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荒瀬ダムの問題について [一般質問(2008年6月)]

 質問

(平野みどり)
 6月4日、私にとっては忘れられない日となりました。川辺川ダム問題の決断を9月に控え、有識者会議の議論の進展とともに蒲島県政の最初のクライマックスが訪れることに緊張と期待を覚えながら、心新たに、ダムによらない治水を考えていきたい私たちの立場として、さらに何ができるかを考えていた矢先の荒瀬ダム撤去凍結表明でした。まるで頭を後ろからがつんと打たれたような衝撃でした。
 理解に苦しむのは、政治家としての発信の手法と撤去凍結の理由でした。会見議事録を読ませていただきましたが、納得のいく内容ではありませんでした。企業局からだけによる不十分な試算、老朽化し役割を終えたダムを、水力発電でわずかな利益が出るからと、撤去はもったいないという考え方、幾ら財政的な問題があるとはいえ、大局的な見地から判断していらっしゃるとはとても私には思えませんでした。
 昨日、そして一昨日、代表質問を聞いておりまして、荒瀬ダム撤去方針について、凍結して議論をした上で最終的に判断すると答弁されております。参加型民主主義に基づき、そのように進められることを切に期待いたします。その上で、2点伺います。
 水利権更新が平成22年3月までで、平成22年4月からダム撤去に着手するスケジュールを踏まえ、早い時期に議論する必要があり、タイミングとしてはぎりぎりであったと述べられております。これから議論を深め、総合的な判断をし、最終的な結論を出すとすれば、議論が担保されるタイムリミットは、一体いつを想定されているのでしょうか。いろんな立場の方々を巻き込んで開かれた議論にしていくための時間を、私たちはどれだけ与えられているのかということをお聞きいたします。
 次に、これまでの撤去を前提とした堆積土砂撤去工事等でかかった費用や工法、ダム事業継続とした場合、今後見込まれる費用等の試算については、先ほど言いましたように、これまで出されたデータでは不十分です。詳細なデータが開示されていないに等しい状況です。
 きのうの大西県議の質問でも答弁がありましたが、これだけの方針転換をするのですから、徹底的な情報公開が必要だと思っています。なぜコストが当初予想を上回ってきたのか、発注先、落札率も含めて、すべて情報を開示して県民の前に提示していく必要があります。その上で県民にさまざまな意見や提案を求めていくべきです。徹底した情報公開についていかがお考えか、伺います。

答弁

知事(蒲島郁夫君)
 お尋ねの1点目、ダム撤去か発電事業の継続かの結論をいつまで出すのかですが、その前提として、まず、平成22年3月末で荒瀬ダムの水利権の更新期限が到来します。平成22年4月からダム撤去に着手するスケジュールであることを考える必要もあります。その一方で、地元関係者の皆様に対して、方針変更した理由を説明する機会を設け、水質対策、環境対策、地域対策について早急に方策を示しながら、丁寧に説明を行う必要もあります。
 水利権の更新期限まで十分な時間がない中で、さらなる検討や議論にできるだけ時間をかけたいという、一種のジレンマに苦慮しております。県としては、でき得る限り年内には総合的に判断をして結論を出さなければならないと考えています。
 情報公開についてですけれども、撤去工事に関する積算関係資料につきましては、今定例会の経済常任委員会において示すこととしております。地元説明会においても、わかりやすくお示ししながら御説明申し上げていく所存です。


(平野みどり)
 先ほど申し上げましたように、今回の不十分な試算が企業局のみの発想で、試算であったということは、大変重大な問題だと思います。県全体の英知を結集して、どういう方法がいいのかということをまず議論をして、そして一つの案として提示をするのならともかく、ああいった凍結という言い方は、地元の皆さんに本当に大変失礼だと私には感じられました。
 知事も御存じのとおり、年に数度、1カ月間の水門ゲート開放によって、どれだけ球磨川、八代海の環境が好転してきたか、現地の声をじっくり聞く機会をつくった上で何らかの方向を提案されるならともかく、余りに情報ソースが限られた上での唐突な発表だったと言わざるを得ません。発表時にも、これから説明していくと、説明という、結論ありきと思われても仕方ない姿勢であったことも否めないです。
 さまざまこれから議論していかなければならない点、財政が厳しいのであれば、地元も納得し、県も負担を強いられないほかの方法はないのか。もちろん撤去が一番ベストです。水利権更新の問題を含めて、法的な問題はないのか。不毛な法定論議に持ち込まれるよりも、英知を結集して最善な方法をとる必要が私にはあると思っています。
 先ほどのゲート開門も、しばらく続けていけば八代海の環境はさらによくなり、漁獲も上がっていくというのは漁民の皆さんの実感なんです。たった平成13年から今まででもそれだけ効果が上がっているのですから、いかにダムで水の流れが遮られていたことが環境に大きな影響を出していたかということが私たちにも想像できます。そういったことを科学的に検証しなければなりません。
 本当に国内のあらゆる英知を結集して、この問題への解決をどうしたらいいかということを問うてもいいのではないかと思っています。立ちどまる勇気も必要です、知事がおっしゃるとおり。しかし、過ちや不十分な判断なら引き返す勇気も必要です。まずは流域住民、漁民の皆さんに、唐突だった手順について謝罪をされ、同じ目線で改めて双方にウインウイン――きのう大西さんも言われましたが、双方にウインウインな方法を考えていく、そういう必要があると思います。これからの県の知事を初めとした執行部の取り組みについて、ちょっと心配ではありますけれども、大きく期待をさせていただきます。


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