ソウルで講演 [視察報告]
あの悪夢の総選挙以来、元気がなかなか回復しない。(体力的には大丈夫だが)それは私だけではないようで、行く先々で、「ほんと、日本はどうなるんでしょうね…」と、心配される声を多く聞く。勝った勢いも手伝ってか、川辺川ダムを諦めない国土交通省役人のいいなりの北側大臣、水俣病認定基準は見直さないと他人事の小池環境大臣。正直、ムカツク。官の下進められてきた悪政を、まずは丁寧に反省し是正すべきなのに、そんな大事なことを置き去りにして、郵政民営化法可決などを含め、「民営は善で、官制は悪」との短絡的な発想で、小泉政権はぐいぐい舵を切っている。 (>_<) 最近は、、ニュース番組を見るのも腹立たしくてしょうがない。私の気分を癒してくれるのは「チャングム」だけ~。p(^o^)q
さて、そんな気分の中、木・金・土とチャングムのふるさと韓国に行って来た。私が所属するDPI日本会議の仲間、DPIソウルの招きにより、「障害を持つ私が議員に?!~走り続けた7年間を振り返って」と題して、講演をさせていただいた。講演のレジュメは日本語で事前に送り、日本で福祉を学んだ有能な通訳のチョン・ヒギョンさんが翻訳し、当日ハングル文字で配布されていた。また、議会活動を中心に写真も紹介した。
韓国は民主党のキム・デジュンが大統領になってから、女性議員を増やす取り組みが進んできた。2003年の制度改正では、比例名簿は男女交互で候補者の50%を女性にすることが義務づけられた。また、小選挙区でも候補者の30%を女性にすると政党助成金が増額される。その結果、制度改正直後、ノ・ムヒョン大統領が誕生した総選挙では、女性議員の割合は、5.9%(2003年10月当時世界140位)から13%(推定、世界74位)に飛躍的に伸びた。(日本は今回の総選挙でもやっと9%)
しかし、障害を持つ議員の現状は、日本に遅れをとっている。現在日本では、私の知る限り、全盲の議員、全く聴これない議員、四肢麻痺で全介助が必要な議員、脳性麻痺により言語障害を伴う重い身体障害のある議員なども活動中だ。車いすを使う議員も、手動も電動も何人も存在する。韓国では、たとえばソウル市議会でも120議席の内、4人が障害を持っているそうだが、いずれも杖は必要ない人、片方での杖や松葉杖を使う人で、彼らは、ポリオ(小児麻痺)の後遺症による比較的軽い障害を持った人たちだ。普通に教育を受けてきて、仕事を持っている。「車いす使用者で議員をやっている人」は、韓国ではいないそうだ。
確かに、ソウルで車いすの人はあまり見なかったし、バリアフリーという意味では、動き回るのは簡単とは言えず、まるで日本の15年前のようだ。「障害者」に、人々もあまり関心を払っていない様子だ。振り返ってみれば、日本でも、70年代、80年代と、バリアはあってもまず当事者が社会に出て、トラブルを恐れず問題を指摘し、課題を提起していくプロセスがあった。その後、制度を変える過程で、当事者運動団体が行政に働きかけると当時に、当事者自身が政治参加して、社会の意識や制度を変えるスピードを助長させてきたと言える。どちらかというと、私などは、その後半に“登場”してきて、ひょんなことで議員をしている人と言うべきだろう。
したがって、まだ日本のような障害者年金制度が実現していない韓国では、バリアフリーや介助保障を始め、様々な分野で成果を上げていくために、政治にどう食い込んで、当事者のニーズを政策に反映させていくかが、大きな課題のようだ。今、韓国の障害者リーダーたちは、日本やアメリカから、そんな過程を学んでいる。
さて、今回私を招待してくれたDPIソウルの会長は、ポリオで片足が不自由な女性、ウィー・ムンスクさん(37才)だ。とても親切で、心配りが行き届く、チャーミングな女性だ。その上、男性がまだ多い障害者運動を、女性も巻き込みながらパワフルに引っぱっている。毎日、組織の問題、当事者の自立の問題などで、大忙しだそうだ。そんな中、仁川空港まで、スタッフとともに迎えてに来てくれて、訪韓3度目なのにソウル市内を殆ど観光をしていない私を、景福宮(朝鮮王朝の宮殿)や民族博物館に連れて行ってくれた。ご存じのように、チャングムにハマって以来、朝鮮半島の歴史や文化に関心を持っているので、大変楽しめたし、勉強になった。
また、移動途中の夜のドライブでは、ソウル市を流れるハンガン漢江にかかる橋のライトアップも楽しんだ。21カ所の橋のうち、16カ所に施されたそれぞれ異なるデザインの夜間景観照明は、電気代はもったいないとは思いつつ、息をのむ美しさだ。何より、ツアーや視察と異なり、日本人が来ていなさそうな、極々庶民が出入りする韓国料理店に連れて行ってもらったのも有り難かった。こうして、講演も無事終了し、一段と韓国を身近に感じながら、熊本へ戻ってきた。ムンスクさんにも、熊本に来ていただき、友情を深め、阿蘇など熊本の良さも知っていただきたい。是非、韓国の障害者運動のお話を聞く会など、そのうち企画してみたい。
実は、あまりに偶然なのだが、実は今週も木・金・土と交通対策特別委員会の視察で韓国を訪れる。新しく開通した韓国の“新幹線”に試乗し、アシアナ航空本社も訪ねる。先週の訪韓では、日程の関係で福岡-ソウルを取らざるを得なかった。熊本-韓国間が、もっと頻繁に行き来できる使いやすい就航スケジュールになれば、わずか1時間20分で行ける“外国”は、東京より身近になると確信している。