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有明海ノリ被害等海洋異変に関する申入書 [その他報告]

   平成13年2月13日 熊本県知事   潮谷義子 様
           県議会 県民クラブ   代表 中島隆利

 有明海ノリ被害等海洋異変に関する申入書

平成13年度予算を審議する2月定例県議会に向けて、ご奮闘いただいておりますことに敬意を表します。

 さて、想像を絶する甚大な被害に見舞われている有明海は、本来「宝の海」と言われる程海洋資源に恵まれた水産業の宝庫でありました。 ところが、このところ連日にわたり報道されているノリ養殖業は、福岡県・佐賀県・熊本県荒尾沖を始めとして今期壊滅的な被害により、これからの見通しもつかないという深刻な状況です。

 県民クラブでは2月6日に6名の議員と、市民団体「環境ネットワークくまもと」の代表で、水俣病の研究者である熊本学園大学の原田正純教授を含む皆さんと、荒尾沖から諫早湾にかけて現地視察を行い、その後荒尾漁協・熊本県漁連の皆さんからお話をお聞きし、意見交換をさせていただきました。

 特に荒尾漁協においては、1997年、すなわち諫早湾干拓潮受け堤防の閉め切り以降、年を追うごとにエビや貝類など魚介の生態系が異変を起こしており、いよいよ今期、ノリの壊滅的被害として顕在化してきた、という様子を海の専門家である漁業者の皆さんから詳細に聞くことができました。その中で熊本県水産研究センター等、行政の研究機関が持つ過去と現在の水質や水産資源に関するデータを、ありのまま情報公開することを強く求めておられました。そして漁業者の皆さんの最大の要望は、秋の種付けが可能となるように早急に有明海を元の状況に戻してほしいということでした。

 また、同行していただいた鹿児島大学の佐藤正典助教授(底生生物学)は、「諫早湾干拓潮受け堤防の閉め切り後に被害が深刻化しており、主たる原因であることは明らかだ」、原田正純教授は「国挙げての厳密な科学的原因究明より、今は被害の広がりを防ぐための対策をたてることが優先されるべきだ」と分析されました。科学的な解明を待ってから対策を講ずるのでは手遅れにならざるを得ず、不確実さが残る中でいかに迅速に行政として意思決定をすべきかは、水俣病の大きな教訓でした。

 本県は水俣病においてその科学的な原因究明に膨大な時間を費やし、その間に患者が広がり、放置してしまったという重い教訓を持つことからしても、環境を県政の根幹に置くべき自治体です。科学的な解明に手をこまねいている内に、有明海が死の海と化すことがないよう、福岡、佐賀、長崎、熊本の4県の連携の下、熊本の苦い経験を伝えながら、迅速な対応を国に求めていくリーダーシップを本県はとるべきです。
最後に、ノリ養殖業者の皆さんは12月から収入の道が途絶え、ノリ加工機械のローン返済もままならず日々の生活に苦しんでおられます。 仲間同士なんとか励まし合って生きておられますが、極度に精神的にも追い込まれています。 急場をしのぐための生活補償等の支援策が必要です。
 以上の点を踏まえて、以下の項目について、誠意を持って対処されますよう申し入れます。

1、県水産試験センターや環境保全課をはじめとする、国・県のすべての分野にわたる有明海の水質や海洋資源に関する過去と現在の詳細なデータを、すみやかに情報公開すること。

2、県内の大学研究機関・漁業者・内外の研究者と連携した、有明海・不知火海を含む「漁場環境調査研究機関」を設置し、水産研究予算を大幅に増額し、調査を実施すること。

3、農林水産省に対して、有明海の異変の大きな要因の一つと考えられる諫早湾の干拓事業の凍結・中止に向けて働きかけ、水門及び潮受け堤防の「開け方」の研究を専門家を交えて協議し、干潟の復元に向けての工事を進めるよう要請すること。

4、収入の道を断たれたノリ養殖業者及び関連業者に対して、当面日々の生活を補償していくためのきめ細かな経済支援を行うこと。


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