選挙から一月以上が経つ。春先からどうにも気力が上向かないのは気象のせいもあるだろう。胸一杯に取り込みたい空気に、大陸からの汚染物質が含まれていると聞けば、思わず口をつぐんでしまう。私が子どもの頃には、首都圏や工業地帯で出されていた“光化学スモッグ”注意報だが、今は熊本市内でも出される。迷惑を被っている韓国や日本は、今後も調査をしっかり進め、データに基づいてきちんと中国に環境改善を求めていかなければならない。日本の中でも大陸に一番近い九州で体調が悪い人が増えなければいいのだが。
さて環境汚染のように、この国に蔓延しているのが、弱い者いじめの風土・風潮だ。特に格差社会や競争社会が行財政改革の中で厳しさを増してくるにつれ、社会全体が殺伐としてきた。そこにつけ込むように、様々な劣悪でおぞましいネット情報が浸透してきて、他者や自分への否定や暴力として形を表してきている。
本来は明るく楽しいはずの子どもの世界も病んでいる。いじめが原因で自殺する子どもが後を絶たない。無意識のうちのいじめのターゲット探しが日常化しているようだ。自分がターゲットにならないように加害者になる、あるいは加害者側に加わっていく子どもたち。子どものサインを見過ごしてしまう学校関係者を一概に責められない。朝から晩まで、子どもと向き合う時間がとれないほど業務が多忙化していると、こちらからも悲鳴が聞こえてくる。
しかし命を落とすまで追いつめられていく異常な事態の中、これ以上被害者を作ってはならないことは言うまでもないし、また加害者を作ってもいけない。お互いが安心して学び育ち合う環境を作るには多様性について学ぶことが大切であるし、勉強やスポーツ以外でも評価し尊重できる何かをそれぞれに見つけ合うことが大切だ。
同じようなことが職場についても言える。私のところに届く県職員や教職員からの声には、単に仕事が進めやすい環境や良好な人間関係のある職場を求める声だけでなく、もはや精神の安定を保てないほど追いつめられているというケースも少なくない。
前述の厳しさを増す日本社会の現状が、業務遂行にも影響している。時間との闘い、予算との闘いに、上から下まで余裕がないようだ。勢い、そのストレスは弱い人に向かう。ターゲット探しが無意識のうちに進む。それに周囲が気づいても、自分自身を守るのに精一杯で他者を思いやる余裕のない風潮も蔓延っているようだ。
私はそのことに危機感を持ち、昨年11月定例県議会でパワーハラスメントについて質問した。今年度からパワーハラスメントの防止が職員研修に加わったようだ。その点については一歩前進だと評価したい。しかしどれだけの管理職が「ひょっとして自分もパワーハラスメントをしているのかもしれない」という意識を持っているのかが大いに疑問だ。他人事だと思っている人が多いのではないか。むしろ問題がある職場の管理職ほど、無自覚なのではないか。いくらその管理職が上司から評価され、よく思われていても、部下へのしわ寄せの上に成り立っている評価なら何の価値もない。そして職員がそのしわ寄せの犠牲を強いられるのならたまったのもではない。
たった一度の人生の平均40年近くを過ごす職場だ。管理職の皆さんには、“人間として”常に自分の言動が一般社会でどうなのか、常に自らに問い続けながら感覚を研ぎ澄ましてほしい。またきついかもしれないが、一般職員の皆さんにも“明日は我が身”でターゲットにならないことだけに腐心するのではなく、苦しそうな人を支え、理不尽な上司の言動には声をあげる勇気も期待したい。そうでなければ、職員個人個人の力は活かされことなく、組織全体の力も衰え続けていくのではないか。是非、知事にもそのことを真剣にお考えいただきたい。