オレゴン便り(5)ユージーンでの最後の夜 [視察報告]
昨日と今日は、オレゴン大学のキャンパスの借りて、ニューヨーク・ロー・スクールの マイケル・ペリン教授と Protection & Advocacy Inc. というカリフォルニア州オークランドにある障害者権利擁護団体の弁護士パネラ・コーエンさんによる、日本版ADA法への実現に向けた講義を受けた。講義とは言っても、ADA法の施行後に米国で起こっていることの説明と質疑が行われた後、池原毅和弁護士による障害者に変わる法の変遷と日本版ADA法の課題の説明と、実際に差別禁止法委員会に入って日弁連案の素案作りに取り組んできた千木良正弁護士からの提起が行われた。
とにかくADA法が出来てから、建物や道路、公共交通などアクセスに関しては、全米で大きな成果が上がりつつある。ところが雇用となると、なかなか飛躍的な実績は上がっていないようだ。実際、“合理的な配慮”(reasonable accommodation)という、雇用主が準備すべき環境整備や条件整備と、“過度な負担”(undue hardship)という、雇用主にとって過度な負担である場合は免責されるという、両者のせめぎ合いが訴訟に持ち込まれるケースが多い。そして、その内90%は雇用主側に益する判決が出ているようだ。何が合理的配慮であり、どこからが過度な負担であるかは、アメリカでは具体的な事例を通して判例になっていくのだが、このような結果が出ている原因としては、当事者側(法的な支援者も含む)と雇用者側が、ADA法を十分理解していないことによる場合が多いとパネラは語る。それに加えて、裁判官が障害についての理解が浅く、偏見に囚われた判断を下している場合が多いそうだ。これには、日本の弁護士たちも「日本の場合はもっとひどい。特に裁判官や検事、それに弁護士が障害について学ぶ機会が少なすぎる」と語っていた。日本版ADA法は、裁判官の裁量に任されるような曖昧な解釈を生まないように、具体的な記述が不可欠のようだ。
さて、今日でユージーン市での研修は終わった。午後遅くには、ユージーン市のクラフトや工芸品の出店が並ぶ、ホリデー・マーケットに足を伸ばした。もちろん4日間のバス・パスを持っている私たちは、車いす使用者が2台乗れるノンステップバスを使って移動。夜は、Mobility Internatinal のスタッフ、セリーズのお宅に招かれ、七面鳥やパンプキンパイなど、典型的な感謝祭の夕食をみんなでご馳走になり、ユージーンでの最後の夜に別れを惜しんだ。
明日は、早朝からポートランドに移動の予定だ。10人のうち5人は帰国する。私を含む残りの5人は、ポートランドでの研修が後一日残っている。彼らと別れた後、LRTで空港からダウンタウンで移動し、公共交通のアクセスを体験したり、当事者の活動家と話しをし、情報交換する予定だ。とにかく冷え込んできたので、風邪を引かないように気をつけよう。