1億円の小切手が行き交う世界 [みどり日記]
1億円がどれくらいの札束のボリュームなのか想像もつかないが、それがたった一枚の小切手と化してやり取りされる政治の世界は、庶民の感覚からは月と地球ほどの隔たりがある“利益誘導の伏魔殿”と呼ばれても致し方ない。
昨日、日本歯科医師会(日歯)の政治団体・日本歯科医師連盟(日歯連)の資金を、臼田前会長と自民党の前衆議院議員吉田幸弘氏が、政治献金を装って着服したとして逮捕された。日歯連は、00年から02年までの3年間に、自民党の資金団体である国民政治協会に計約15億円を寄付し、同党を中心に国会議員約120人の政治団体などに寄付やパーティー券購入の形で資金提供したそうだ。献金は、会員から徴収する年間約18億円もの会費収入から捻出されていた。
臼田容疑者はこうした資金力を背景に、歯科医師側の懸案事項を国会議員らに働き掛けたのだが、「1億円の小切手」は、そのために前回の参院選の直前に、橋本元総理に渡されたのだそうだ。診療報酬がどう設定されるかに、医師側の大きな関心があることは当然だが、このような「議員を使って官僚を動かす」官業癒着は、典型的な厚生族への献金の実態であろう。歯科医師会だけでなく、福祉団体(経営者側)や様々な業界にもこのような構図が多かれ少なかれあるだろうと、国民の不信は増大している。
本年4月頃の初期の報道からしばらく間が空いていたのは、参議院選挙への影響を配慮してと言うことだろうか。検察当局も、そんな配慮が必要だろうか。もし少し前に関係者逮捕と橋本氏への献金が発覚していたら、参議院選挙はもっと違った結果になっていたと思う。それにしても、同じ政治に身を置く者として、与党のドンの皆さんとの感覚の違いに愕然とするばかりだ。