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二人の音楽家逝く [みどり日記]

子どもの頃から歌が大好きだった私は、小5のときから熊本児童合唱団に入団して、毎週NHKのスタジオに練習に通っていた。そのとき指導していただいた音楽家の岩津範和先生が、一昨日100歳で逝去された。告別式には、声楽家や合唱団など音楽関係者からの花輪がところ狭しと飾られていた。弔電も送り主を読み上げられないほど多く、故人がどれだけ多くの人たちに影響を与えてこられたかを表していた。

音楽家あるいは指導者には、芸術家然とした気難しい人と柔和で温かな人がいる。岩津先生は間違いなく後者だ。児童合唱団でも、前者のタイプの指導者の下ではピリピリしながら、音楽を楽しめなかった。しかし岩津先生の時は、素直に声を出し、ハーモニーに浸り満足して帰ったことを思い出す。その後、縁あって第一高校で、赴任してこられたばかりのご子息の岩津整明先生にも、音楽の授業と合唱部でご指導いただいた。私自身は整明先生とのお付き合いが長かったが、お父様に勝るとも劣らない、やさしさと音楽への熱い思いいっぱいのご指導で、音楽漬けの3年間はあっという間に過ぎていった。

さて、少しジャンルは違うが、アイドル歌手から本格的なミュージカルスターとして転進を果たした本田美奈子さんが38歳という若さで、闘病の末に命を落とした。最近は、ポップスからクラシックまで可能性を広げていたようだ。年を重ねると、更に厚みのある歌声になっていっただろう。岩津範和先生が100歳まで音楽に囲まれて天寿をまっとうされたのとは対象的な彼女の早世に、運命とは何と残酷なものかと胸が詰まる。どれほど無念であったろう。

人は一人で生まれて、一人でこの世を去る。誰にとっても逃れようのない現実。重ねていく日々は、いつか訪れる終わりへの日々だ。ちょっと憂鬱になるが、逆にそう考えると日常のつまづきに、一喜一憂することがばからしく思える。「今、私は何をしたいのか?」人に迷惑をかけない程度に、やはり、自分自身に忠実に生きていくしかないようだ。

才能に溢れた二人のアーティストのご冥福を心から祈りたい。


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