次世代育成支援と県内雇用のあり方について [一般質問(2005年2月)]
質問
(平野みどり)
次に、次世代育成支援と県内雇用のあり方について伺います。
これも先ほどの藤川議員の質問と若干重複するところがございますが、既に我が国の少子化の進行がとまらない状況であることは御案内のとおりです。先日の小杉議員の代表質問でも示されましたように、今議会に提出されている熊本県次世代育成支援行動計画によりますと、本県の合計特殊出生率は1.48で、全国平均の1.29は上回っておりますけれども、毎年下降の一途をたどっています。25 年後の県内の総人口は10.1%の減になります。今186万ぐらいですか、それが10.1%の減。そして65歳以上の高齢人口は33.9%の増。一方、 15歳未満の年少人口は28.0%の減と予想されており、いびつな逆ピラミッドの人口構成が徐々に形成されていくと予想されています。
さて、少子化の要因については、直接的には、未婚率の上昇や晩婚化、結婚した夫婦から生まれてくる子供の数の減少が挙げられておりますが、なぜそうなったかも真剣かつ冷静に検証しなければなりません。
少ない若年者が多数の高齢者を支えていく人口構造が進む中、社会を支える労働人口は今後ますます不足していくことは明らかであり、働くことは、もはや男性と同様、好むと好まざるとにかかわらず、女性にとっても人生や生活の一部となる時代がやってきます。もう既にその流れの中にあるとも言えます。その際、女性のみが持つ子供を産むという機能を、この社会がどう尊重し、励まし、支援していくかということに対して、これから子供を持つ女性や男性たちの大きな関心が寄せられています。
しかし、残念ながら、現時点で聞こえてくる彼らの声には、次のようなものがあります。「年に1度の子供の授業参観に出るのに、年休をとろうとしたら拒否された」ある医療機関の職員、女性。これは教育機関ですが「担任を持っているのに子供をつくろうなんて考えるなと管理職から言われた」女性。あと「夫のリストラに伴い私も働き出した。今後も続くことが予想される不安定な就労と給与ではとても子供を持つ気にはなれない」パート勤務の女性。
このほかにも、複雑化する社会において、子供を取り巻くさまざまな事件が起こる中、未来を生きる子供がどう育っていくのかという不安も当然あると思われますが、何といっても、女性や男性たちが、子供を1人でも持とうあるいは何人か持とうと考える際、働きながら安心して子育てができる環境が保障されているかということが大きなポイントのようです。
そう考えると、子育てへの理解があり、安定した健全な就労環境でなければ、女性も男性も子供と向き合う時間が十分とれず、本当の意味での次世代育成にはつながらないと考えられます。幼児期の家庭での教育が大事だということは小杉県議もおっしゃっておりました。全くそのとおりだと思います。
平成16年度熊本県労働白書を見てみますと、全国平均は下回っているものの、常用労働者の47万2,461人に占めるパートタイム労働者の比率は全体の20.5%、5分の1で、そのうち女性パートタイム労働者が74.5%を占めています。これは熊本に限ったことではなく、全国的な傾向ではあります。
確かに、非定期雇用であるパートタイムを、一時期積極的に選択する人がいることも事実ですが、保障の少ないパートタイムという就労に不本意ながらついている場合、子供を産み育てることに対する雇用主や職場の理解は到底得られないという女性労働者の不安の声は深刻です。
次世代育成支援行動計画では、国及び地方公共団体はもとより、一般事業主のうち常時雇用する労働者の数が300人を超える場合は、一般事業主行動計画を策定し、その旨を届け出ることが義務化されました。しかし、常時雇用する労働者の数が300人以下の一般事業主にあっては、努力が促されているだけであるため、本県のように中小企業が大半を占める状況の中で、いかに行動計画の影響を及ぼしていくのかは大きな課題と言えます。
本県においては、知事を初めとする関係者の御努力により、大手企業の進出という朗報が相次いでおります。もちろん、企業誘致は今後も進め、雇用を確保していかなければいけませんが、一方、そこで雇用される人たちの就労形態など、その中身も問われていくべきではないでしょうか。企業誘致に当たっても、次世代育成という喫緊の課題に対する政策との整合性が保たれていなくては、本県の方向性が県民一人一人には見えません。
あすを心配しなくていい安定した就労環境、賃金の水準、就労時間、子育てへの理解等を、熊本県としては、企業誘致の際も働きかけると同時に、今後指定管理者制度による民間委託等が進められる場合も、県の施設を使って業務を進める委託先が職員にどのような就労環境を保障していくかも監視していかなくてはならないと思います。
次世代育成と雇用のあり方について、知事はどう考えておられるか、お尋ねいたします。
答弁
知事(潮谷義子さん)
少子化の進行は、労働力人口の減少を初め、社会経済や地域の存立基盤を揺るがす深刻な問題であります。安心して子供を産み育て、子供が健やかに育つことができるように、社会全体で次世代育成支援に全力を尽くすことは、今を生きる私たちの責務であると考えています。中でも、働き方の見直しや雇用環境の整備は大きな課題と考えておりまして、県だけではなく、国や市町村、企業等でも主体的に取り組んでいく必要があると思っております。
しかし、今議員も言われましたように、一般事業主行動計画の策定が、常用雇用 300人を超える企業だけに義務づけられておりますが、熊本のようなこういうところの中で300人を超える企業が果たしてどれぐらいあるのか、実態としては中小企業が多いという状態でございます。より多くの企業が次世代育成に取り組む、こういう観点の中から、国に対しても、ぜひ地方の実情をしっかりと考えた上での施策展開が必要であると申し上げているところでございます。
パートタイムなど非正規雇用につきましては、フルタイムで働けない子育て中の人や高齢者等に多様な働き方を提供するという面もございます。しかし、一方で、正職員と同じ職務内容でありながら、賃金などの処遇に格差がある、雇用の安定性や働きに応じた公正な処遇が確保されていないといった実態もございます。この点につきましては、女性知事リレーフォーラムの中でも話し合いまして、国に対し、短時間労働であることを理由にした差別を禁止するためのパートタイム労働法の改正等、パート労働の雇用条件の改善に取り組むように共同して要望したところです。
また、全国知事会といたしましても、各都道府県、市町村に対し、仕事と家庭の両立支援策を含めた次世代育成関連施策、事業の状況調査を行ったところであり、その結果をもとに、国への要望等を行うこととしております。
さらに、誘致企業の雇用につきましては、立地協定の中で、地元出身者の雇用優先規定を設けますとともに、進出に際しての優遇制度の適用に当たっても、一定人数以上の常用雇用を要件としているところでございます。
なお、これから指定管理者制度、これが始まってまいりますが、民間に委託するという場合におきましても、指定管理者と締結をする協定の中で諸法令の遵守について規定する予定としておりまして、こうした措置を通して、適切な就労環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
次世代育成支援を推進するためには、県としては、今後とも、熊本労働局等関係機関と連携しながら、正職員との均衡を考慮した処遇の推進、仕事と子育ての両立支援等、大変幅広い観点の中からしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
(平野みどり)
誘致企業に対しても、一定の常用雇用の数値基準を設けていくということとか、あと指定管理者に関しても法令遵守を義務づけていくというような形で、一定の効果があらわれることを期待しているところです。
ただ、やはり実態を見ますと、先ほどパートの話をしましたけれども、パート以外の、いわゆる最近言われている業務請負もしくは派遣、これについてちょっとハローワークのデータを調べてみたんですが、平成13年度では、業務請負というのは、新規求人に占める業務請負が10.3%だったんです。それが平成16年には32.5%です。求人がこんなに変わっています。さらには、派遣に関しても、平成13年度が1.2%だったのに対して、平成16年度は11%なんですね。こういった派遣とか業務請負の就労の中身に関しても非常に危惧されるところです。
次世代育成に関しては喫緊の国の課題だと思うんですけれども、本当に働きやすさということをやっぱり考えないと、とても絵にかいたもちになりかねないと。託児所をいっぱいつくっても、託児所に連れていくことすらできないというような、要するに、子供を産み育てられない、もうはなからあきらめる、そういった選択をしてしまう若者がふえてくることを本当に懸念しています。ぜひとも実効ある施策を厳しく運用していただきたいというふうに思っております。
先ほどは、パートとか請負、それから派遣等の話をしました。公務員とか教職員はよかねという話を聞きます。ただ、教職員の話を聞いても、例えば育休をとると昇給とかの制限があると、これだけ少子化が問題になっているのに、子供を産むと経済的に不利になることばかり、男性教員が育休をとろうかと校長に相談したとき、昇給や年金で損すると言われたという話を聞いたと、こういった状況の中で、男性も子育てを、育休をなんていうことが、恵まれている公務員や教職員でもできづらいという状況があると。加えて、今後教職員の教育評価などが加えられていくときに、育休で現場を離れていたから不利になるなんていうことがあってはならないというふうに思っています。働く環境、ぜひとも改善していけるようにお願いしたいというふうに思います。