安倍政権の創る未来
安倍新政権が誕生した。支持率70%には驚くというか呆れるが、小泉氏への支持を引き継いだ分と、逆に小泉氏の鉄仮面的な弱者切り捨てに、何らかの手だてを講じてくれるのではという期待とが重なっているのだろう。
しかし今回の内閣の布陣を見ると、そんな期待は的はずれに思える。官邸機能を強化し、官僚支配からの脱却を意図した人事は、私たち一般国民の「いい加減に天下りを始めとする官僚の既得権益を壊してくれ!」という思いにイニシアティブを発揮するというより、安倍氏らが熱望する「国家主義的政権の実現に邪魔な勢力の弱体化、排除」が先行しているように思える。官僚側にも、国会議員にもいるそんな勢力を潰したいのだろう。
たとえば、財務大臣の太田弘子氏は別として、高市早苗氏、山谷えり子氏などの位置付けにそれは如実に表れている。男女共同参画を進めたい私たちからすると、これは最悪の人事で、世界の流れへの逆行政策が透けて見える。産経新聞によれば、山谷氏は、政府が決めた「家族の日」制定について触れて、「少子化対策は保育所整備など『育児の外注化』中心から家族再興に転換しつつあり、次期(安倍)政権ではその路線がさらに明確になるだろう。『家族の日』を機に夫婦や親子のきずなを大事にしてほしい」などと発言している。
全国の女性たちの怒りの声が聞こえてきそうだ。仕事やそれぞれの事情で、子どもを保育所に預けることを、「外注化」などと言い捨てる人に、日本の教育を任せることは愚の骨頂だ。家族がそれぞれの長時間勤務や塾などで、なかなか食事も一緒にとれないなど、現代の家族のきずなが薄くなっていることは認めるにしても、それは一方で、男女を問わず日本人の働き方が見直され、加熱する受験戦争など格差教育のあり方を議論していかなくては事は解決しない。
山谷氏らが唱える「三つ子の魂」論は、母親だけが幼子との関わりに決定的な影響を持つかのように、母親だけを家庭に引き戻そうとする。子どもは、信頼できる大人との関係の中で、安心して成長できる。父母は当然ながら、地域の他人も含めて、「子どもは社会の財産」として認識されなければならない。北欧などヨーロッパ諸国で子どもが増えてきているのは、「子どもとの関わりが持てる働き方の実現」と「保育所などの支援機関の充実」があったからだ。そんなことはもう当たり前に認識されている。
この政権を、日本の子どもたちは将来大人になった時、どう評価するのだろうか。私は未来をとても楽観できない。