子どもの命を守るための連携強化を [みどり日記]
ネグレクトされた上、母親の手で殺された畠山彩香さんの無邪気な顔がテレビで映し出される度に、苦い思いとともに悔しさが込み上げる。この世に生を受けて9年間、幼な心をいたぶられ、踏みにじられ続け、最後には痛い思いで終わった彩香さんの人生。学校などで楽しいと思える瞬間が少しでもあったとしたら、少しは救われるが、果たして彼女は何を思いながら死んでいったのだろう。悲しすぎる。
今回の事件は、我が子と近所の子どもを巻き込んだ、畠山容疑者による殺人事件だったことが明らかになった。しかし、私たちは、この事件を畠山という特異な人物の異常な事件としてくくるのではなく、ここから見えてくる、ネグレクトを含む児童虐待に、地域住民として、学校現場として、どう関わって行ったらいいか、福祉事務所や児童相談所の関わりや介入はどうだったのかなど、あらためて教訓を得ていく必要がある。
それにしても、彩香さんは、ガスを止めた家で、身体の清潔もままならず、カップ麺が中心の食事しか与えられず、それでも母親のことを悪く言わず、地域の人たちにけなげさを見せていたという。母親は変わった人扱いで、近所からも疎まれていたようだが、そもそも、畠山容疑者自身が、愛され、大切にされて育ってきていないようで、彼女の心には劣等感や疎外感が同居してきたのだろう。そんな畠山容疑者が親になった時、我が子をどう愛したらよいのか、どう慈しみ世話をすればよいのかわからなかった。こんな未熟な状態で親になっても極めて危険なのだが、日本中でこんな親が急速に増えつつある。
児童相談所、福祉事務所、医療機関、療育センター、警察、保育機関、学校、地域が、今一度、心を一つにして、生を受けた子どもを守り抜くにはどうしたらいいか、考え直す必要がある。熊本県は、この点で他県より進んでいる方なのかと思いきや、連携の悪さが起因して、命を落としてしまった子どもがいたことは記憶に新しい。事件として新聞に載る以外にも、支援・連携の悪さにより危険をはらむケースがまだまだ多いと、私に寄せられる情報の中でも実感している。それぞれの機関は、疑わしきは時間を置かず通報・情報交換し合い、責任を他機関に押しつけず、「何より子どもの命」を最優先に判断し対応してもらいたい。
医療機関については、小児科、外科、整形外科などはもとより、すべての診療科の医師や職員が、児童虐待やドメスティック・バイオレンスに、高い認識を持ち、通報を怠らないで欲しい。そのための研修については、県も医師会に働きかけ、更に取り組む必要がある。
もちろん、連携が適切だったことにより、小さな命が守られたケースも少なくない。命がけで子どもを保護している児相の職員の皆さんの、昼夜を分かたない努力によるものだ。まずは助け出すことだけで必死という状況であることは想像に難くない。しかし、保護した子どもへのケアと、加害者である親や大人への更生の支援が十分なされない限り、子どもと親を一緒にすることは危険なのだが、今後、この点は更に充実させなければならない。
小泉政権になってから、競争社会・格差社会による孤立観、刹那的な社会の中での人間関係の希薄さ、地域社会の崩壊がますます進んできたような気がする。そんな現代、悲劇は減りそうにないのではないかと言われている。しかし、「子どもは親の所有物」ではなく、「社会の財産」と皆が思い、英知を結集して取り組みを強め、そんな悲しい予測を早く覆したい。