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里親制度の現状と課題について [一般質問(2007年12月)]

質問

(平野みどり)
 続きまして、里親制度の現状と課題について入ります。
 先ほど言及いたしましたように、近年、養護施設には、以前のように経済的に厳しい家庭の事情によって養育できない家庭の子供だけでなく、児童虐待で被害を受けた子供や高機能自閉など、課題のある子供たちがふえてきています。養護施設の職員の皆さんは、これまでとは違った意味で、子供の安全で安定した養育が困難な状況もあると訴えられます。そして、閉ざされた空間での極度のストレス状態は、子供同士のいじめ、あるいは職員から子供への虐待も生んでいる状況があると指摘されています。したがいまして、養護施設においては、より高い専門性が求められると同時に、施設の外にも子供の育ちの場をふやしていく必要があります。
 国連の子どもの権利条約の前文では「児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、」と、本来子供は家庭環境の中で育つべきであると言及しています。さらに、第20条では、家庭環境で育つことが一時的あるいは恒久的に困難な場合は、代替的な措置が必要で、その中に養護施設や里親制度も含まれるとしています。欧米と比べて、まだ日本ではこの里親制度への認知が低く、今後一層の里親委託を進めていく必要があると考えます。
 厚生労働省も、社会保障審議会児童部会に社会的養護専門委員会を新設し、里親制度や施設機能の抜本的見直しに向けて具体的な論点を示しました。里親のなり手をふやし、家庭的養護の受け皿を拡充する方策や、児童養護施設職員による入所児童への虐待を防止する実効的な手だてなどを検討する必要があるとし、これを受けて、厚労省は、年内に報告書をまとめ、来年の通常国会に児童福祉法改正案を提出する見込みです。
 養護施設は、どんなに改善しても家庭にはなり得ない、施設でしかないという施設で育った方の声を聞いたことがあります。また一方、養護施設があったから食事もまともにとれて、高校にも行けたという声も聞いています。確かに、養護施設を改善していくための環境整備や人材確保のための予算の拡充も必要ですが、さきに述べた複雑化してきた子供の現状などを考えると、一般的な養育里親や虐待被害を受けた子供を受け入れる専門里親など、育ちの場をできるだけ家庭にシフトさせていく施策転換はますます重要だと思います。
 現在、里親制度をどのように本県で進めておられるのでしょうか。制度そのものの周知が進んでおらず、養育可能な家庭の掘り起こしも進んでいないとか、登録して待っていてもなかなか子供を預かるまでに至らないとの声を聞きます。法改正を視野に、効果的な制度啓発の推進や里親登録者と子供のマッチングや支援に専従する職員の配置など、取り組みに力を入れていく必要があると考えます。
 現状と今後の取り組みについて、健康福祉部長にお尋ねいたします。

答弁

健康福祉部長(岩下直昭君)
 社会的養護を必要とする児童の数の増加や虐待など、児童の抱える背景の多様化が指摘されます中、本県では、主要な役割を担っております児童養護施設等における、より家庭的な環境の中でのきめ細やかなケアを実施する取り組みとともに、温かい愛情と正しい理解を持った家庭の中で、児童の健全な育成を図る里親制度を推進することが肝要であるというふうに認識いたしております。
 県では、中央児童相談所、そして八代児童相談所に里親担当職員を1人ずつ配置し、里親希望者からの相談対応、それから家庭訪問調査の実施、登録里親の家庭状況調査、それから児童委託に至るまでの親子関係づくりの支援など、里親委託の推進に取り組んでいるところでございます。その結果、12月1日現在で86の家庭に登録をいただいておりまして、そのうち、児童を委託しております里親家庭が33、委託されている児童が40名というふうになっております。ただ、平成18年3月末現在の里親の委託率、つまり、児童養護施設等の入所児童と里親委託児童の総数に占める里親委託児童数の割合でございますが、全国平均の9.1%、そして九州平均の5.2%に対しまして、本県は4.3%という状況にございます。
 全国的に里親委託が低い要因といたしまして、児童の保護者からの同意が得られにくいこと、それから里親委託に適した児童がいても、その児童に適合した登録里親が常に見つかるわけではない、こういうことが考えられます。
 前の質問の中で御説明いたしました子どもの虐待防止推進全国フォーラムにおきまして、この中で里親家庭の取り組みが紹介されました。そしてまた、来年のNHKの朝の連続ドラマにおきまして里親家庭が取り上げられるというふうに聞いておりまして、社会的にも里親制度を理解する機運が高まってきているのかなというふうに思っております。
 県といたしましても、里親制度の周知啓発活動の充実を図りまして、新規登録里親の掘り起こしに取り組みますとともに、児童相談所におきます里親支援の充実を図りますなど、里親委託の推進に取り組んでまいります。


(平野みどり)
 里親制度の普及に関しましては、全国平均9.1、九州が5.2、熊本が4.3ということですが、熊本は低いわけですけれども、これは全国的に低いと言わざるを得ない状況だと思います。今答弁にありましたように、里親制度の充実に関しては、全国的な機運が高まってきているということに期待をしながら、里親制度の充実、本県でもしっかりと確認していきたいというふうに思っております。
 実は、私の友人で里親になっている人がいるのですけれども、他県の人なのですが、3歳のときに子供を預かって、今その子が今回高校に入るぐらいまで育っているのですけれども、虐待を受けた――ネグレクトだと思いますが、はっきりしたことは言ってくれませんけれども、受けた子供が3歳から里親に出されたとき、それから成長するまでの過程、いろいろなトラブルもあり、子供の変化もあったそうです。ただ、それでも歯を食いしばって友人は子供を育てています。
 子供の履歴に関しての情報も、きちんと、行政と里親として受けられる方、共有していかなければなりませんし、私の友人のところ、これは、専門里親という形でなく、里親という形で受け入れたがために少しトラブルはあったかと思いますが、専門性のある方の中で、虐待を受けた子供たちも家庭が得られるように支援していきたいというふうに思っています。


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