障害保健福祉について [一般質問(2005年2月)]
・障害者自立支援法による県障害者プランへの影響について
質問
(平野みどり)
おはようございます。ことしの冬はとても寒くて風邪などまだ召されていらっしゃる方もおいでだと思います。私も、年明けから風邪を引いたり、家族が病気をしたりということで、きょうの準備が十分できるかなと心配したところでしたけれども、ようやく体調も戻りました。しかし、ちょっとたんが出たり、せき込んだりするかもしれませんので御容赦ください。
県民クラブの平野みどり、ことしになって初めての一般質問ですけれども、かなりほかの議員さんの質問と重複しているところもあるかもしれませんが、少し私の視点も入っていますので、ぜひしっかりと聞いていただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
まず、障害保健福祉について、通告に従って、第1問目の質問としてさせていただきます。
障害者自立支援法による県障害者プランへの影響について伺います。
平成15年度、つまり2年前から障害者支援費制度がスタートいたしました。議員の皆さんも御存じのとおりです。この制度によると、在宅介助サービスや知的障害者、全身性障害者、視覚障害者への移動介助サービス――ガイドヘルプとかいいますけれども、そういった利用量は、厚生労働省の予測を超え、財源不足に陥ったため、昨年から介護保険への統合など制度の見直し論議が急浮上してきました。
そもそもなぜ利用が急激にふえたかといえば、支援費制度が利用者主体のよい制度だったからにほかなりません。つまり、平成15年度までの在宅介助サービスは、市や町が決めた1~2カ所の事業者に指定されていて、自分に合った介助者が派遣されないなど、また夜間の派遣はないなど制限が多かったため、利用が伸びず、毎年の予算を使い切れない自治体もありました。
ところが、支援費制度になり、一定の要件を満たせばどこでも居宅事業所を設置できるようになったため、供給量もふえ、事業所の努力で使いやすいシステムもできて、利用が増加したのです。さらに、支援費では、扶養の要件から親や兄弟が外れたことも利用が増大した大きな要因です。親の収入がある場合、自己負担があったため利用が伸びなかった知的障害者のガイドヘルプは確かに激増しました。
しかし、厚生労働省によるこれらの利用増の見込み違いは、介護保険の導入時には行った予測調査を、今回の支援費においては行わないままスタートさせたためでもあります。介護保険スタート後にも、ホームヘルプの利用が激増したことを考えると、支援費導入後についても容易に同じ状況が想定できたはずです。
さて、そんな中、昨年10月に、今後の障害者保健福祉施策の方向、新聞でも躍っておりますが、いわゆる改革のグランドデザイン案が示され、わずか3カ月余りの議論の後、障害当事者や民間団体からの抗議や不安の声があったにもかかわらず、去る2月10日に、障害者自立支援法案が閣議決定され、国会に上程されました。
グランドデザインとそれに基づく自立支援法案は、文字どおり障害者施策全般にわたる見直しでして、障害者を初め支援団体、地方自治体等、関係者に与える影響は極めて大きく、慎重な検討が必要です。にもかかわらず、厚生労働省の動きは余りにも拙速で、加えて、障害者を取り巻く実態を省みずに制度設計を行うという極めて乱暴な議論がなされていることが特徴と言えます。
障害者自立支援法案の目的では、その有する能力を活用することが自立の前提であるかのような記述がなされ、障害者個人の努力だけを求める自立論が強調されていますが、これは1982年の国際障害者年以降広がってきた、障害を社会環境との関係でとらえるノーマライゼーションの理念に反するものです。
また、この法案によると、サービスの決定は市町村審査会が行うとなっていますが、医療モデルでの判断しかできない、障害者の生活実態を知らない委員でこの委員会が構成される場合が懸念されます。さらに、個別給付としての移動介護の原則廃止、グループホームの障害程度のふるい分けなどは、1990年代を通じて展開されてきた施策と大きく矛盾します。過去15年、障害者の自立と社会参加の理念に基づいて進められてきた地域生活のサービスや支援費制度で高く評価されたグループホームの制度化、あるいは知的障害者の移動介護の制度化、そして何より利用者本位の自己決定に基づくサービスを大きく後退させかねません。
また、応益負担と世帯を基本に置いた扶養義務化は、2002年社会福祉法改正のときに確認されてきた家族からの独立が自立への第一歩であるとか、必要な人に必要なサービスをという基本認識や福祉の歴史をゆがめるものです。
また、この国の定める標準的なサービス量までしか市町村に対する補助はなされず、上限が設けられることになり、施設、病院からの地域移行は進まず、障害者の地域での自立生活は壊滅的になるのではないかとの不安が大きくなっています。
さらに、障害種別を超えた総合化が当初言われ、これまでの身体、知的に精神障害も加わるという点ではこれはよいのですが、難病者など福祉サービスを必要としている谷間の障害者の問題は全く解決されていません。
以上のように、これまでの障害者施策の展開をみずから否定し、障害者の地域生活を後退させかねない問題を有するこの自立支援法案を、利用者である当事者との丁寧な議論抜きで国会上程したことは大問題だと感じます。
こうした拙速な進め方は、障害当事者のみならず、自治体や事業者を含めた関係者の不信を生み、現場に大混乱をもたらすことになると懸念しています。
さらに、平成15年3月に制定され、平成22年までの8年間が実施計画とされているくまもと障害者プランについては、設定された数値目標実現に向けて、各分野で取り組みが進められているところですが、障害者自立支援法の内容に照らしたとき、くまもと障害者プランの目標達成は果たして実現できるのか、どのような影響が及ぶかなど、懸念されるところです。
そこで、知事にお尋ねいたします。
まず、1点目として、国際障害者年以降の当事者や利用者主体の福祉サービスや地域移行の流れから見て、グランドデザインとそれに基づく法案の展開をどのように考えておられるでしょうか。
また、2点目として、障害者自立支援法案の内容に照らしたとき、2年が過ぎようとしているくまもと障害者プランの数値目標の今後の達成は可能なのか、またどのような影響が及ぶと予測されておられるかなど、国会で今審議中ですが、現時点でのお考え、見通しなどをお尋ねいたします。
答弁
知事(潮谷義子さん)
今回の障害者自立支援法案は、支援費制度の理念を生かしながら、その課題であります財源の脆弱さ、ケアマネジメントが制度化されていないこと、あるいは精神障害の分野が対象となっていないこと、こういった点を克服しようとする点では一定の評価ができると、このように思っています。
ただ、議員も御指摘ございましたように、障害程度区分が適切に認定されているのか、また、障害者の特性に応じた個別支援計画を作成するケアマネジャーなどの人材が確保されるのか、さらには必要な財源が将来にわたって確保されるのかなど、大変今後十分に詰めなければならない事柄が残されていると、このように思っております。
今後、現場が混乱することなく制度が施行できるよう、国会の場はもとよりですけれども、関係者による十分な議論が必要であると考えています。
県としては、現場の意見を踏まえ、国との意見交換の場を活用して、制度の質が高まるように働きかけてまいりたいと考えています。
次に、県障害者プランへの影響についてですが、今回の法案によりまして福祉サービス財源の安定化が図られることや障害種別を超えた福祉サービス体系が導入されることは、プランの推進に資するものと考えています。しかしながら、利用者負担、県の財政負担、大きなグランドデザインの詳細な全体像が示されておりません。制度改革による影響を現段階で正確に評価することはなかなか困難ではございますけれども、今後ともしっかりとこういった点を詰めていかなければならないと考えています。
県として立てましたプランは「ともに生きる」という障害者プラン、これが今回の改革の方向と理念としては一致をしています。同じ方向を目指すものであると、このように考えておりますが、この方向が名実ともに目標達成がされるように、今後とも県は、しっかりと国に対して意見も出していかなければならないと考えております。
(平野みどり)
知事は、社会保障審議会の介護保険部会に入っていらっしゃいます委員です。お忙しい中上京されて、そして地方からの意見を首長としておっしゃっていただいています。
介護保険もことし見直しを迎えておりますけれども、この支援費制度が、財政上見通しが甘かったということの是正をするために介護保険に乗っけてしまえというようなところが見え隠れするんですね。先ほど知事もおっしゃっていたように、グランドデザインが示されないまま法案だけを先に通してしまおうというのは余りにも主客転倒ではないかというふうに思います。
例えば、知的障害をお持ちの子供さん、もう大人になっていらっしゃる方が作業所に行かれるとします。障害を持っている子供さんの親さんは、母親が1人で育てているというケースも多いんですけれども、こういった方が、いろんな支援費を使いながら作業所にやっと行けるようになったと。そして、工賃、1カ月の手取りが7,000円から8,000円ぐらいもらえるようになったというような形で社会参加が進んだのにもかかわらず、今回の1割負担等の改正によって、親はもう年金をもらっている年代ですね、そして、その中から利用料まで払ってということになると、もう行かせんでいいとか、子供の方も遠慮してもう行かぬというような形にならないとも限らない。本当に社会参加の理念と逆行する現状が私たちには見えてくるんです。
そういった意味でも、今回の自立支援法案、与党、野党にかかわらず、国会での審議をしっかりと見ていただきたいというふうに思います。自民党の中にも、これはちょっと問題だぞと思っていらっしゃる国会議員の方たちがたくさんいらっしゃるというふうに聞いております。どうぞ推移を見守っていただきたいと思います。県の財政にも大きくかかわってくることです。