認識が広がってきています。例えば、段差解消、障害者用トイレの設置、エレベーターの設置、低床バスや電車の導入などが挙げられます。
 熊本県は、このような社会的背景も踏まえ、平成三年度から、高齢者・障害者にやさしいまちづくり事業をスター トさせ、県営施設のバリアフリー化などのハード面の整備とともに、県民の意識づくりのための啓発や情報提供等に取り組んできました。平成七年には、やさしいまちづくり条例が施行され、同条例に基づく熊本県やさしいまちづく り推進計画は、平成八年から十三年までを実施期間としています。
 さて、本年六月に、潮谷知事体制のもとで、新県総合計画、パートナーシップ21くまもとが打ち出されましたが、引き続き、やさしいまちづくりが重要施策の一つとして位置づけられました。平成十四年度以降の計画については、本年度から準備作業に取り組み、来年度計画案が協議され、決定されると聞いております。
 県財政はいよいよ厳しい段階を迎え、今議会でも、何とか危機を回避すべく、議員の皆さんの活発な論議が重ねられております。高齢者、障害者の社会参加を進めるという目標は県民が共有するところですが、これまでのようなやさしいまちづくりへの予算化については、厳しい段階に差 しかかっていると認識する一人です。 また、特別な設備、特別なアプローチではなく、だれもが同じように、快適に利用でき参加できるというユニバーサルデザインの考え方による施策の見直しも必要になると考えます。
 新やさしいまちづくり推進計画の策定に当たって、以上のような現状認識も踏まえ、
一、政策立案、政策決定過程への住民の実質的参加、
二、全庁的な取り組み、
三、県民意識の向上
  の三点について、これまでの評価と課題や反省点を健康福祉部長に御答弁お願いいたします。

 続きまして、ユニバーサルデザインで目指すものについて知事にお伺いいたします。
 やさしいまちづくり事業の浸透とともに、公共性の高い建物において、公的、民間を問わず、バリアフリー化が進んできたことは、私自身日々の生活を通して実感しており ます。それまで使えなかった建物に入れる、車いすで利用できるトイレの有無を心配しなくても済むようになった、 乗れる電車やバスがふえてきたなどは、障害者の社会参加を保障する基本的な進歩だと思います。
 その反面、次第に気づいてきたことは、なぜ一般の人たちと私たち車いすユーザーを分ける必要があるのかということです。例えば、既存の建物を改造しなければならない場合は別として、新築の建物で、入り口を一般の人と分けるアプローチをとっている状況に多々出くわします。つまり、一般の方用の階段、その横に車いす用とおぼしきスロープが、配慮していますと言わんばかりに併設されています。
 一方、アメリカでは、八〇年代後半から、路線バスとしてリフトつきバスが導入され始めましたが、車いすユーザーのみがリフトを使う対象とされ、足が不自由な人やベビ ーカー利用者、体の小さい人や子供たちにとっては、三段、四段のステップつきのバスの乗りづらい状態は依然として続いていました。私も何度か利用しましたが、アメリカの人々の障害者への理解や啓発が進んでいるため嫌な思いはしないまでも、リフトという特別な装置のついたバスで一般の人と違う乗り方をしなければならないことは、自分自身を特別な存在と感じさせ、決して快適とは言えませんでした。
 さて、そんな思いを抱く人の声はアメリカでも次第に大きくなって、九〇年代初頭からロン・メイスさんが提唱 し、ユニバーサルデザインという考え方が広がり始めました。一九九一年に、私の友人で障害を持つ建築家の川内美彦さんが、日本に初めてユニバーサルデザインを紹介されたとき、だれもが区別なく使えるという考え方に私も共感しました。
 その後、日本では、高齢者や障害者が社会参加するには余りにも障壁が多い社会環境の中で、まずはその障壁を取り除こうというバリアフリーが進んできました。しかし、 現実には、私やその周辺では、バリアフリーデザインは既にユニバーサルデザインと重なり合っていたと認識しています。例えば、熊本から発進されたノンステップ電車やバスの導入運動は、全国的な広がりを見せていますが、そこには、障害者や高齢者だけでなく、子供、ベビーカーユーザー、荷物を持つ人、他県や外国からの旅行者も視野に入れ、楽に、早く、自然に乗りおりできるという公共交通に求められるユニバーサルデザインが含まれています。
 ユニバーサルデザインの根本的思想は、年齢、性別、心身の状況、国籍など、人々が持つさまざまな特性や違いを超えて、すべての人が利用しやすい、すべての人に配慮したまちづくりや物づくりを行っていくことだと言われています。  ただ、ユニバーサルデザインを正しく理解し、県民の共感と実践を得ていくには、幸山議員も指摘されたとおり、 ハードルは決して低くないと感じます。やさしいまちづく りは、この八年間の取り組みにもかかわらず、認知度三〇%という残念な結果が出ています。
  したがって、やさしいまちづくりの経験と課題を踏まえ、パートナーシップを基本にしたあらゆる人の認知や参画が実現できる広範な取り組みが求められています。  自治体としては、静岡県がしずおかユニバーサルデザインを掲げ、本年二月に行動計画を策定しています。熊本県としては、ユニバーサルデザイン普及のため、熊本ハート ムーブメントを展開する旨が総合計画の挑戦プロジェクトにも位置づけられていますが、以上のようなユニバーサルデザインという概念が生まれた経緯も踏まえて、何を目指 し、何を実現させたいとお考えかを具体的にお聞かせください。また、ユニバーサルデザインの普及過程においては、さまざまな住民の声やニーズをどう生かそうとされているのかも知事にお尋ねいたします。

〔健康福祉部長田中明君登壇〕

○健康福祉部長(田中明君) 
  初めに、政策立案等への住民 参加についてでございますが、条例制定や推進計画策定において、高齢者、障害者を初め、広く関係者の皆様の意見を聞きながら進めてまいってきたところです。現在も、関係団体の代表などから成りますやさしいまちづくり推進協議会や県下十地区の推進協議会の意見を踏まえながら、施策の推進を図っております。なお、施設のバリアフリー化等を行う場合、実際利用される方の意見を聞く機会をできるだけ多く設けることが今後の課題と考えておりまして、 関係部局とも協議して進めてまいる所存でございます。
 次に、全庁的な取り組みへの評価についてでございますが、部局を横断する推進会議等で推進計画の進行管理を行うとともに、課題のある事項につきましては個別の協議も実施しております。また、高齢者、障害者の疑似体験等、 やさしいまちづくりに視点を置いた職員研修を行っておりまして、こうした取り組みを通じまして、全庁的にやさしいまちづくりに対する認識も高まっていると考えております。
 さらに、やさしいまちづくり関連事業として、今年度は約六十五億円を計上し、各種の啓発事業、建物や道路のバリアフリー化など、着実な取り組みが図られているところです。推進計画に掲げた平成十三年度までの数値目標の達成状況も、県政番組への手話や字幕の挿入、障害者スポーツ指導員の育成、歩道の整備については既に目標を達成するなど、おおむね順調に進捗しております。しかし、県民の意識づくり、高齢者、障害者の雇用、あるいは防犯・防災対策等の項目では、目標の達成が厳しい状況にございまして、これらソフト面での取り組みが、今後一層推進していく必要のある課題と考えております。
 次に、県民意識の向上につきましては、やさしいまちづくりを進めるための基礎となるものでありまして、重要なことと認識しております。やさしいまちづくりは、一人一人がみずからの課題として取り組んでいただくことが大切でございますが、やさしいまちづくりに対する理解はまだ十分とは言えない状況でございます。意識の向上を図るためには継続的な取り組みが必要と考えておりまして、さらに啓発に力を入れてまいる所存です。
 以上、やさしいまちづくりの評価と課題について申し上げましたが、新しい推進計画につきましては、これまでの課題を踏まえ、より効果的な事業の実施ができるよう検討してまいります。

〔知事潮谷義子さん登壇〕

○知事(潮谷義子さん)
 ユニバーサルデザインの持つ機能 につきましては、ただいま平野議員も触れられましたけれども、ユニバーサルデザインで目指すものは、だれもが暮らしやすく豊かな社会の実現にあります。超えなければならないハードルはありますけれども、この考え方を今後県 全体の運動として推進していきたいと考えています。  従来からのバリアフリーの取り組みの中では、ユニバーサルデザインの考え方と重なっている部分もありますが、バリアフリーが、障害のある方や高齢の方、そうした生活 をしていく上での障壁となるものを取り除いていこうという考え方であるのに対しまして、ユニバーサルデザインは、最初から障壁となるようなものをつくらないで、だれもが使えるようにしていこうという考え方であります。この点ではバリアフリーとともにある関係ということが言えると思います。  ユニバーサルデザインは、県民一人一人の認識や理解が必要であると考えておりまして、これまでバリアフリーの考え方で進めてきましたやさしいまちづくり事業の認知度を考えますと、意識啓発の難しさも痛感しているところでございます。
 こうした実情を踏まえまして、さきに幸山議員に御答弁しましたとおり、熊本県新千年紀記念事業の一環として、 インターネット博覧会への参加や来年一月の国際シンポジウムの開催を通して、県民の方々の理解を深める大きなステップとしていきたいと考えています。  また、こうした啓発事業とあわせまして、広く県民の声を生かした、本県にふさわしいユニバーサルデザインの振興策の検討を進めていくために、先月、庁内関係課や県内関係団体の実務者のほか、新たな試みといたしまして、公募による県民の方々を加えた研究会を立ち上げたところでございます。これは、熊本県の実情に即した振興策を検討するためには、県民、民間団体、行政のパートナーシップが重要であるという考え方に基づくところから発想したものでございます。また、ある程度結果がまとまった段階 で、広報誌等を通しまして、幅広く県民の方々の御意見や 御提案もいただき、よりよい方向を見出していきたいと考えています。
 このような過程を大切にしながら、すべての人が心地よく暮らせる町、だれもが使いやすい商品、人に優しい道路など、ユニバーサルデザインが社会全体に取り入れられたすばらしい熊本づくりを目指して取り組んでまいりたいと考えております。


〔平野みどりさん登壇〕

○平野みどりさん アメリカでミスターアベレージという言葉があるそうです。平均的な人のことで、百八十センチ ぐらいの白人の男性を意味します。この平均へのアプローチが物づくりの基本となってきました。しかし、この基準では、子供、高齢者、障害者、女性などのニーズが盛り込まれることがそもそも無理で、使えない人がたくさんいる商品が、いわば野放しになってきたという経緯があります。そこへの反省から、ユニバーサルデザインという概念が形成されていったと言われています。
 したがって、ユニバーサルデザインの最も大事なポイン トは、私は、これまで切り捨ててきたニーズをどうやって掘り起こし、多くの人のかかわりを経て、納得のいくユニ バーサルデザインをみんなでつくっていけるかであると思 っています。すなわち、ユニバーサルデザインの成否を決めることは、プロセスにおいて、いかに住民参加を実現できたかによると言っても過言ではないと思っています。どうしてこういうデザインになったのか、幾らなのか、多くの人の意見が反映される仕組みはできているか、となります。
 静岡県のユニバーサルデザインのホームページを見ますと、子供から高齢者まで参加するコンペがあります。それによって、ユニバーサルデザインを子供の視点から、高齢者の視点から立案し、提言するというものですが、そういう住民が、本当に子供から高齢者まで参加できるような仕組みづくりが必要であると思います。
 また、バリアフリーデザイン商品は特別品であると言われます。確かにだれでも利用できるのがユニバーサルデザインとはいっても、特別品を必要とする人も必ずいます。 これを切り捨ててはならないと思います。しかし、消費者主体の市場をつくることで、これまで特別品だと思っていた商品が安く手に入るようになっておりますし、そのような消費者主体の市場が今後活性化されていくと思っています。特別品が一般品に影響を与え、一般品が特別品に影響を与える相互作用が生まれるのです。
 ユニバーサルデザインを進めていく上で、政治の役割は、行政の情報公開と住民参加の仕組みづくりをいかに進めるかであるということを肝に銘じて、私も県民の皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。決して国際シンポジウムなどが目的となるようなことにならないように、 しっかりと実践を積み重ねてまいりたいと思います。


お問い合わせ 平野みどり事務所 860-0066 熊本市城山下代4-7-28 
電話:096-319-4080 ファックス:096-319-4081
Eメール:info@hiranomidori.net  ホームページ:http://www.hiranomidori.net/
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