「障害者自立”抑制”法」に断固反対 [その他報告]
13日、私も理事である「NPO法人自立生活センターヒューマンネットワーク熊本」など4団体で、県に対して緊急要望書を提出した。今国会に提出されている「障害者自立支援法案」が通れば、大変憂慮される事態が起こりうるからだ。当事者や家族だけでなく、自治体にとっても負担が増し、制度導入での事務の混乱も予測されるという点で、国に意見を出して欲しいという要望だった。
実は私も2月議会で、これらの点を含め、国会議員提出でもない、国つまり厚労省の拙速な法案提出に怒りや不信の声が上がっていることを指摘し、専門家であり地方の声を伝える立場の知事に見解を求めた。知事も率直に、心配している旨答弁された。
介護保険と同様に障害者やその家族にも、応益負担をさせようという今回の制度改正だが、これまでの応能負担にとって替わろうとする「応益」とは、どういう意味なのか。たとえば重い障害を持つ人が、地域で暮らそうとする際に、一般の人が自分でできる入浴や身繕いを、ホームヘルパーの助けを借りて行う。つまり、重度障害者にとっては、ホームヘルプはスタートラインに立つための、「必要条件」である。決してこれによって、「利益」を得ているわけではない。
ところが国はこれを、利益を得ているとして、1割負担を課そうとしている。重度障害者の一般就労環境は、現実的には難しく、せいぜい障害者年金+αなので、多くの重度の一人暮らしの仲間たちは、生活保護を受けている。生活保護から自立し、就労で収入を得始めている仲間も、サービスへの1割負担を求められれば、また生活保護に戻らなくてはいけなくなる。更に、ホームヘルプサービス時間の上限が月125時間と決められそうなので、折角地域で暮らし始めたのに、施設に戻るケースも出てくる可能性が高い。これではノーマライゼーションの大きな後退である。
また精神障害者の皆さんは、国が”これからは医療から福祉”と方向転換し、支援センターやグループホームや就労機関を充実させようとしていたにもかかわらず、心身の安定のための薬代を直撃してくる医療費の1割負担は飛んでもないと、悲痛な叫びを上げている。また、作業所や授産施設に通っていても、自己負担が増えれば、また家に留まらなくてはならなくなる。
今回の「障害者自立支援法」は大枠が示されただけで、これから詳細がやっと国会で質疑される。まったくこんな稚拙な法案をよくも出してくるものだ。サービスの自己負担を言うなら、生活保護に頼らざるをえない重度障害者などの現実を踏まえ、まずは所得保障そのものの在り方について議論し、制度改正を行うべきだ。私たちは今回の法案は、「障害者自立抑制法」あるいは「障害者自立禁止法」だと受け止めている。一般の皆さんには、今回の法案が、多くの障害者自身や家族を路頭に迷わせ、やっと緒に就き始めた地域生活を壊滅的な方向に向かわせる悪法であることを、ご理解いただきたい。今国会では、介護保険改正について審議されているが、その後の同法案の審議をしっかり見ていきたい。