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県立劇場でも楽しみたい [みどり日記]

元旦の夜の楽しみは、何と言ってもウィーンから配信されるウィーン交響楽団のニューイヤーコンサートの生中継だ。ヨハン・シュトラウスやその一家が作曲したワルツやポルカの数々は、一年の始まりにあたり、気持ちを弾ませ希望を持たせる。

交響曲などと違って、それぞれの作品が短いので、肩もはらず聴けるし、ポピュラーなメロディーが多いのでクラシックにあまり縁のない人も楽しめる。それに毎年、指揮者が変わるのも楽しみだ。一昨年はロリン・マゼール、昨年はマリス・ヤンソンス、そして今年はズービン・メータ。それぞれの個性が、年々の構成や、曲の解釈や表現に表れている。

またいくつかの作品では、シェーンブルン宮殿でのウィーン国立歌劇場バレエ団員の華麗な舞も楽しめる。この宮殿は一度訪れたことがあるが、この舞踏の撮影は、一般観光客が入れない間で行われているそうだ。その装飾や絵画にも目を奪われる。

コンサート会場を見ると、日本人らしき人がかなり見受けられる。それも結構いい席に座っている。恐らくバブルの時期あたりから、日本人が増えたのだろう。その中の一人になるのは、少々気が乗らないが、それでも一度だけ、年の初めの日を、あの会場でワルツやポルカに包まれて迎えたいものだ。いつか叶えたい夢の一つにしておこう。

さて、熊本は県立劇場コンサートホールというクラシックを聴くには全国でも屈指の会場を持ち、民間や自治体のプロモーティングも功を奏し、地方の都市にしてはかなりの頻度で、世界でも高いレベルの楽団やアーティストのコンサートが開催されている。他県から聴きに来る方もおられるようだ。「もちろん私もよく行きますよ」と言いたいところだが、残念ながらほとんど行けていない。

クラシックも含め、音楽が人生の大きなパートを占めている私なのだが、車いすを使うようになってから、県立劇場のコンサートホールには足が遠のいている。(演劇ホールはまだましだが、こちらも一考は必要)私たちが“居る場所”が、一階の最後列の出入り口付近に限定されているからだ。とにかく人の行き来があり、落ち着いて聴けない。チケットも障害者割引が設定されている場合もあるが、正規料金でいいから、会場との一体感も持て、気持ちよく集中して聴けるまともな場所をと言いたい。同じ思いの車いすユーザー仲間も少なくない。

また、車いすユーザーとそうでない人が一緒にコンサートを楽しもうとしても、隣り同士にはなれず、離ればなれ。これから、団塊世代とよばれる多くの人たちが退職して、余暇活動が本格化してくるだろう。しかし、万が一、たとえば途中で車いすユーザーになったとして、老夫婦や友人がこれまでのように、隣同士でコンサートを楽しめないとすれば、今後、私のような疑問や不満を持つ人は必ず増えてくる。このままでは社会参加の意欲を萎えさせる。

外国での劇場や映画館を見た少ない経験から言うならば、一階部分の前列部と後列部の間の広い通路まで行けるようにして、後列部の最前列に車いすユーザーの席を作るといいだろう。それには、そこまでの移動の手段を、当事者や専門家が情報や技術を持ち寄り、検討していく必要がある。確か、福島知事在任中に行われた県営施設のバリアフリー化の際、エレベーターが設置不可能という結論で、現在のような中途半端な対応で落ち着かせたようだが、今後は再検討が必要だ。県立劇場は、空調等の改修工事が予定されていると聞く。その際、再度、本県のひとにやさしいまちづくりの視点からも、ランクアップした対応を期待したい。


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