柳澤大臣は発言を撤回し辞任すべき
柳澤伯夫厚生労働大臣が、1月27日、松江市内で開かれた自民県議の決起集会の講演で少子化問題にふれた際、女性について「産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと発言したことが明らかになった。男女がともに、子どもを安心して生み・育てる環境を整備することを重要施策と位置づけている厚生労働行政の最高責任者である大臣のこの発言には、驚愕するとともに断じて許せないという思いだ。
都会から遠く離れた地の、しかも身内の会で、本音が出てしまったということだろう。柳澤大臣のつれ合いは、大学教授という仕事を持った女性で、共に自立した夫婦と思っていたので非常に残念だ。こういう人ですら、ポロっと出すのだから、彼以外の政府関係者や議員たちも、口には出さなくても、こんな本音を持っているのだろうと想像させるに余りある。
報道によれば、国会での質問で「女性の方々を傷つける不適切な表現を用いた。国民、特に女性に申し訳ないと存じ、改めて深くおわび申し上げる」と謝罪したと伝えられているが、人間性を疑うような「産む機械」発言は、戦前の「産めよ殖やせよ」の富国強兵の人口政策を想起させるばかりでなく、現在の少子化の問題が、あたかも女性の側の責任であるかのような認識を露呈した。女性の人権を全く無視している。
1994年のカイロ会議、翌1995年の北京世界女性会議を経て、世界的に認識されてきた「女性の性と生殖の自己決定権(リプロダクティブ・ライツ)」の尊重という視点が、柳澤大臣には欠落している。政府の果たす役割は、安易で、的はずれな出産奨励ではなく、「子どもを望む女性が 、生み育てたいと思えるような環境を整備すること」であることは、厚労省の中でも議論の余地はないはずだ。
一方、安倍首相は施政方針演説で、「子どもは国の宝」とし、「家族の素晴らしさや価値を再認識することも必要」だと発言している。首相は、「少子化対策」を「家族の価値」と重ね合わせている。このような背景の中、今回のような厚生労大臣の「産む機械」発言だ。現政権は、子どもや女性を、あるいは家族を、国のための道具としてのみ、見ているように思える。
現在、非正規雇用へと追いやられる女性の数は増え、男女の賃金格差も拡大する傾向にある。このような状況は、安心して子どもを産み育てられる環境ではないことは示している。柳澤大臣の女性の人権を踏みにじる発言には、30日に、女性団体が抗議し、発言の撤回と大臣の辞任を要求する予定だ。