高校再編に関して [一般質問(2008年6月)]
質問
(平野みどり)
知事は、貧しい家庭に育ち、アルバイトで家計を支える生活の中で、決して勉学にたけてはいなかったとおっしゃっていますが、ただ、図書館の本を読み尽くすほどの読書量を持ち、競争レースにくみしない、ある意味精神的余裕のある学校生活を送ってこられました。しかし、もし地元に通える学校がなかったらと想像されたことはおありでしょうか。体力や時間を要する遠方の学校で、交通費がかかる学校では、学業が続けられていたでしょうか。
今、教育に求められているのは何なのでしょう。ともに学び、ともに育つという言い方は、競争し、他人をしのいで上へ上がることではないはずです。時代が求めている人材を育てる教育とは、どんな困難な時代においても、さまざまな人とのコミュニケーションや人間関係を構築でき、多様な仲間集団の中で他人の価値を認め、自分自身の価値に気づき、自信と誇りを持ち、みずから課題解決へ道を切り開いていく力を持つ人材を育てることではないでしょうか。
今回の高校再編は、急速な少子化という現実と地域再生の課題をどう折り合わせ、財政危機にある現状の中で、熊本県の後期中等教育を再編していくかの重い課題なのですが、さきに述べましたような視点がやはり根底になくてはならないと思います。
そこで、高校再編に関する知事のお考えについて何点かお尋ねいたします。
学校を評価する指標として、どこの大学に何人入った、国立に何人入ったというようなことですが、教育者知事として、上位進学校を頂点にこのいびつなピラミッドがつくられている今の熊本県のあり方をこそ改革していただきたいと期待しています。
いわゆる、学力が上位から下位までいて、さまざまな生徒が学び合う多様性のある高校こそが評価されていくようでなければ、21世紀の次々に押し寄せる課題を解決する柔軟な人材を育成する教育機関とはなり得ません。
県立高校の使命とは、東京や大都市を目指す生徒を選び、送り出すことなのでしょうか。高校卒業後あるいは地元の大学や専門学校を経たりした後、地元で納税者になる人材こそ大切にしなければなりません。
さらに、地元の意見へ十分な配慮を行うことが必要です。蒲島ゼミなどは、ぜひ統廃合が対象とされているような学校にまず行かれて、そして、その学校で子供たちや地元の方とデータを共有し、そして解決への話し合いをするという、そういう姿勢も必要だと思います。
ことし4月、千葉県と長崎県で、入学金が払えなかった高校生が入学式に出席できなかったと、させてもらえなかったという報道がありました。いわゆる、本県でも貧困層の出現が顕著になってきて、高校進学を断念する中学生や、アルバイトと勉学の両立が難しく、中途退学を余儀なくされる高校生がじわじわふえていると聞きます。先生方が、各種奨学金、授業料減免の申請のあっせんに、これまで以上に丁寧に取り組んでおられます。せっかく98%に達している高校進学率が落ちたり、高校中退がさらに顕著にならないように、地元で通える高校を残していくことは重要だと考えます。
教育者知事としての教育観と高校再編について、知事のお考えをお聞きいたします。
答弁
知事(蒲島郁夫君)
自分自身の体験あるいは大学という教育現場に携わってきた経験から得られた人生観というものは、私は3つあると思います。1つは、私は恵まれない環境に育ちましたので、それでも皆さんの前にこうやって立っておりますので、人間の可能性は無限大であるということだと思います。そして、今の状況を悲しまず、むしろ今の状況が悪ければ悪いほど、立場が悪ければ悪いほど、将来に向かって得られる喜びは大きくなるというふうに、ポジティブ思考に考えること。そして、何よりも夢を持つことと夢に向かって一歩踏み出すことが大事であり、そうすれば必ず道は開けてくると思っています。その意味で、熊本の教育が夢へのかけ橋であってほしいというのが私の願いです。
御質問の中で述べられたように、さまざまな人とのコミュニケーションや人間関係を構築でき、みずから課題解決へ道を切り開いていく力を持つ人材を育てることは、高校を初めすべての発達段階における教育にとっては大事なことだと考えております。
先ほど出前ゼミについてありましたけれども、実は高校再編の中で今話題になっている阿蘇高校と阿蘇清峰高校はもう既に講演をしておりましたので、今回はそこを選ばなかったというケースもあります。
高校再編については、選挙期間中に各地を回った際に、地元の方々からさまざまな意見をいただきました。私自身がいま一度考えてみる必要があるとその中で感じ、凍結という発言を選挙中にいたしました。
地域との協議については、教育委員会において、あるべき高校の姿について地元と意見交換を行いながら、丁寧に進めていかれるものと期待しております。
私としては、地元の高校に通いたくなるような魅力ある高校、子供たちや保護者が夢の持てる特色のある学校づくりができれば、地域の理解が得られるのではないかという気持ちが強くあります。
このような私の教育に対する思いについては、教育委員会の方々や教育長とも意見交換を行った際、しっかりと受けとめていただいております。今後も、必要に応じて意見交換を続けてまいりたいと考えております。
また、地元での通える高校の存続についても、地域における通学事情も十分酌み取りながら検討していただきたいと考えています。
(平野みどり)
知事には教育者知事という冠がついておりますので、県民は本当にそれを信じております。どんな立場の子供も、どんな子供も教育が受けられる環境づくりに、高校再編に向けてはまずその点をしっかりと踏まえていただいて、教育委員会と連携していただきますように心からお願いいたします。