川辺川ダム事業について [一般質問(2002年6月)]
◆(平野みどりさん) 十分な措置法であるというふうには考えていないけど、今やらなければいけないこともあるのではないかという御答弁だったと思います。
実は、先般学習会に参加しまして、特措法の学習会なのですが、サンフランシスコ湾計画というのを耳にしました。少し調べてみました。サンフランシスコ湾計画は、湿地や干潟が発達している内湾においての開発と保全の関係を規律する基本方針を定めたもので、湿地保全の基本方針としては先駆的なものと言われています。この計画のもとでは、埋め立ては例外的なものとして、目的が限定され、必要最小限にしか認められません。
サンフランシスコ湾は、東京湾とほぼ同規模の閉鎖性の強い内湾です。生態系も豊かに発達しています。サンフランシスコ湾では、一八五〇年ごろからのゴールドラッシュ以来、相当の埋め立てが進められ、一九六〇年代にはさらに大規模な埋め立てが計画されたため、大きな市民運動が起こりました。
この草の根の市民運動は功を奏し、一九六四年に、カリフォルニア州法としてマクアティア・ペトリス法が制定されました。同法によって、サンフランシスコ湾保全開発委員会なるものが設置され、同委員会は一九六九年にサンフランシスコ湾計画を策定し、これによってサンフランシスコ湾の総合的な環境管理の体制と基本政策が確立しました。
こうした保全方針は、その後の沿岸地帯保全法、水質浄化法などの州法や連邦法によってさらに強化され、今日に至っています。
サンフランシスコ湾計画のもとで、現在では埋め立ては例外的、最小限にしか認められず、湾内では湿地の再生も行われ、広大な国立野生保護区が設定されているそうです。
法を上回る規制を条例でうたうことは難しいというのがフグ養殖におけるホルマリン問題での県の見解でした。それならば、法により総合的な環境管理と規制を行わなければ再生は困難ではないでしょうか。今後、国においての審議を見守ると同時に、議員の皆様には、今回県民クラブが提出しております諫早湾潮受け堤防の水門の中長期的開門を求める意見書に御同意いただきますようにお願いいたします。
次に、川辺川ダム事業について質問いたします。
川辺川ダム事業という全国的にも注目と関心を集めている事業を持つ県の知事として、潮谷知事は、この問題を人任せ、前例踏襲という形でなく、さまざまな立場の人からの情報を収集し、県民とともに考えていきたいという民間人としての開かれた手法をとってこられました。中でも、今回で三回目を迎えた討論集会では、その実施に向けて賛否両論飛び交う中、県執行部をリードしながら難しいかじ取りを行ってこられました。
熊本県で行われる国の事業であるから、国は当然の説明責任を果たすべきであり、市民団体の説明も県民にわかりやすく示されるべきであるというお考えで、県民への情報と判断材料を提供し、知事としての責任を果たしたいという思いであると理解しております。
もちろん討論集会がすべてではありませんし、反対派、推進派双方がお互いの論に納得し、なおかつすべての県民が隅々まで理解を深めることは問題の性質上容易ではないと思います。それならば、県財政再建への極めて厳しい過程にあり、経済は一向に明るい兆しを見せず、八方ふさがりの今、大型開発の象徴である川辺川ダム事業は、熊本県には必要ないと知事が主張なさることを県民は期待していると思います。
論議を尽くすということが、いつまで、どこまでで十分と言えるのか、見きわめていくことも必要ではないでしょうか。自治体の首長として、国に対してはっきり決断を表明していく姿を県民は必ず支えていくと思います。それでもなお県民の総意を問いたいとお考えならば、ある時点で住民投票、もしくは県民投票というのでしょうか、という手段をとることもできると思います。
今六月県議会では、川辺川ダム事業についての最後の質問になるかと思いますが、住民投票への可能性も含め、川辺川ダム事業のこれからについて御所見をいただきたいと思います。
◎知事(潮谷義子さん) 川辺川ダム事業の基本的見解及び住民討論集会に取り組んでいる考え方については、既にこれまでも何回も御説明をしているとおりであります。今回は、それぞれのお立場の中から決断を迫られるという県議会である、そういう印象を強く私自身持つところでございます。
私は、命と財産を守るという観点から、双方ともに討論集会の場で県民に見える形で冷静に論議を尽くし、それを県民の皆様にもしっかりと受けとめていただきたいという願いでいっぱいでございます。
県民の間に理解が深まることの期待、そして、私どもはこの問題について真っ正面から、命と財産を守る、これがどういう形の中で遂行されていき、県民の皆様にも納得が得られていくものか、今討論集会に必死に取り組んでいるところ、これは申し上げてよろしいかと思います。
討論集会について、ただいま論議を終息させるべきという、そういった議員の質問の意思であるかどうか、その辺はわかりませんが、私といたしましては、第三回目の討論集会を終えたこの時点で、今後について具体的にお示しする段階ではやはりないと、そのように考えております。
ただ、討論集会における論議と県民の理解の進展、これを見きわめながら、県としても責任ある立場にある、このことはしっかりと受け取っているところでございますので、ただいま、先生御自身の中で、今後どう終息させるかという時期的なものについては、繰り返し申し上げますが、現時点ではお答えする段階にはないと、そのように考えております。