経験不足ではすまされない時代 [視察報告]
夜は日本の年末を思わせる冷え込みのソウルから戻ってきた。ところが、日本もこの2,3日で結構肌寒くなっていた。先週までタオルケットで寝ていたのに、しっかりと猫のように布団に包まって寝ている。でもこれが本来の日本の10月だ。
木曜日に熊本空港を発って、土曜日の昼ごろに帰国した。今回の交通対策特別委員会の視察では、アシアナ航空の増便を本社に要請したり、韓国観光公社と観光センターを訪ね、観光振興・誘客についての意見交換をし、KTX(韓国版新幹線)に乗って大田市(デジョン)にあるKTXを走らせている韓国鉄道公社を訪ね、現状や課題について学んだ。
何せ議員が10名、執行部が8名、議会事務局2名の大所帯での移動だ。国内の視察でもそうだが、どうしても空港内や大型バスと車などど、一行と別ルートでの移動になるので、私だけ時間に遅れないかが心配なのだが、海外だと更に気を遣う。お陰でこの週末は、予定をキャンセルして完全に休養に当てた。ただ、今回起こった様々なハプニングにも、介助者として同行してくれた熊大4年生の平瀬千津子さんが柔軟に対応してくれて、ありがたかった。
今回のホテルは海外資本のホテルだったため、そう心配はしていなかったのだが、やはりバスルームを始め完全にバリアフリーとは言えず、彼女の手を借りた。韓国でのバリアフリーの現状がまだまだ低いレベルであることが伺えた。ただ、「行ってみなければわからない」のは、国内外を問わない状況だ。視察の際に介助者を同行させてもらっていることに、さまざま議論があるようだが、現状からすれば、私のような「歩けない」ということ以外に大きな障害はない者でさえ、介助者は必要だ。
さて、週末ぐったりしてしまう程の“ハプニング”は、まず熊本空港(国際線ターミナル)で、機内に乗り込む時から始まった。機内の通路は狭く、通常航空会社は機内用の車いすに乗り換えることを求める。だから私は何の疑いもなく、乗り込み口に、そのタイプの車いすが用意してあるものと思っていた。ところが、無いのだ!地上職員に問うと、国際線ターミナルには置いてないとのこと。要するにアシアナ航空が持っていないということだ。だったら、通常機内には、折りたたみ式の車いすが格納してあるので、それを出してというと、乗務員はそれも無いと言う。
そうなると、乗務員が「おぶります」とか「抱えます」となる。熊本空港の国内線ターミナルに行けば、他社から借りてこれるはずだが、離れているため時間もないだろうと、本来は絶対あり得ないし許さないのだが、男性乗務員と平瀬さんとで抱えてもらって、座席に移動した。ところが、着陸する頃になって機内に格納されていた小型の車いすがあったことがわかった。(乗務員も把握してない有様)機内から出るときはそれを使った。ちなみに帰国する際も、受付カウンターで直接「機内に乗り込む際の車いすを」確認したにもかかわらず、ゲートには伝わっておらず、地上職員は探しにターミナルに戻るなどバタバタしていた。
しかし、大問題は仁川空港に着いてからだった。私の車いすは積み込まれてあったのだが、なんと、車いすと一緒にあるはずの医療用クッションが積み残されていた!信じられないことだ。仁川空港から熊本空港に問い合わせると、やはり積み残してあるとのこと。私は、クッションが体の一部であること、長時間に亙りクッションを使用しないと、ケガ(床ずれのように)をするのだと説明し、何とかその日のうちにソウルに届けてもらいたいと強く訴えた。最初は、「荷物用のタグは付いていたか」だの(通常クッションにはつけない)、私の方に非があるかのような態度だったアシアナ航空地上職員も、事情を理解し、結局、大韓航空便で夜中の12時にホテルに届くように手配してくれた。その対応には満足している。
それにしても、アシアナ航空はもっと、高齢者や障害者の乗客にどう対応するかを、社内でしっかり研修しなくてはならないようだ。航空会社の対応としては、12、3年前の日本のような状況だ。日本も、高齢化やノーマライゼーションの進展とともに、啓発も進み、当事者もどんどん社会参加してきたので、航空会社も当事者団体や個人からの指摘を受ける中、学習が進んできた。韓国の障害者団体もその点を認識しているので、これからどんどん利用しながら、働きかけてもらいたいと思う。
また、更に重要なのは、航空会社と乗客の間に入る旅行代理店の認識だ。JTBはバリアフリーな旅行のノウハウを持つ部署を持っている。ただ他社や、JTB でも各地の支店などでは、まだまだ経験が不足しているのが現状だと思う。だとすれば、旅行する本人に、どんな対応が必要かなど要望を聞き、航空会社や現地に伝えることだ大切だ。ソウル市内での移動も、通常のセダン車でよかったが、3人がかりで乗せなくてはならない、リフトの付いていないワンボックス車が用意されていた。乗り降りに時間がかかり使いづらいし、費用がもったいない。今回のことは、今、レポートにまとめている。今後、熊本空港からアシアナ航空でソウルを訪れる、高齢の方や障害を持つ人が増えていって欲しいし、そうなると思う。だから、航空会社も旅行代理店も、そして議会事務局も、今後のために今回のことを是非前向きに生かしていただきたい。