慰安婦強制性の否定広告は恥の上塗り [みどり日記]
第二次世界戦中の「慰安婦問題」について、米下院が日本政府に「公式謝罪」を求める決議案を可決するに至っている。ブッシュ共和党が求心力を無くし、中間選挙の結果で民主党に惨敗したこともあり、もともと人権派が多い民主党が上下両院で優勢に立っていることで決議までに至ったようだ。
何故今このような決議がという点だ。日本では、「慰安婦」に関して、1993年に河野洋平官房長官が謝罪を表明した談話を発表し、以来政府はこの談話を踏襲してきた。しかし、一部の民間知識層には、日本政府や軍は関与していないと主張するグループが存在する。彼らは、当時、韓国や中国を始めとする各地から女性たちが連れてこられ、日本国内や戦地で強制的に売春させられたこと認めない。これでは、被害者や関係国が苛立つのも当然だ。そもそもあの戦時統制下に、政府や軍が何らかの関与をしなかったという主張こそ説得力がない。
そんな日本の現状に憂慮した今回の一連の動きは、韓国内で慰安婦問題に取り組んできた人たちと在米韓国人が力を結集し米議会を動かした結果だ。「今何故か?」という疑問に、逆に「今頃何故、河野談話を覆し、政府関与の否定を主張するのか?」と問われている。この動きに対して、日本の右派知識人や国会議員たちがすぐさまワシントンポストに意見広告を掲載した。その中で彼らは、「軍や官憲による強制連行を示す記述は(資料に)見当たらない」と、“強制”はしていないという論に立ち、その上で被害者である慰安婦たちの人権が侵害された事実には全く配慮もしていない。贖罪は毛頭感じられないものだ。それに敗戦直後、”不都合”な資料はもとより消却されているはずだ。
この意見広告の後ろには安倍首相が存在していることは明らかだが、結果的にはこの人権感覚の無さに米国も呆れており、この広告は恥の上塗りとなった。どんなに、ブッシュ政権への協力と同調を続けたり、米国の要請で憲法を変えようとしたりしても、その一方で自分の支持グループにあのようなお粗末な意見広告を掲載させては、安倍政権の思慮の浅い稚拙な対米外交は益々窮地に立たされていくだろう。
ちなみにワシントンポストに意見広告を出したジャーナリストの桜井よしこ氏など民間グループと一部の国会議員は名前も掲載している。自民党議員29名、民主党議員13名、無所属2名だ。九州では宮崎3名と熊本1名だが、その1名とは、熊本一区の木原稔衆議院議員だった。全国会議員の中で44名であり、更に他の熊本県関係国会議員の名前は見あたらない中、新人の木原議員のこの問題についての“積極的な行動”が光っている。「小泉旋風で当選させていただいて、その継承の立場にある安倍首相にも忠義を尽くす」という思いでの行動だろうか。あるいはこの問題についての確信的な信条の持ち主なのか。熊本県民は木原稔議員の人権感覚と歴史認識を問う必要がある。
①マイク・ホンダ議員などが提出した米国下院の「慰安婦」関連決議(2007.1.31)
・原文および説明
・同日本語訳
②慰安婦強制性を否定する日本の国会議員などの「ワシントンポスト」全面広告(2007.6.14)
・原文
・部分訳掲載サイト
・名を連ねた国会議員など