特別支援教育の取り組みについて [代表質問(2009年2月)]
質問
(平野みどり)
管理職任用のあり方と研修のあり方について。
平成19年度から特別支援教育が本格的に施行されて、やがて3年目を迎えます。障害を持つ子供自身や保護者の意向を丁寧に把握し、地域の学校か養護学校を保護者や子供自身が選択し、選択した学びの場で教育のプランをつくり、必要な教育上の配慮や支援を明確化していくのが本来の特別支援教育であり、その実践が各地で進んできています。
従来の身体障害や知的障害に加え、近年では、発達障害を持つ児童生徒への支援の必要性も顕在化してきました。教職員研修を通じ、医療機関を通じて、または現場での実践を通じて、彼らへの理解と支援が広がりつつあります。
発達障害の子供は、知的レベルの高い子供も少なくないことから、いわゆる進学校にも在校しています。そして、発達障害の子供や家族のつらさは、その障害が一見してはわかりづらく、特定のことへのこだわり感や他者との関係性づくりの難しさなど、コミュニケーションの困難さ等にあると言われています。したがって、それゆえに障害への無理解により人間関係が悪化し、結果的に不登校になる子供も少なくありません。
正しい理解と適切な支援があればトラブルは回避でき、障害のない子供たちとともに教育を受けて育つことができますが、まだその理解が進んでいない現状があります。
2004年に制定された発達障害者支援法も、これまでの障害関連法の対象とならない発達障害のある子供たちや大人への支援の必要性をうたった法律であることは御承知のとおりです。
さて、知的障害を伴わない発達障害の子供は、当然養護学校の対象児童生徒ではなく、地域の小中高校で教育を受けていくことになります。しかし、現場や保護者からの声として、地域の学校での対応が悪く不登校になってしまったとか、常に特別支援学級にいるのではなく、通常学級を親学級として、できるだけほかの児童とともに学ばせたいが理解してもらえないとか、知的レベルではボーダーラインなので、後々に養護学校高等部に入りやすいように、中学校から養護学校に転校するように勧められたなどという声を、多く保護者や現場から聞いております。
小中高校での障害を持つ児童生徒の受け入れがスムーズにいくかは、ひとえに管理職である校長が特別支援教育を正しく理解して実践のリーダーシップをとれているかにかかっています。ほかの児童生徒、教職員集団、PTAを含め、担任だけでなく、全体で取り組んでいくことが重要です。
しかし、障害のある子供があからさまに迷惑がられたり、担任や特別支援教育コーディネーターに任せ切りである校長も少なくありません。昨年発覚した上益城郡内の小学校の校長が地域にある施設の子供を受け入れない状態が半年以上続いた例などはゆゆしき問題です。
特別支援学校だけでなく、これからますます地域の小中高校のどこにも、発達障害を含め、さまざまな障害を持つ児童生徒たちが通ってきます。小学校、中学校の管理職の任用に当たっては、特別支援教育コーディネーターとしての経験を持つ者、高校の管理職においては、同じ県立の盲学校、聾学校、養護学校など、特別支援学校に在籍した経験を持つことを任用の条件にするなど考えていく必要があるのではないでしょうか。その経験により、子供の障害、必要な支援が理解できるだけでなく、当事者の目線、福祉機関、医療機関、地域との連携のスキルも身につき、そのことはほかの生徒への教育にも生かせることは明らかです。
加えて、今行われている県教委の管理職研修については、座学だけではなく、実践例を紹介しながらワークショップ等も組み込むなど、管理職の認識と理解が深まるような工夫をすべきと考えます。特別支援教育を踏まえた管理職の任用のあり方、研修のあり方について伺います。
次に、高校での取り組み実践についてです。
県立芦北高校は、平成19年、20年度と、文部科学省のモデル事業指定を受け、特別な教育支援を必要とする生徒に対して、個別計画に基づいた進路実現を目指す支援のあり方というテーマに取り組んでこられました。2月24日に、芦北青年の家でその報告会が開かれ、私も参加させていただきました。
このモデル事業は、全国14カ所が指定を受け、そのうちの1カ所が芦北高校でした。報告では、発達障害があると思われる3名の生徒に3名の特別支援コーディネーターが中心となって取り組み、学校全体での教育活動、生活支援、就労支援などが紹介されました。本人や保護者が障害を認識し、支援の必要性を確認していくプロセスなど、大変すばらしい実践だったことが理解できました。その中の1人は、職場実習を経て、県南の観光地の宿泊施設に就職が決まったといううれしい報告もありました。
子供や保護者に丁寧に寄り添い、学校全体で取り組むことにより、発達障害の子供も、その他の障害を持つ子供も、友達集団の中で他者との関係をつくりながら、学び、育ち、卒業後は地域の一員として巣立っていけることがよくわかりました。
このような取り組みを県下のどこの学校でも進めていかなければなりません。今後、この芦北高校での実践を生かし、どのようにほかの高校や小中学校でも取り組みを進めていくのかもお尋ねいたします。
3番目として、養護学校高等部の再編について伺います。
養護学校高等部を希望する知的障害のある生徒が、希望する最寄りの養護学校に通えないというケースはまだ続いており、全県的なアンバランスの解消が必要です。
今年度から、松橋養護学校に工芸と園芸から成る専門学科ができたため、県南での高等部への希望ニーズにはほぼ対応できるようになりました。熊本市には養護学校が熊本養護学校1校しかないため、熊本市内から大津養護学校や菊池養護学校などに通わざるを得ない生徒がいる現状です。
熊本養護学校には、現在、知的障害のある生徒のほか、医療的なケアが必要な重度心身障害のある生徒が通学しています。県議会からも要望し、平成14年から、県費で看護師を養護学校に派遣するほほえみライフサポート支援事業がスタートしましたが、この事業は、現在もほほえみスクールライフ支援事業として継続しており、それまで大きかった保護者の付き添い負担が軽減されました。ただ、看護師が配置されても、重い障害の子供はどうしても救急対応が必要な場合もあり、救急車が間に合わず、不幸にも命を落とした生徒もおり、熊本養護学校では救急医療が課題となっていました。
そこで、既に保護者から要望があっているようですが、自宅から熊本養護学校に通う重度心身障害のある生徒が学ぶ場を、画図にある、医療機関でもある江津湖療育園に分校として設置してはどうでしょうか。
既に江津湖療育園には、入所している児童生徒のために熊本養護学校の訪問学級が設置されており、何より救急医療体制が整っている施設です。江津湖療育園に重心の児童生徒が通うことになれば、熊本養護学校本校にスペースがあき、知的障害のある生徒の定員をふやすことができ、結果的に県内の養護学校高等部のバランスが改善されると思われますが、いかがでしょうか。
さらに、組織改編について伺います。
12月議会でも鎌田県議が質問されておりましたが、これまで述べてきたように、今まさに特別支援教育は、教育委員会全体で取り組むべき最重要課題の一つとなっています。
現在、高校教育課の中に特別支援教育班が置かれていますが、義務教育課管轄の小中学校での実践と高校や養護学校での実践を統括し効果的に推進するためには、課を横断できる位置づけにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
以上4点について、教育長に伺います。
答弁
教育長(山本隆生君)
まず、管理職任用のあり方でございますけれども、お尋ねにありましたように、管理職が特別支援教育の経験者であれば、障害のある児童生徒への理解が容易であるという面は確かにございます。一方で、管理職としての幅広い視野や学校経営能力及び指導力等は、これまた欠かすことのできない要素であると考えております。
今後とも、これらの要素を総合的に判断して、管理職としてふさわしい人材を登用してまいりたいと考えております。
次に、管理職研修のあり方でございますけれども、御質問にもありましたように、管理職の認識とリーダーシップが極めて重要でございます。それに加えて、校長は、特別支援教育に関する学校経営が子供たちの将来に大きな影響を及ぼすことを自覚し、常に認識を新たにして取り組む必要があります。
こうしたことから、県教育委員会では、管理職に対する特別支援教育の研修を毎年実施しております。認識と理解が深まるよう実施方法や内容を工夫するなどして、さらに充実に努めてまいります。
次に、高校での取り組み実践でございますけれども、2月に芦北高校が開催した研究発表会には、県内すべての県立高校が参加し、高校における支援のあり方について学びました。来年度からは、この事業を中心となって進めた教員が講師となって、小中学校、高校にモデル事業の成果を定着させていきたいと考えております。
次に、養護学校高等部の再編でございますけれども、熊本養護学校高等部への進学希望者が増加傾向にあること並びに熊本養護学校本校で学ぶ重度重複障害のある児童生徒の救急時対応については、教育委員会としても、安心、安全な教育環境を整備する観点から、極めて重要な課題と認識しております。
今後、有識者から成る協議会を設置し、意見を十分聞きながら、県立特別支援学校の今後のあり方について、早急に検討してまいりたいと考えております。
最後に、特別支援教育を担当する組織の改編についてでございますけれども、今後のこれらの業務の動向を勘案し、現在、新たな組織体制の検討を行っているところでございます。
(平野みどり)
障害者雇用枠を教育委員会にも課してほしいと、つくってほしいということですが、知事部局の中には障害者雇用特別枠がありますので、一定程度の割合で入ってきますから雇用率は達成しています。しかし、県教委の場合は、事務職の方たちの中には障害を持っている方はいらっしゃいますが、教職員の中にいないということで、雇用率は、分母として教員が圧倒的に多いので達成ができていないという現状があります。これを一日も早く改善するために――佐賀県では障害を持つ教員の雇用枠を設けております。ぜひ検討していただきたいと思います。