危険極まりない豪雨時のダム放水 [みどり日記]
22日(土)、DPI日本会議の役員会のため、日帰りで上京した。集中豪雨がやや弱まっていた日だったので、熊本空港周辺は朝も夜も曇りという天候で、離着陸に支障はなかった。東京などは、梅雨前線が関東の北に位置していたため、曇ってはいたものの、蒸し暑さもなく、涼しいとさえ感じた。
帰りの羽田空港では、鹿児島便について何度もアナウンスが流れていた。天候が悪い場合は羽田に引き返すという条件での出港だったようだ。ちょうど、さつま市などでの甚大など被害をもたらした豪雨が降っていた頃だろう。新聞やテレビでは、さつま市の商店街を自衛隊のゴムボートで避難する住民の姿が報道されていた。川内川のはんらんによるものだが、鶴田ダムの放流との関係が指摘されている。
「九州地方整備局は22日の午後2時40分、川内川水系の鶴田ダム(鹿児島県さつま町)が満水状態になる可能性が高まったため、ダム下流への放水量を増やす「異常洪水時の操作」を実施した。放流によって川内川の水位は上昇したが、同整備局は「操作で下流のはんらん地域が増えたわけではない」と説明している。九州の国直轄ダムで同様の操作が行われたのは、1972年7月の同ダム以来、2例目。川内市」・・・・「ダムが満水になると一気に放流しなければならず、その際の被害は甚大であるとして、満水状態になる前から徐々に放水量を増やしながら、最大で上流からの流入量と同じ水量を放流する異常洪水時の操作を行うことを決めた」(23日、読売新聞)
ここで、やはり私たちが思い起こすのは、昭和40年の人吉球磨地方の大水害における市房ダム放水との因果関係だ。国土交通省や県は関係性を否定しているが、水害を体験した方々は、経験したことのない増水と水に含まれていたヘドロや土砂から、「ダムによる被害」と確信しておられる。まるで今回のさつま市での水害は、このパターンを焼き写したようだ。
豪雨時のダムによる洪水調整は、自然の雨の力を人工的に一気に増強し、被害をもたらす。今後、詳細が明らかになると思うが、国交省はデータをきちんと公表し、放水のタイミングや事前通報は適切だったかを検証し、被害の復旧や保障に全力を尽くすべきだ。それにしても、ダムが命や財産を脅かす代物だということを、またもや思いしらされる今回のさつま市での被害だった。
本県で計画されている川辺川ダムに置き換えて考えてみたい。川辺川上流には国交省や他省の砂防ダムが多数存在する。国交省分だけでも、計画砂防ダム230基のうち平成16年度までに94基が完成しており、これらは事実上、「川辺川ダムへの堆砂防止」のために造られた。
しかし、昨年の台風14号の雨でそれらの堆積土砂が、既に砂防ダムからあふれ出し、川辺川に流れ込んで、球磨川より川辺川が濁ってしまったという経緯がある。従って、川辺川ダムができても、どんどん堆砂が入り込み、水どころか堆積土砂やヘドロでいっぱいになるため、たいした雨が降らなくても、今回の鶴田ダムのような満水が頻繁に起こり、事前放水がなされる可能性大だ。川辺川ダムによる治水は、甚大な被害こそ予測されるものの、そもそも無理なのだ。
さて、熊本県内の雨は上がっているようだが、まだ梅雨前線の動きや台風の進路が影響しての雨雲の動きが心配だ。地盤もスポンジのように水を含み、もろくなっている。梅雨明けするまで、気を緩めず対応したい。