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高齢者、障害者への虐待に関する対応について [一般質問(2007年12月)]

質問

(平野みどり)
 続きまして、虐待や暴力のない社会づくりについてで、2番目に挙げております高齢者、障害者への虐待に関する対応について伺います。
 高齢者虐待が大きな社会問題となっております。国は、平成18年4月1日より高齢者虐待防止法をスタートさせました。ちなみに、高齢者虐待防止法では、虐待の発見者には市町村への通報を求めており、対策の中心的な担い手は市町村とされています。本年10月には、法施行後の対応状況についての調査結果が公表されました。
 高齢者虐待とは、高齢者を養護している家族、親族、同居人等や介護保険法等で規定されている福祉サービス従事者などによる身体的虐待、介護、世話の放棄、放任、ネグレクトといいますが、心理的虐待、性的虐待、経済的虐待をいいます。
 今回の調査結果によると、全国で1万8,393件の相談通報が寄せられ、68.4%に当たる1万2,575件が虐待と認定されました。本県では、相談通報は283件で、59.4%の168件が虐待と認定されています。
 虐待の種別では、身体的虐待が最も多く、全国で40.8%、本県が36.4%、全国で2番目が心理的虐待で22.6%、それからネグレクト18.7%と続きます。しかし、本県では、ネグレクトが26.5%で2番目、3番目は経済的虐待20.4%となっています。
 この経済的虐待に関する指摘が、私のところにも多く寄せられるようになりました。つまり、年金を同居家族が生活費や遊興費として使っていて、必要な介護サービスの利用を手控えるケース、また、認知度が進んで経済的な管理が本人でできず、親族も身近にいないというケースなどが挙げられます。
 さて、虐待の発見に当たっては、まずは、直接介護に当たる事業者やスタッフによって発見されたり、地域の民生委員などが発見した場合、市町村が対策に当たる責任を持ち、地域包括支援センターがその拠点であると改正介護保険法ではうたってあります。地域包括支援センターには、保健師、主任ケアマネジャー、社会福祉士の3職種が配置されており、虐待対策と介護予防が業務の柱となっています。しかしながら、虐待対策まで手が回らないなどの課題もあると聞きます。
 特に経済的虐待については、利用可能な制度として成年後見制度があります。この制度は、認知症、知的障害、精神障害のある方など、判断能力が不十分なために法律行為の意思決定が困難な方々を支援する制度です。現在、後見人としては、親族の中で家庭裁判所が的確と認めた方、あるいは高齢者の権利を守る立場の第三者として、司法書士や社会福祉士が後見人として動いている場合もあります。成年後見制度の利用者数はまだまだ少なく、また、利用者の多くは財産管理を目的としており、身体的虐待から守ることや介護保険利用を目的とする場合は非常に少ないようです。
 認知症のある御本人の立場を代弁し高齢者虐待を防止するために、今後は、成年後見制度を積極的に活用していくことが望まれます。市町村長による申し立ても可能ですが、2005年度では、申し立て全体の3.3%にとどまっています。自治体からは、裁判所の決定までに数カ月かかり、緊急のケースに対応できないなど、使い勝手の悪さを指摘する声もあります。
 そこで、高齢者、障害者への虐待予防について、3点伺います。
 まず、高齢者については、介護保険の中で地域包括支援センターの役割を介護予防と虐待対策とされていますが、虐待への対応は進んでいるのでしょうか。
 2番目に、障害のある方については、残念ながらまだ虐待防止の仕組みがありませんが、障害者自立支援法の影響で、保護者が子供の命を奪ってしまうなど、悲惨な事件も全国的に起こっています。虐待防止法がまだない現在、障害のある人については、どの機関が虐待対策の責任を持ち、どう取り組まれているのでしょうか。
 3番目に、市町村は、成年後見制度利用支援事業で後見制度の利用促進を進めることが求められていますが、その進捗状況はいかがでしょうか。
 高齢者、知的障害、精神障害のある方々の申し立て件数、実施している自治体数と今後の見通し、そして支援のあり方についてはいかがでしょうか。
 健康福祉部長にお尋ねします。
 続きまして、児童虐待による一時保護後の子供への支援についても伺います。
 改選後3人の女性議員が誕生いたしまして、浦田県議、そして船田県議、私は、長嶺の児童相談所、そして女性相談機関を訪れました。ともに女性という視点で学び合えることはとても私にとってもありがたいですし、非常に勉強になりました。こういった超党派の女性の取り組みについて、男性の議員の皆さん、ぜひ御支援ください。
 その中で、児童虐待についての悲惨な現状についてもお聞きしました。恐ろしいことに、私たちは、児童虐待という言葉になれてしまうほど日常的に子供の虐待死のニュースを耳にします。余りにも悲惨な子供への虐待の現状を受け、厚生労働省は、2008年4月から施行される改正児童虐待防止法の運用に関するガイドラインの素案を示しました。虐待が疑われる保護者への出頭要求や裁判所の許可状による強制立入調査など、子供の安全確認を徹底するための新制度が充実します。
 今後、子供の安全を何より重視し、虐待が疑われる保護者からの一時保護がさらに進む中で、一時保護後、子供自身が回復していける支援が必要です。しかし、ケース・バイ・ケースとはいえ、おおむね2カ月の保護期間を過ぎると養護施設等に措置されるなど、継続して保護者との分離が必要な場合も少なくありません。子供を家庭に戻せるのは、保護者のもとで安全が保障される場合だけです。しかし、ただ引き離せば終わりというわけでなく、医療的なケアやカウンセリング等による支援も含め、可能な限り家族や親子関係の再生への支援も必要です。
 近年、養護施設に措置された子供には、児童虐待の被害児や高機能自閉など発達障害の子供が大半になってきていて、子供たちも職員も、緊張度の高い状況が続いていると聞きます。これは潮谷知事がよく御存じのとおりです。
 回復と再生という視点から、虐待被害を受けた子供と保護者をどう支援していくのか、健康福祉部長にこの点についてもお伺いいたします。

答弁

健康福祉部長(岩下直昭君)
 平成18年4月から、いわゆる高齢者虐待防止法が施行されまして、これにより制度化されました地域包括支援センターは、高齢者の権利擁護に関する相談機関として位置づけられ、高齢者虐待の対応に努めているところでございます。
 多くの地域包括支援センターが、日常的に高齢者世帯を訪問し、虐待等のリスクの高い高齢者の実態把握に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては、引き続き、さまざまな研修会を通じまして、高齢者虐待について的確な対応をお願いしてまいりたいと思っております。また、関係機関との連携の促進や事例検討会を実施いたしますなど、取り組みの強化に向けて支援をいたしてまいります。
 次に、障害者への虐待についてでございますが、これまで障害者への虐待については法の規定がございませんで、平成18年4月に施行されました障害者自立支援法によりまして、虐待防止に関しての市町村の責務と役割が位置づけられたところでございます。現在、市町村では、3障害すべてを対象といたしました生活や就労、福祉サービスに関します総合的な相談支援体制を整備し、この中で虐待に関する相談にも応じているところでございます。
 県に対しましては、障害者自立支援法で、障害者の権利擁護に関しまして市町村への援助等が位置づけられておりまして、今後は、市町村と協力して虐待の実態把握を行ってまいります。また、早期発見、早期対応のための関係機関によるネットワークづくりなど、障害者に対する虐待の防止につきましても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、成年後見制度の利用についてでございますが、高齢者に係る支援事業の進捗状況は、平成18年度末で、市町村長による審判申し立ての手続を定めている市町村が31、また、制度を利用する際に費用の支援に取り組んでいる市町村が 27、そして、申し立て件数は12件となっております。
 また、障害者に係る支援事業は、重度障害者の適切な障害福祉サービスを確保するための事業としまして市町村が実施いたしておりますが、この事業は、身寄りのない方を対象としておりますことから、平成18年度では、実施市町村が5、申し立て件数は、知的障害者5件にとどまっております。
 県といたしましては、成年後見制度が高齢者や障害者の虐待防止や権利擁護のための重要な制度である、こういう認識のもとに、今後とも、市町村に対しまして、説明会等を通じまして、普及啓発や利用促進に向けて積極的に働きかけてまいります。
 それから次に、児童虐待についてでございますが、今年度から、市町村におきまして、保健師等が、赤ちゃんが生まれた家庭を、生後4カ月までに全戸訪問を行いますこんにちは赤ちゃん事業が始まりましたが、これにつきまして、県として積極的に推進いたしまして、児童虐待の未然防止に取り組んでいるところでございます。
 虐待を受けた児童の児童養護施設への入所割合は毎年増加しておりまして、現在、全国では6割、本県でも4割を超える状況となっておりまして、虐待を受けた児童、そして家族への適切な支援がますます重要となっております。
 先月、本県で開催されました子どもの虐待防止推進全国フォーラムの中でも、家族再統合のあり方が主要テーマになりますなど、親と子への支援が今日的課題として非常に大切になってきております。
 こうした中で、国におきまして、児童養護施設等でのケアの充実が図られておりまして、これに対応して、県におきましても、児童の自立や親子の再統合に向けた支援の充実を図っているところでございます。
 具体的に申しますと、児童相談所の一時保護の段階から、虐待を受けた児童に対しまして、医師の健康診断や児童心理司等によるカウンセリングなどを行い、心理的ケアに努めております。
 また、施設入所となりました児童への支援といたしまして、児童養護施設、乳児院等に心理士や家庭支援専門相談員等を配置しまして、児童の心理的ケアや保護者への援助を行っております。
 さらに、虐待により愛着障害等を起こしている児童に対しましては、できる限り家庭的な環境を提供するため、児童養護施設につきまして、小規模化をさらに促進するよう支援をいたしております。
 また、児童相談所におきましても、保護者に対する精神科医によるカウンセリングや児童に対して作業療法士による集団での遊び、これらを通しまして心理的ケアを行うなど、親子の支援に努めております。
 一時保護所や児童養護施設等には、さまざまな家庭環境の理由によりまして入所する児童がおりますので、その処遇につきましては、それぞれのケースに応じて万全の対応を期しておりますが、きめ細かなケアを進めることによりまして、早期の家庭復帰や親子の再統合が図られますよう努めてまいります。

(平野みどり)
 高齢者の虐待について私がこの質問をしようとした理由の一つに、実はこの11月に 100歳の祖母を亡くしまして、その中で見えてきた介護保険の問題点などから質問を提起させていただきました。私の祖母は、私ごとではございますが、在宅でとにかく死にたいということで、徐々に衰えていく中で、私ども親族で見てまいりました。その中で、良心的な親族、そして良心的な介護スタッフの中では安心して老いて死を迎えられるわけですが、身寄りがなく、そして財産があるなどという場合、介護スタッフの方々もどう対応してよいかわからない、盗んだ盗まないというようなことで訴えられかねないという危険性もございますし、親族の心ない人たちが、その亡くなられた方の財産等をひとり占めしてしまうというか、悪い方に使ってしまう場合もあるわけです。そういった意味での経済的なこの高齢者への虐待というのは、今後ますます深刻となってきますし、課題として市町村に提起される件数もふえてくるものと思われます。
 この成年後見制度利用支援事業に関しましては、市町村の任意の事業でありまして、なかなかまだ進まない、31市町村だということですけれども、今後さらに国にも、こういった高齢者の経済的虐待に対しての支援、市町村へというふうに私ども働きかけていかなければならないというふうに思っております。
 それから、虐待に関しまして、児童相談所で一時保護されている子供たちの様子を見させていただきました。こんないたいけな子供がどういった環境の中で生活し、ここに来るに至ったのだろうかという思いを、浦田県議も船田県議も私も持ちました。そして、その子供たちが今後元気に安心して育っていける環境を整えていくために、児童養護施設等の充実も必要でしょうし、さらには、親子の再生に向けての支援、これも必要だろうというふうに思っています。
 議員の皆さん方のところにも電話がかかってきたりしませんでしょうか。私のところにも何度か、一時保護機関に子供が連れていかれた、何とか取り返してほしいという言葉でした。よくよくお話を聞いてみますと、その保護者の方も、何らかの支援が必要な状況がかいま見られたり、DVの被害者である。夫からの暴力で、お母さんが子供にまた暴力をふるうなどというケースもありました。第一義的には子供の安全、これが第一ですので、私は毅然として、一時保護機関に任せましょうということを伝えさせていただいています。
 このようなさまざまな子供にかかわるケースについて、今後もしっかりと議会としても取り組んでいきたいなというふうに思います。
 それから、ちょっと宣伝になりますが、障害者の虐待防止法がまだない、高齢者虐待防止法、それから児童虐待防止法、DV防止法はありますが、障害者虐待防止法はありません。国連の権利条約、昨年の12月に採択されましたが、この批准に向けて日本も取り組んでいきますが、この中にも虐待防止の取り組みが必要だというふうにうたわれています。(資料を示す)この「障害者の権利条約でこう変わる」というこの本は、熊本の東俊裕弁護士が監修しています。そして、女性への支援についての条項を平野が執筆しておりますので、県庁の地下の売店にあると思いますので、ぜひ読んでいただけたらありがたいと思います。今の世界の流れがわかると思います。


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