組織と人事のあり方について [一般質問(2008年6月)]
質問
(平野みどり)
知事のマニフェストには、時間外勤務、つまり残業の半減とあります。半減もしくは縮減という方向で実際は進むことになりますが、時間外については極めて深刻な問題だと私はとらえています。
時間外の業務内容については、上司の十分なチェックが必要であり、現在コンピューター上で申請して許可する仕組みができています。しかし、それが一部形式的な手続になっていることはないでしょうか。また、所属長が認めた時間を超えて、どうしても延長しなければならない場合、サービス残業のままにさせてはいないでしょうか。さらには、所属長が不在のときなど、決裁がおりないままサービス残業になってしまう実態はないのでしょうか。決裁の権限を審議員や班長にも与えるなど、柔軟な運用が必要であると考えます。 職員も好きこのんで残業しているのではありません。残業を減らして、職場と私生活をうまく切りかえながら健康に暮らしたいと思っています。
そもそも、県庁内から漏れ聞こえてくるのは、残業が多い部署の上司が他部署に異動すると、そこも残業が多くなるという実態です。つまり残業をつくりがちな上司が決まっているということです。職員の業務量を正確に把握せず、管理職みずから残業をふやしてしまうような指示を出したり、文書や資料をすべて部下に作成させ、部下が手とり足とりで本来業務以外にも忙殺されるなど、そもそも管理職としての能力を疑わざるを得ない職員もいます。できる限り残業をさせないで早く帰るようにと指導するだけでなく、管理職には残業管理を含む労務管理の強い意識が求められます。
さらに、所属長である管理職は、夜10時以降の残業の実態や原則として残業が認められていない土日のサービス残業の実態を把握しているのでしょうか。公務と認められていない時間に事故に遭ったり、病気で倒れるなどしても公務災害と認められないなど、これは職員としても危険な労働と言えます。
財政面からの時間外手当縮減というアプローチだけでなく、今職場に求められているのは、ワーク・ライフ・バランス、つまり仕事と家庭、個人の生活のバランスをとることです。良好なメンタルヘルスの維持や人生設計のための余暇活動、家庭の中での子供と語り合い、過ごす時間が、本来の業務に与えるプラスの影響が極めて大きいことを改めて認識する必要があります。
時間外勤務の実態と管理職への指導のあり方、縮減への今後の取り組みについて伺います。
次に、透明性のある人事システムについて伺います。
本県では、平成11年に策定した人事管理・人材育成基本方針に基づく人事評価制度にかわって、平成19年3月に人材育成ビジョンを策定し、その周知が進められております。
この評価制度では、本県の求める職員は、気づき、描き、実現する職員として、1、目標設定、管理による評価、2、コンピテンシー評価、3、キャリアビジョン研修、4、能力本位の人材登用としています。
この中のコンピテンシー評価とは、成果行動評価と言われ、具体的な行動事実に基づき評価することとされています。すなわち、高い業績を上げる者に共通して見られる行動特性をもとに、職員に求められる行動モデルを整理し、このモデルと職員の実際の行動とを比較して評価するものだそうです。
公務員の行動には厳しい目が向けられています。立場や役割を一人一人が自覚し、それぞれの行動モデルを基本に、気づき、描き、実現する職員としてスキルアップすることは、県民にとっても重要でありますし、職員の士気も上がることが期待されます。
しかしながら、常に公務員の職種は、それぞれ業務分掌が異なっていても、チームで仕事をしているという認識が職場にあり、業務量のバランスにそれぞれが気を配りながら進めていかなければなりません。同じ場所で仕事をしていても、それぞれが孤立し、業務量の加重や課題の重さをバランスよくしなければ、成果を上げるどころか、メンタルヘルスを含めて健康を害してしまいます。
お役所仕事は終わりですという知事のマニフェストの一節を引き合いに出すまでもなく、市民と直接向き合う市町村職員と異なり、市民の声や切実感をダイレクトに受ける部署が余り多くない県職員としては、一層目線を常に県民に置き、厳しく職務を遂行する必要がありますが、それもこれも健全で風通しのよい職場でこそこのモラルを保てるのです。成果を上げる職員1人の下には、さまざまな連携で実現を支援する仲間である職員がいることを忘れてはなりません。
公務員に求められるコンピテンシーについては、上から押しつけるのではなく、それぞれの職場でも大いに議論を積み上げ、本県らしくつくり上げていく必要があると考えます。そして、その評価に当たっては、本人への評価結果の開示が重要です。
また、特に管理監督職コンピテンシーも重要で、管理職の成果行動の評価については、能力、目標、個人としての生活がそれぞれ異なる部下職員が、健康的で最大限に力が発揮できるような環境をつくっていくこと、そのことが何より行動評価の最重要項目でなければなりません。そんな管理職へのコンピテンシー評価については、部下からの逆評価も必要です。
以上、職員本人への評価の開示、クレーム処理機関の設置、管理職へのコンピテンシー評価を含め、今後、コンピテンシー評価など人事システムを、公正、公平、納得性、透明性の4つの視点を踏まえて、いかに運用していかれるかをお尋ねします。
次に、女性職員の管理職倍増について伺います。
平成20年度の職員全体における女性の職員の割合は2割、20.6%で、課長級以上に占める割合は4.2%、係長級以上でも13.3%で、まだ昨年度と比較してもそれぞれ1%のアップにとどまっています。
そんな中、蒲島知事のマニフェストで印象的だったのは、管理職の割合が全国最下位付近で推移してきた本県で、部長、次長に女性をふやしますというような、直ちに成果が上がりそうもない目標設定ではなく、4年間で着実に管理職倍増へすそ野を広げるという意味での女性職員の係長職倍増でした。係長職でその適性をじっくり見きわめ、将来の幹部候補職員へと引き上げていくという点も重要です。しかも、単にふやしやすい福祉分野だけでなく、あらゆる分野、部署において着実にふやすという点も着目したいと思います。
このマニフェストの実現に向けて、数値目標設定を含め、今後どのように取り組んでいくか、お尋ねいたします。
次に、係長試験の導入検討について伺います。
熊本市では、課長昇進試験の導入に続き、係長試験が始まると聞いています。試験というと、その前に試験対策で本来業務がおろそかになるという見方もありますが、最低限の職員としての知識や認識を、改めて客観的に確認するためのステップという側面もあります。年功序列を全否定するつもりではありませんが、職責への最低限の力を備えているかを見て昇進を判断することは重要ではないでしょうか。例えば、係長昇進において、客観性を持つ係長試験を昇進決定の評価の一部に組み込むなどという方法もあります。
係長試験の導入検討についていかがお考えか、総務部長にお尋ねいたします。
答弁
総務部長(角田岩男君)
時間外勤務につきましては、職員1人当たりの時間数がここ5年間で約13%減少しているものの、個々の職員を見てみますと、長時間の時間外勤務をせざるを得ない職員がいるのも事実でございます。
そのため、多忙な職場への応援職員の派遣や用地交渉など業務実態に応じた勤務時間の設定、業務配分の見直しなど、さまざまな負担軽減策を講じるとともに、職員の心身の健康をケアするため、医師や保健師などによる相談体制も整えてきております。
また、時間外勤務命令の決裁に当たりましては、代決を認めたり、予定以上に時間外勤務を行った場合でも、事後に承認するなど、サービス残業とならないよう柔軟に対応しているところでございます。
さらに、管理職に対しましても、特定の職員に業務が集中し、時間外勤務が常態化していないか、また、健康状態に問題はないかなど、日ごろから職員の様子に注意を払うよう、意識の徹底を図っているところでございます。
今後とも、時間外勤務のさらなる適正管理と一層の縮減に向け、全庁的に取り組んでまいります。
次に、透明性のある人事システムについてでございますが、今年度から新たな人事評価としまして、実績評価と成果行動評価、いわゆるコンピテンシー評価を段階的に導入することとしております。
新たな制度は、評価基準の明確化や上司による部下職員への育成面接を充実することで、客観性や納得性の向上につながるものと考えております。
ただ、評価結果の開示につきましては、制度の定着や評価レベルの均一化を図るなど、まだ克服すべき課題もあります。まずは、育成面接の機会などを通じて、職員の適性やすぐれた部分を中心に、本人にフィードバックすることから始めたいと考えております。
したがって、苦情処理機関の設置につきましては、評価結果の開示を検討する中で考えてまいります。
また、管理職につきましては、その役割の重要性から、一般職とは別の視点で、職場の環境づくりや部下育成といった成果行動評価の項目を設定しまして、それを評価することで管理職の意識改革を進めてまいります。
今後は、より公平、公正な運用を図るため、評価者を対象とした実務研修に着実に取り組むとともに、絶えず制度の検証や見直しを行ってまいります。
次に、女性職員の登用についてでございますが、今まで政策、企画、そういう部門などに配置をしてきたところでございまして、それに加えまして、海外や企業、国への派遣研修を積極的に行うなど、将来の管理職を担う課長補佐や係長クラスの人材育成に取り組んでまいりました。
その結果、今年度、知事部局の女性管理職登用率が4.2%となり、ここ5年間で見ますと倍増いたしましたが、依然としまして全国平均を下回っている状況ではございます。
したがいまして、各種研修に加え、仕事と家庭生活が両立できるような、そういった職場環境づくりをさらに進め、まずは13%台となっている役付職員に占める女性の割合を、全職員に占める女性の割合であります20.6%まで引き上げることを目指して、マニフェストの実現につなげていきたいと思っているところでございます。
次に、係長試験についてでございますが、試験を行うということは基礎的な知識を確認できるといった効果はあるものの、一方で、受験時期にある職員の環境の違い、例えば担当業務の忙しさの違い、また、子育てや介護といった家庭の事情などにより職員間の公平さが保たれないおそれがあるなど課題も多く、現在のところ試験の導入は考えておりません。
ただし、成果行動評価制度では、係長に必要な最低限の能力や意欲を備えているかどうかを、職員の具体的な行動で客観的に評価することを目指しております。その評価結果は昇任の重要な判断材料ともなります。まずは、この評価制度がしっかり定着するよう努めてまいります。
(平野みどり)
数値目標も設定されているので、それに向かってしっかりと取り組んでいただきたいと思います。係長試験がなくても、その能力がしっかり見きわめられるような方法も今後検討していただきたいと思います。また、いつか必要が生じた場合は、その検討も考えていただけたらなというふうに思っています。何よりも、客観的に、だれもが納得のいく人事でないと、職員は意欲がそがれてしまうということがあるのではないでしょうか。