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フィンランドの教育に真摯に学ぼう [みどり日記]

月曜日の大雨は、まるで初夏の集中豪雨のような容赦ない激しさだった。夕方約束があって外出したが、車から出て到着するまでにずぶ濡れに。10月の“スコール”はますます日本の亜熱帯化を感じさせる。今週も30℃近くが続いている。紅葉は師走になるかもしれないとも聞く。クリスマスのポインセチアの赤と紅葉が競い合うなんて、ちょっと頂けない。

3連休の6日は“勉強の日”となった。人権問題の活動家であり、エッセイストの辛淑玉さんの気合いの入ったお話を聞いた。いつもながら、天皇制や日本の外交政策から、ジェンダー問題まで、思うところを堂々と本音で語られる。辛さんは在日韓国人として、修羅場を超えて生きてきた中で、日本にも韓国にも“媚びることなく”アイデンティティーを確立してきた。私にとって今回で3回目となった彼女の講演。辛さんには強靱な精神力に支えられたやさしさをいつも感じる。とても私より1才年下とは思えない尊敬すべき女性だ。

またその夜には、“学力世界一、フィンランドの教育の謎”と題した都留文化大学の佐藤隆先生のお話を聞いた。フィンランドを始め北欧諸国の子どもたちの学力は、世界のトップを占めていることは、PISA学力ランクにより明らかになった。そのため、日本などからも背広姿の男性(教育行政関係者?)を中心とした視察が相次いでいるという。そもそも、このPISAは、単に点数を高くとるドリル式の学習の結果、高い評価を受けるというものではない。問題の分析、判断、解決など様々な力が試され、その結果“生きる力”を基本とした学力が判断されるというものだ。

では、トップのフィンランドではどのような教育が展開されているのだろうか。佐藤先生は、フィンランドでは、ドリルのような反復的ではなく、子どもが想像力は創造性を養えるような“もの語りを基本とした学習(narrative learning)”が進められているとおっしゃる。算数でも理科でも社会でも国語でも、もの語りを展開する中で学んでいけるような指導がなされるそうだ。実際見てみなければわからないが、子どもたちは積極的に発言し、他の子の発言にもしっかり耳を傾け影響されながら、更に自分の考えを確立していく。そのプロセスが、ゆっくりではあっても真の学力アップに通じているということらしい。ちなみに、子どもたちから大人まで、本をよく読むフィンランド国民の図書貸し出し数も世界一だそうだ。

フィンランドでは、小テストや学期のテストなどで、他者との優劣や序列を明らかにする日本のやり方は見られない。子ども自身が、少し前の自分と今の自分を比較して、進捗を確認することはあっても、相対的評価は子ども一人ひとりの学力向上に何の意味もないとしている。つまり、日本でいう“落ちこぼれ”は作らないやり方だ。友だち同士が教え合ったり、助け合ったりすることも含めた地道な教育が、子どもたちの学力全体の底上げをし、結果として世界一となっている。

夏休みや冬休みには、先生たちも有給でお休みだ。今の日本のように学校に出てくることを強要されない。その間、先生たち自身の指導力アップのための自己研修、教材研究などに自由に使えるそうだ。もちろん心身のパワーを充電する期間でもあり、長期の旅行も、その中で教育に活かせるヒントも得られるという点で大きな意味を持つ。だから先生への道は難関であり、尊敬されている職業だそうだ。今の日本と比べると、少し“難関”の意味が違うようだ。日本のように、財政面を理由に正規教員の採用を控え、臨時採用という不安定な雇用で賄っていては良い教育は出来ない。

そのフィンランドは、日本の旧教育基本法に学び、教育を展開してきたそうだ。それなのに、日本とフィンランドのこの違いは何だろう。子どもを中心に置いた教育を忠実に実践してきたフィンランドと、市場原理や復古主義からの教育への要求に翻弄されてきた日本の教育。おまけに、必要もない教育基本法の改正すらやってしまっている。ここら辺で、「詰め込まない、競争しない。ゆとりと遊び、学び合う教育で学力世界一」のフィンランドを始めとした北欧諸国の教育に真摯に学び、子どもが伸び伸びと真の力をつけていける教育に向けて、今の日本の教育の方向性を見直すべき時期に来ていることは間違いないようだ。


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