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銭塘小学校6年1組の素敵な23人 [みどり日記]

 3月23日は、熊本市の小学校では卒業式が行われた。私も地元の城山小学校の卒業式に毎年出席している。この日の夜、私は前々からスケジュール帳に「県劇6時、銭塘小6年生ファイナルコンサート」と記していた。

 そして、そのコンサートに、友だちと出かけた。 銭塘小学校は熊本市西部の小規模校で、6年生は一クラス23人きりだ。この23人の担任になった松尾先生(音楽の専科)は、彼らが4年生の時から、合唱の指導をしている。合唱を通してクラス作りをしてきたのだ。

 私も5才の時からピアノを始め、高校まで合唱部に属して、一時は音楽で進学しようかと思っていたので、まるっきりに素人ではないつもりでいた。しかし、この日の23人の子どもたちの演奏は、そんな私自身の常識や認識を根底から突き崩してしまった。

 銭塘小学校の6年生23人は、3年前は歌が好きな子も、歌が苦手な子もいる普通のクラスだったに違いない。ケンカも多いクラスだったとか。しかし、松尾先生と巡り会って、唱うことの素晴らしさ、楽しさ、厳しさを知り、自分も一人のメンバーとして皆に必要とされているという自信を持ち、助け合い、励まし合い、互いの信頼を築き、彼らは、大きく成長してきた。そして、合唱界の常識では考えられない、選抜された編成ではない、純粋な一クラスから成る合唱団で、 NHK合唱コンクールで県大会、九州大会を勝ち抜き、全国大会で銀賞(全国2位)を受賞した。他校が35人(最大の編成)で出場しているのに対し、それより12人も少ないということは、声量面では明らかにハンディであるが、銭塘小の迫力は抜きんでていたそうだ。

 ファイナルコンサートの彼らは、満席の県劇のコンサートホールに臆することもなく、伸び伸びと歌い上げていた。私も耳は肥えていると思うが、ハーモニーの正確さ、美しさ、丁寧に唱い上げられる一つ一つの言葉やメッセージ、堂々としていてしかも子どもらしいステージでのパフォーマンス・・・、『子どもってすごい!』と感嘆した。

 まさにその瞬間、今度は、子どもの持つ無限の潜在的な力引き出すことのできる大人や指導者や環境が整っていないために、とことん『自信や自己肯定感』をはぎ取られてしまっている多くの子どもたちのことを考えた。学校や家庭で発せられる、あるいは黙殺されている、悲鳴にも似た彼らの声や行動と、銭塘小の23人の自信に満ちた心からの歌声が、私の中で交錯した。「子どもを信じ、一人の人間として正面から向き合う大人が、一人でも増えてほしい」、銭塘小の23人の歌声は、こんなメッセージを響かせていたように感じたのは私だけだろうか。


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