少子化対策について [代表質問(2005年9月)]
・乳児死亡率の改善対策について
・思春期総合相談窓口について
・性教育の重要性について
質問
(平野みどり)
次に、少子化対策に入りたいと思います。
ちょっと午後の質問で眠くなってきていると思いますので、幾つかパネルを用意しておりますので楽しみにしていただきたいと思います。
今回、少子化対策について、子供の性教育の大切さという部分にフォーカスしながら質問させていただきたいと思います。
まず、乳児死亡率の改善対策について伺います。
平成14年度、本県の乳児死亡率は全国でワースト1位でした。そのことから、平成16年度に新生児死亡率ハイリスク新生児問題検討委員会が設置され、その要因の分析に関する報告書がこのほど作成されました。
それによりますと、平成14年に生後4週間未満で亡くなった赤ちゃんのうち、約 60%が出生時の体重が1.5キロ未満でした。また、平成14年の出生児は1万6,839人でしたが、そのうち153人が出生時体重1.5キロ未満でした。極低出生体重児の出生率が高いと新生児死亡率も高くなるという相関関係があることがデータより明らかです。
そのため報告書は、極低出生体重児の出生を低く抑えることが乳児死亡率低下に大きな影響を与えると結論づけており、対策として、医療と保健における妊娠中の母体管理に対する全県的な啓発活動と周産期医療体制整備が必要であるとしています。
周産期医療体制については、総合周産期母子医療センターが熊本市民病院の中に設置されておりますけれども、熊本市民病院だけに集中している現状であり、本県としては、早急に全県をカバーするための熊本市以外の地域の地域周産期母子医療センターの設置に向けて、今後も自治体病院や民間病院に働きかけていかなければなりません。
乳児死亡率改善対策事業について、現状の認識と対策をお尋ねします。
次に、思春期総合相談窓口についてお尋ねします。
母体保護の点から、この報告書の中には注目すべきデータが幾つかあります。母親の年齢階級別低出生体重児出生率です。(パネルを示す)これなんですけれども、つくりました。
母親の年齢別、例えば15歳から19歳が皆さんからいうと一番左側ですが、 20~24と、年齢別になっています。よく見ていただくと、この15歳から19歳のところが低体重児の出生率が高いことがわかると思います。ここは加齢に伴って、高齢になればなるほど高くなるということですけれども、この10代、15歳から19歳の若者の出産した子供の体重が低いという現状がここにあります。15歳から19歳と、40歳から44歳の母親についての高い率は、先ほど言いましたとおりです。
次に、10代の人工妊娠中絶の件数についてちょっと見てみたいと思います。
まず、これなんですけれども……(パネルを示す)これは年齢別の昭和57年から平成14年までとっていますが、年齢別の中絶の率です。右に行くにしたがって低くなっているのがごらんいただけるかと思います。ところが、この濃い線は何かというと、これが10代です。20歳未満の子供たちの中絶の率が高くなってきています。
これが何を言わんとするかということですけれども、さらに次は(パネルを示す)これは昭和45年の中絶の中での年齢、どれくらいの年齢の方が中絶が多いかという割合なんですけれども、10代は少ないですね。こういった状況になっています。ところが、やはり平成5年、平成15年になると、この一番上のところが大きくなっているのがわかると思います。10代と20代前半が大きくなっている。中絶の中の比率が10代、20代前半はすごく大きくなっているという現状を見てとれます。
これは、15歳から19歳までの10代の世代で、低出生体重児の出生率やこういった人工妊娠中絶の件数などを見ると、望まない妊娠を避けると同時に、不妊につながる性感染症などを防ぐという、こういった2点を中高生に広げていくことが必要であるというふうに思います。
望まない妊娠を避ける、性感染症を防ぐには、さまざまな複雑な課題を持つ10代にとって、当事者の立場に立った丁寧かつ真摯な相談を受ける窓口が必要です。多くは、事柄が事柄だけに、友達の間で正しくない情報のもと、間違った判断を下し、取り返しのつかないケースに発展してしまうことも多いと聞きます。学校でもなく、従来の産婦人科でもなく、思春期の子供たちが安心して相談できる思春期の相談窓口を、保健所や医療機関と連携して充実していく必要があるというふうに思いますが、県はいかがお考えでしょうか。
また、県内における性感染症の現状と対策についても、あわせてお尋ねいたします。
これについては過去にもさまざまな議員さんからの質問もあるとおりですが、性感染症についても10代で急激に上がります。15歳から19歳の中で上がります。この性感染症によって母体が弱くなってしまうということもあります。先ほどの中絶もそうですが、何回も経験しているうちに、本当に子供が欲しいと思う時期に子供が産めない体になってしまうということもあります。
ですから、中絶は決して母体にとってよくないこと。中絶をせずに、妊娠したら絶対産まなきゃいけないということを私は言っているわけではもちろんありません。ただ、望まない妊娠を避けるということが何よりも大切であるというふうに思っているところです。
低体重児を産むのも、そういった若い人が、自分の母体の管理もできずに、そしてダイエットをするとか、あとは薬物の中毒もあると思いますが、そういう状況の中で子供を産むからこういった低体重児が生まれてしまうのです。そうすると、それによって周産期医療の手にゆだねなければいけない、これはイタチごっこではないかなと。そういう意味では、性感染症等の思春期の相談窓口、この重要性というのをひしひしと感じているところです。
次に、教育長の方にもお尋ねいたします。
性教育の重要性についてです。
以前、もう寝た子は起こさない方がいいという発言がここであったかと思いますが、もう子供は寝ておりません。寝た子を起こさないなどと悠長なことを言っている場合ではない。児童や生徒は、インターネットや雑誌を通してゆがんだ性情報にさらされており、彼らをターゲットにした商売もまかり通っています。その結果が、先ほどの10代の望まない妊娠や性感染症につながっています。
長い目で見たとき、少子化対策として、妊娠し、子供を育てるに適した時期に子供を持てるようにするためにも、本当に男女とも10代での正しい知識を持ち、主体的に判断していく力を育てていくことこそが重要です。
性に関する正しい知識を与える教育は、小学校から始めなければ遅いと言われています。小学校、中学校、高校と折々で科学的、生物学的に正しい情報を伝えていくことによって、大人社会が発信するゆがんだ性情報に出会っても、正しい判断ができる児童生徒に成長していくものと思っています。
少子化対策と性教育に関する見解と取り組みを、あわせて教育長に伺います。
答弁
健康福祉部長(原田正一君)
まず、乳児死亡率改善対策についてでございますが、乳児死亡率を改善し、健やかな子供をはぐくむためには、思春期における命と性の教育、妊娠前からの健康づくり、妊娠中の母体管理、さらには低出生体重児とその親に対する育児支援など、一貫した取り組みが必要であると認識をいたしております。
そのため、県におきましては、まず保健面の対策として、これまで取り組んできております母子保健事業に加え、御紹介をいただきました調査事業の結果も踏まえ、新たに喫煙や妊娠中の過度のダイエットなど、母体管理について注意を促す研修を行うなど、早産を予防し、低出生体重児の出生率を低く抑えるための啓発、支援について取り組みを始めたところであります。なお、今年度発表されました乳児死亡率などは改善を見ております。
また、医療面の対策として、早産の約8割が絨毛膜羊膜炎という感染症によるものであるといった報告もなされておりまして、産科医療関係者、市町村の母子保健担当者などへの研修を今年度から実施し、早産予防対策の充実を図っているところでございます。
今後とも、地域周産期母子医療センターの追加認定など、周産期医療体制の整備とあわせまして、引き続き市町村と十分連携し、母子保健対策に取り組んでまいります。
次に、思春期総合相談窓口についてでありますが、県におきましては、これまでも、女性のケア事業として、妊娠に関する悩みなどの相談窓口を女性相談センター内に設置いたしますとともに、各保健所でもこれらの相談に対応するなどの取り組みを行ってきております。
また、平成15年度に、県看護協会有明支部、九州看護福祉大学、有明保健所などの連携により、玉名市の商店街の中に設置をいたしました、まちの保健室イコイバは、仲間相談活動、いわゆるピアカウンセリングの手法を取り入れておりまして、気軽に相談、話し合える場として、若者から一定の評価と支持を得ているところでございます。
さらに、今年度、県といたしましては、八代市の商店街の中に、同様の手法を取り入れました思春期相談室を開設することとしております。その運営につきましては、助産師など専門家で組織された民間団体等の協力を得ながら、思春期の命と性を学ぶ拠点となるよう取り組んでまいります。
最後に、性感染症の現状と対策についてでありますが、患者の発生件数は、ここ数年横ばいの状態でありますものの、年代別に見ますと、全体的に20代以下の発症が多い傾向にございます。
特に、性器クラミジア感染症につきましては、10代後半から20代前半の女性の発症が多く、患者全体の4割以上を占めておる状況でございます。
そのために、若い世代に感染を防ぐための正しい知識をきちんと教えていくということが重要と考えておりまして、これまで、若者を対象といたしましたテレビ番組の放映、雑誌への特集記事掲載などの普及啓発活動を展開してまいりました。今後とも、教育委員会等とも連携を図りながら、各種の啓発事業を推進してまいります。
なお、こうした啓発活動のほか、保健所におきましては、エイズ、性器クラミジア感染症、梅毒の匿名無料の相談・検査事業を実施しておりまして、このうちエイズにつきましては、本年度から新たに、その場で結果がわかる迅速検査と時間外の検査を開始いたしまして、より検査を受けやすい環境を整えているところでございます。
教育長(柿塚純男君)
10代の人工妊娠中絶や性感染症の問題、性の逸脱行動、性情報のはんらんや性犯罪の動向等については、極めて深刻な事態であるとの危機意識を持っており、これらの課題解決に向けて、性教育の果たす役割は今後ますます重要であると認識をしているところでございます。
性教育の基本的目標は、人格の完成と豊かな人間形成を目指し、科学的な知識を身につけ、適切な判断力と望ましい行動がとれる資質や能力を育成することにあると考えております。
学校における性教育を効果的に推進するためには、性に関する社会の動向や各学校における児童生徒の実態を的確に把握し、集団指導と個別指導によるきめ細やかな指導が重要であるし、必要であると考えております。
集団指導においては、学習指導要領に照らし、児童生徒の発育、発達段階にふさわしい内容を、すべての教職員の共通理解のもと、保護者や地域の理解、協力を得ながら実施しているところでございます。
これらの指導の成果を高めるために、例えば、熊本女性医師の会から提供された資料等を含め、実態に応じた資料を職員研修や授業に生かすなど、その活用を促進してまいりたいと考えております。
また、産婦人科医、助産師、保健所職員等による専門的分野からの講和や講演についても、今後、児童生徒、保護者、教職員それぞれが持つ悩み、苦しみなどの解決に向けたものになるよう取り組んでまいりたいと考えております。
個別指導においては、特に10代後半の妊娠や性感染症の現状を踏まえ、養護教諭による相談活動はもとより、学校医を初め、医療の専門機関や保健所及び家庭と連携しながら取り組んでいるところでございます。このような個に応じた対応が今後さらに適切かつ早期にできるよう、地域各種機関との体制づくりを進めてまいりたいと考えています。
県教育委員会といたしましては、次代を担う子供たちが、元気で生涯にわたって心身ともに健康であるために、性教育の重要性を認識しつつ、体力向上や望ましい食習慣の定着を目指した食育を含め、人格の完成と豊かな人間形成を目指し、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
(平野みどり)
先ほどここに円グラフ等をお見せしましたけれども、これは病院を通じて県に報告されている数なんですね。実態はもう少し違うというふうに医療関係者の方々から聞いています。ということは、やみでというか、中絶をきちんとした先生に対応してもらっていないだとか、あと先生の方から、余りにも中絶が多い病院だというレッテルが張られてはいけないので、若干数が操作されているのか、そこら辺はわかりませんけれども、そういうことも含めて、これが実態ではなくて本当に深刻な状況であると、そして子供たちの生命が危険にさらされているんだということをしっかりと認識したいというふうに思っています。
さらに、食育のお話がありましたけれども、先ほども触れましたが、母体がダイエットですとか食習慣が乱れていると、本当に子供が育つような環境にないわけですね。そして子供が先ほどのような低体重児に生まれる。そして、低体重児を産んだ後がどうなるか、私はとても心配なのです。病弱な子供たちだと思います。子供を育てるよりも、もっと本当は遊びたい盛りの10代の母親や父親が、じゃあ子供たちにどう接するのだろうと考えたとき、ちょっと背筋が寒くなりますが、児童虐待の中で、やはりこういった虚弱児ですとか障害を持つ子供がその被害者になっているという現状もあるというふうに聞いております。
これは、本当にそういった連鎖がどんどん続いてしまう、そういう意味では、きちんとした性教育、本当に性を押さえつけるものではなくて、とめるものではなくて、正しい知識のもとに自分で判断できるような形の情報提供を、学校でも――本当は家庭でやればいいのですけれども、今家庭がそれだけの教育力は持ちませんので、学校との連携、特に学校がかなり多くの子供たちに一度に教えられるというメリットもありますし、学校での教育が必要かというふうに思います。