水俣病問題について [代表質問(2005年9月)]
質問
(平野みどり)
続きまして、水俣病問題についてお伺いします。
昨年10月、水俣病関西訴訟の最高裁判決で、被害の拡大防止を怠った責任が国や熊本県にあることが確定しました。これに対して、環境省は、4月に発表した新たな水俣病対策の中に、内容を拡充した新しい保健手帳の受け付け再開を盛り込みました。しかし、どれくらいの方々がこの保健手帳を申請されるかは未知数です。
一方、公害健康被害補償法、公健法に基づく熊本県への水俣病認定を申請されている方は、先ほど馬場県議の質問にもありましたが、9日までに2,021人に上っております。初めての申請が91%の1,837人、政府解決策による総合対策医療事業の保健手帳対象者も119人、それに判決前の申請者も加わり、現時点での未処分者は2,044人に上ります。患者認定を審査する認定審査会再開の見通しが立っていない中、未処分者への対応のおくれは深刻な状況です。
水俣病関西訴訟最高裁判決は、これまでの複数の症状の組み合わせによる水俣病の認定基準だけではなく、中枢神経の損傷による感覚障害も水俣病と認めよという司法の判断でした。この認定基準の見直しを環境省は認めていないため、県の認定審査会の委員は、再任に難色を示していると言われています。一方、鹿児島両県の不知火海沿岸6市町村は、熊本県、熊本県議会、環境省に対して、一刻も早い認定審査会の再開を求めておられます。
そんな中、水俣病不知火患者会は、国と熊本県、チッソを相手にした損害賠償請求訴訟の準備を進めていると報道されています。
国はこれまで、認定基準は変えないという姿勢であり、損害賠償請求では新たな病像論が争点になることは避けられず、国や熊本県が従前の認定基準にのみ依拠し続ければ、時間だけが無情に過ぎていき、高齢の申請者も多い中、全面的な解決には遠い道のりであろうと懸念しています。
このような現状をどう認識しておられるか、また、全面解決に向けて、認定基準の拡充をしていくという方向での見直しや認定審査会のあり方も含め、県として今何をすべきとお考えか、知事にお尋ねいたします。
答弁
知事(潮谷義子さん)
水俣病関西訴訟最高裁判決の後、認定申請者の急増、御承知のとおりでございます。また、認定審査会の再開ができない状況、そして水俣病認定に係る判断条件の問題、さらには訴訟の動き、この水俣病にかかわりましては、その周辺の中でさまざまな問題が起きております。これらはそれぞれが相互に関連し合っている事柄でございまして、個々に具体的な対応をとるということは現状ではなかなか難しい状況にある、このように認識をしています。
水俣病認定に係る判断条件につきましては、これまで被害者の方々からも見直しの要望が出されております。しかし、この問題は、県は受託事務という形で行っておりまして、あくまでも国の所管事項でございます。国で検討されるべきところでありますので、県としては、申請者の皆様たちの状況あるいは地域の状況、そういったものも含めて、その都度国に今伝えているところでもございます。
また、認定審査会のあり方につきましては、申請時点、これによりまして適用する法律が異なっているという状況があります。これまでとの継続性、これを考えてまいりますと、従来どおりの運営をせざるを得ない、このように考えているところでございます。
このような状況におきまして、県としても、高齢化が進み、健康に不安を持つ多くの方々がおられることを踏まえまして、まずは被害者救済の視点に立って、できることを早急に行うことが肝要であると考えています。
そのためにも、医療費の支給、これを柱とする保健手帳の10月からの再開に向けて、精いっぱい取り組んでいくこととしております。
今後も、県としては、国と連携しながら、県議会や関係市町と一体となり、水俣病問題の解決に向けて、一層の努力をしてまいらなければならないと考えております。
(平野みどり)
水俣病の問題が今回の選挙の争点にならなかったということで、地元の皆さんたちは本当に悔しい思いをしたというようなお話も聞きました。今回の総選挙の結果で、本当にこういった水俣病の問題が、地方のもう終わったことの問題というふうにされていくようなことがあるようでは絶対に困るというふうに思います。次の質問のアスベストは全国的な問題ですけれども、水俣病の問題は、地域限定の過去の問題にしてはいけない、そういう思いで、熊本県から、地方の実情といいますか、水俣の現状を的確に伝えて、小池環境相がまだ継続されていると思いますけれども、何とか認定基準の見直しですとか、認定審査会が実際に再開されるような方向に持っていけるように、働きかけをぜひお願いしたいというふうに思います。