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川辺川ダム事業関係について [代表質問(2001年2月)]

3. 川辺川ダム事業関係について
(質問)

1) 川辺川ダム事業について 川辺川ダムだけで2650億円!、一体誰のための事業か?

 去る2月28日の球磨川漁協総代会において、国土交通省との漁業補償交渉を締結するという議題が、否決され、川辺川ダム事業は新たな局面に差し掛かった。球磨川漁協総代会は、全組合員参加の総会を開催しないまま、先の通常総代会で漁業補償交渉締結を議題に載せていた。しかし、ダム反対派の総代や組合員の皆さんの川を守ろうという論理的かつ心に訴えかける説得活動と、有明海の惨状に危機感を持った不知火海沿岸の漁協の皆さんや、環境破壊を危惧する県民の関心が、ここにきて頂点に達し、総代の皆さんの良識ある判断に影響を及ぼしたものと考える。
 県民クラブは、一昨年より川辺川ダム事業に関する調査・研究を行ってきた。現地に足を運び、地元や関係団体の皆さんから直接話を聞き、市民グループや研究者とも勉強会を重ねてきた。また、本事業に関わってきた職員を抱える各労働組合と私たち議員の間でも、協議を重ねてきた結果、昨年12月に、治水、利水、水力発電における必要性、また、環境への影響等も検証し、計画が立てられた35年前とは社会情勢も大きく変化し、もはやダム事業の必要性はないと判断し、県民クラブとして、今後は川辺川ダム事業に反対の立場をとっていくことを確認した。
 そして、この結論に至る中で、私たちが大きな疑問を持ったのは、「川辺川ダムだけで2650億円も費やすこの事業は、一体誰のための事業か?誰が必要としているのか?」ということです。

治水どころか一瞬にしての大水害も予想される

 国土交通省は、ダム事業の必要性の最大の理由は、治水すなわち洪水から人命を守ることだとしてる。しかし、昭和40年7月3日に、人吉市を襲い6名の方々が命を落とされた大水害は、明らかに、市房ダムからの放水のよるものだと、被災者の皆さんは口々に証言している。川の周辺に住む人たちは、時として荒れる川と、どう折り合っていくかを、長年の生活経験の中で知っておられ、雨足や雲の様子から水量や水の勢いを予測して、「床下かあるいは1階までは浸水しても、2階までは来ないだろう」とか、「水が引いた後、魚をとっていた」など、川との共存ができていたと語る。
 ところが、昭和40年7月の洪水では、わずか30分で2m水位が上昇するという、市房ダム放水による過去にない急激な増水となった。この上更に、市房ダムの3倍もある川辺川ダムが完成すれば、最大毎秒5160トンの放水が可能なダムからの流水により、治水どころか、流域住民の不安は、皮肉にも増大することは必至。これまでにない一瞬にしての大水害も予想される。その不安は、平成6年に1万8934人の人吉市民が、川辺川ダム建設見直しの陳情書に署名し、市に提出していることからも明らか。
 昭和40年当時と比べると、危険箇所の河川改修や堤防整備ははるかに進んでおります。また、当時は木材需要の増大から伐採が進み、山は樹木による保水機能を失っていたが、その後の植林により、山は保水力を取り戻して「自然のダム、緑のダム」ができており、治水のためのダム建設の必然性には、大きな疑問を持つ。

守りたい!生活の糧を生み出す川と海

 更に、ダムの環境に及ぼす影響についてですが、有明海沿岸の漁民の皆さんの悲痛な叫びに呼応するかのように、不知火海沿岸の37漁協がついに声をあげた。赤潮でも既に被害を受けている上に、川辺川ダム建設により、更なる環境汚染と被害が懸念されるとして、生活の糧を生み出す海を守りたいという強い思いでの行動だ。
 もともと、不知火海沿岸漁協の皆さんが声をあげられる前から、球磨川漁協や市民団体の皆さんは、川辺川ダムによって川の濁りが増しては、清流にしか生息しない鮎に甚大な影響が及ぶと訴えてきた。更には、ダム本体の建設が予定されている地域には、絶滅が危惧されているクマタカなどの動植物の存在も確認されている。
 治水、環境について述べたが、川辺川ダム事業の目的とされている、利水・水力電力については、時間の関係上、ここで論じることはできない。しかし、もはや各々の必要性は、社会情勢の変化とともに失われている。多くの県民が注目する中、知事、県執行部にあらためて、この事業への認識を伺う。

今こそ、地方の主体性を表すとき

 先般、長野県の田中康夫知事は、「脱ダム宣言」を出した。その手順やタイミングがどうであったかということは別として、国のダム行政への方向転換を求める、自治体の首長としての主体的な意思表明を高く評価する。田中知事は、千葉県の三番瀬の干潟保全等の市民運動を通じて、自然を壊すのではなく、保全や復元を進めながら、人と自然の共生が必要だと確信している。様々な事業が、国とのつながりの中で決まっていく中で、まだまだ財源を国に頼らざるを得ない地方の事情は否定できないが、だからこそ、強い意思と決断で、今こそ、地方の主体性を表すときではないか。川辺川ダム事業は国の事業だが、本県は財政再建に取り組む中、実質的県負担は100億円も見込まれている。県職員の給与カット分の約4年分にあたる金額。残りの県負担369億円は国からの交付税措置があるというものの、交付税措置そのものも、666兆円にならんとする債務残高を抱える我国に、新たな借金を作らせることに他ならない。今こそ、自然との共存による治水の方法を研究し、前世紀の遺物であるダム建設に決別すべきときだ。そして、国があきらめるのを待つのではなく、清流川辺川をいただく熊本県の知事として、その決断を県民の多くが待ち望んでいる。潮谷知事にご見解をお尋ねする。

清流や豊かな自然を活かした五木村の新興を!

 そして、最後に、五木村の新興について伺う。昭和41年のダム計画以来、当初は反対の立場を取りながら、苦渋の選択の中、ダム建設による水没を受け入れた五木村が、この事業で最も被害を被ってきた。これからもまだ、紆余曲折が予想されるが、建設または中止のどちらに進もうと、五木村・相良村の再建に県民あげて力を注いでいかなければならない。清流や豊かな自然を活かした観光や生活基盤としての公共施設の整備等、県民の理解と知恵を得ながら、国と県の責任で新興や再生の道筋を立てていくべきと考える。知事の見解は?

2)球磨川漁協への指導のあり方について

 先に述べましたように、2月28日の球磨川漁協総代会は、ダム推進派の総代が「漁業補償交渉締結」を議題に載せましたが、結果的に否決され、今のところ、ダム本体工事の本年度内着工の見通しは立っていないようだ。
 これまで、ダム反対派の球磨川漁協組合員は、昨年9月1日に補償交渉委員会の設置を決めた臨時総代会の決議が民主的ではなかったという認識のもと、決議無効を求める総会開催を、水産業協同組合法第47条3の第2項に基づいて、請求し続けてきた。
 ところが、ご承知の通り、法に則った請求であり、県の指導・勧告があったにもかかわらず、現理事会及び監事は総会を開催していない。水産業協同組合法第47条3の第2項によれば、理事会は請求のあった日から二十日以内に臨時総会を招集すべきことを決定しなければならないとある。従って、球磨川漁協理事会が総会を開催しなかったのは、明らかに、この水産業協同組合法違反です。そして、第124条によれば、「行政庁である都道府県知事は、必要な措置をとるべき旨を命ずることができる」すなわち、指導をしなければならないとなっているが、今日まで指導・勧告が徹底しなかった。
 これまでの総会開催にかかわる県の指導の在り方に、疑問を感じている県民も、少なくない。結果的に、違法行為を見逃してしまっていることに関して、いかが認識しておられるか、林務水産部長にお尋ねする。

(答弁:知事)

 川辺川ダム事業は、球磨川流域の貴重な生命や財産を守るため、河川改修と併せたダムの建設が必要不可欠なものと位置づけられている。平成7年には「川辺川ダム事業審議委員会」において、専門家や地元の方々からご意見を伺い審議されてきた結果、事業は妥当であるとの答申が出された。事業は既に半分以上が進捗し、水没者の8割が移転を完了。県としては、このダム事業が環境保全対策の先進的・モデル的なものとなるよう、申し上げていく。  この事業の目的や環境問題について、様々な論点が指摘されている。県民の混乱を引き起こすさず、禍根を残さないよう、関係者に対する説明と話し合いを行い理解を求める努力を行うべきであると国に対して申し上げていきたい。
 五木村の地域振興策の具体化について、福祉、環境、産業等総合的な観点にたって、球磨地域振興局や本庁関係部局が一体となり、国土交通省や地元と連携を図り、積極的に取り組んでいく。

(答弁:林務水産部長)

 昨年11月2日に請求のあった臨時総会がなお開かれていないことは遺憾である。指導についてであるが、水産業協同組合法では、組合は自治組織として、組合員の自主的解決を基本としている。そのため、組合の自主性を尊重しながら、指導を重ねてきた。今後とも、運営の動向を見極めながら、法や定款の趣旨に基づいて適正に対処していく。


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