障害を持つ生徒の受け入れ体制の整備について [一般質問(2007年12月)]
質問
(平野みどり)
続きまして、特別支援学校高等部と高校での障害を持つ生徒の受け入れ体制の整備について伺います。
平成19年度から、本年度ですが、本格的に特別支援教育がスタートいたしました。そして、地元の小学校、中学校に進む障害を持つ子供たちがふえてきています。これら地域の学校は、特別支援教育に関するセンター的機能を担う特別支援学校として位置づけられている盲・聾・養護学校――これらを今後は特別支援学校と呼びます。と連携しながら、市町村教育委員会が第一義的に責任を持ち、特別支援教育を進めていくことになります。
そして、市町村の小学校、中学校で、障害のない子供とともに学び育った障害のある子供たちが、次の段階でどこに行くのかという問題では、行き場がない子供をつくらないという点で、保護者の要望を受け、一般高校への道がまだ厳しい子供たちの選択肢として、県教育委員会は、養護学校高等部への全入に取り組んできました。しかし、盲・聾学校は別として、養護学校の高等部の場合、希望者が熊本市とその周辺に集中しており、熊本養護学校や大津養護学校などは希望者全員を受け入れられず、通学時間が1時間半以上もかかる周辺の養護学校に通学を余儀なくされている子供も少なくありません。障害のない子供でも1時間半は過酷ですが、障害を持つ子供にとっては、通学だけで相当の負担になっています。
ニーズと学校の定数にギャップがあり、早急な改善が必要です。来年度の募集要項によれば、松橋養護学校に園芸科と工芸科が新設され、16人の軽度の知的障害のある生徒を受け入れる体制がつくられるようです。ここで、県南の進学ニーズは一定程度改善されることが見込まれます。しかし、まだ熊本市と周辺の問題が解決するわけではありません。
そんな中、熊本市に対して養護学校を新設してほしいという要望が、手をつなぐ育成会から上がっているようです。残念ながら、財政的にも特別支援教育の流れからしても、新設の養護学校の設置は現実的ではないように私には思えます。ただ、盲・聾・養護学校を持つ本県としては、最も通いやすいところに高等部が欲しいという声にはこたえていかなければなりません。したがって、定数を充足していない県立の特別支援学校の空き教室活用や学校そのものの再編、あるいはその他の県営施設の活用などで、このアンバランスを解消し、最も通いやすいところに高等部があって、そこに入学できる環境を整える必要がありますが、どう取り組まれるのか、伺います。
また、文科省は、特別支援教育は高校についても推進するとしており、本県でも特別支援コーディネーターの配置が進められています。本年度は、文科省のモデル事業として、芦北高校で特別支援教育の実践を行っていますが、盲・聾・養護学校の高等部での受け入れだけでなく、一般高校や農業高校などでも障害を持つ生徒の就学の道を開くなど、もう踏み出していく必要があると思います。今後の取り組みはいかがでしょうか、見通しについて、教育長に伺います。
答弁
教育長(柿塚純男君)
まず、障害のある児童生徒への就学支援のあり方についてでありますが、本県の市町村教育委員会では、就学指導委員会で専門的知識を有する方々の意見を聞き、最終的には保護者と協議し、就学する学校を決めていただいております。県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会が一義的な責任を果たしていただき、主体的に就学支援を行っていただきますよう、今後とも就学指導連絡協議会等を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
次に、熊本市及びその周辺地域における特別支援学校高等部への進学についてでありますが、毎年度、進路希望調査を実施させていただきまして、できるだけ多くの希望者がいずれかの学校で学べるように募集定員を定めさせていただいております。平成20年度は、軽度知的障害者の高等部への希望者増加に対応するため、松橋養護学校に職業学科を新たに設置し、16人を募集いたしますとともに、熊本市及びその周辺地域の特別支援学校高等部における募集定員枠を12人拡大したところでございます。
特別支援学校の再編整備につきましては、今後、各地域における児童生徒数の推移や特別支援学校の施設設備の状況を精査し、現有施設の有効活用を含めて検討してまいりたいと考えております。
最後に、知的障害者の方々の高等学校への進学についてでありますが、県立高等学校の入学者選抜に当たりましては、御案内のように、各高等学校が学科、コースの特色に応じて、必要な能力、適性等をもとに入学の可否を判定しているところでございます。
また、すべての県立高等学校に対しまして、教育上特別の支援を必要とする生徒に対しまして適切な教育的支援を受けることができますよう、校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーターの指名など、校内支援体制の整備に努めているところでございます。結果といたしまして、現在約8割の高等学校で支援体制が整備されておりまして、残りの学校も来年度当初までに整備される予定であります。
さらに、高等学校における発達障害者支援についてのモデル事業を進めておりまして、今後は、その研究成果を生かしますとともに、本年8月、私ども県教育委員会で作成いたしました特別支援教育推進ガイドブックの趣旨に沿って、特別支援教育の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
(平野みどり)
議員の皆様方には釈迦に説法かもしれませんが、特別支援教育の流れについて、少し話をさせていただきたいと思います。
これまで、養護学校の義務化ということで、地域の学校にも行けなかった子供たちが養護学校には行けるという体制がつくられてきました。ところが、世界的な流れの中で、盲・聾・養護学校だけの中でなく、地域の学校を志向する保護者や当事者がふえてきて、それに対応するために特別支援教育がスタートしたというふうに認識しております。
この特別支援教育のもとで、生まれ育った町の小学校、中学校に入って、そこで必要な支援を受けながら勉強し育っていく、どうせ大人になったら障害のある人たちもそうでない人たちも一緒の環境になるわけですから、できるだけそういった環境を学齢のときからつくっておこう、そして必要な支援を手だてしていこうという考えです。その中で、盲・聾・養護学校は、これまで培ってきた専門性を地域の学校の中に届けていく、いろんなことが、相談があった場合それに対応していく、そういった機能を果たしていき、存続していくということを文科省が言っているわけです。
先ほど紹介した障害者の権利条約の中では、原則分離ではなくて原則統合ということが世界の流れであるというふうに言っています。これはまさしく特別支援教育で言っているところの流れですけれども、特別支援教育は、そういった流れを受けて始まっているのですが、まだ予算的な部分で十分な手だてがされていない、支援が必要な支援に関して十分手だてがされていない。早田県議が質問されましたように、特別支援教育の支援員、これの配置もまだ市町村すべてで終わっていない。そして、交流をしたいと言って盲・聾・養護学校の生徒が来ても、そして地域の学校に戻りたいと言っても、何か迷惑なような態度をとる学校長、管理職もまだいるというふうに聞いています。柿塚教育長がどんどん進めていますということですので、ぜひそれに期待したいと思っています。
第一義的に学籍簿も含めて地域の学校が責任を持つのだということを確認して、次の質問に移りたいと思います。