蒲島知事誕生に思う-その(3) [みどり日記]
25日付けの熊本日日新聞に、熊本大学教授の鈴木桂樹氏の今回の知事選に関する論評が掲載されていた。鈴木教授の分析については概ね指摘の通りだと思うし、今後の新知事の課題、期待することについては、大変示唆に富む内容だと思った。ただ2点だけ、私と見解が違う点、事実と違う点について書いてみたい。
まず記事で、前回の知事選について「県民主役の選挙を目指した潮谷知事に不快感を示した自民党。今回は自ら県民党的立場を強調し『勝手連』にまでなった」とある。
これについては、私も驚くほどの自民党の変わりぶりであることは認めたい。しかし、熊本市長選や参議院選と続いてきた連敗を避けたいという思いと同時に、熊本が閉塞感で覆われている今、尊敬を集め、新しい展開をもたらす知事が必要で、その人が望むなら推薦・公認もしない新しいやり方も可としたということではないだろうか。「自ら『勝手連』にまでなってしまった」結果、ウィングを広げたという意味で、それが功を奏したことは事実だ。
ただ、今回と潮谷知事2期目の状況を簡単に比較できるのだろうか。1期目を終え、県政の仕組みや課題を熟知していたはずの潮谷知事なので、自民党の推薦を毅然として断ることはできたはずだ。あの時点で、県民の潮谷知事へ人気は高く、相手候補は泡沫で勝負にならないことはわかりきっていた。推薦が無ければ勝てない選挙だったはずがない。しかし結局推薦をとらされた。知事がイニシアティブを取る本当の意味での「県民党」の選挙と、その後の母体が出来たはずの2期目であったのにと、私には不思議でならなかった。
その後、推薦の重みの影響か、自民党や公明党の国会議員への選挙応援で、度々マイクを握られた。また、昨年の9月県議会で、議会前の自民党への予算説明に、知事が三役と執行部を引き連れて同席する在り様を渡辺県議が指摘し、「全国でもほとんどない。県民党といいながらマスコミも入れない議会前の自民党とのやりとりは、談合と言われても仕方ない」と問われたの対し、潮谷知事は「多様なニーズ、さまざまな立場を持つ県民の方々の投票によって、より多くの県民の負託を受けた最大会派には、その背景に、それだけ多くの地域住民の皆様が存在し、県政全般にかかわる意見、疑問あるいは提案があるものと私は認識をしております。その最大会派に対して私自身が説明を行うことは、背景にある県民に説明していることであり、意見や疑問に対して答えるのは必要と考えております」と、自民党への配慮は当然だと答弁されたことは記憶に新しい。
2点目は、8年前の前々回の選挙だ。記事には「潮谷氏個人の経験と人柄を認めつつも、『利権狙いの自民党』が推すゆえに不支持を表明した野党系県議。今回は、その自民党が推す候補者をその経験と人柄ゆえに支援に回った」と私たち3人のことを書いてある。後段の、蒲島候補の経験と人柄が支援の大きな要素であったことは間違いない。しかし、前段は事実と異なる。渡辺県議や鬼海県議は知らないが、少なくとも私は、「潮谷氏個人の経験と人柄を認めて」いたわけではない。もしそんな確信があったなら、潮谷支援に回っていただろう。そもそも副知事と議員として何度か接しただけだったし、私の活動に関わっていた学生で施設実習を経験した人たちや福祉関係者からの情報も様々だった。だから積極支援する気持ちにはなれなかったというのが事実だ。
8年前は、既に財政は厳しい段階にあったが、「利権狙いの自民党」はまだ健在で、県行財政改革をという阿曽田陣営の主張は一定受け入れられたが、潮谷陣営には及ばなかった。今回はどうだろうか。まだまだ口利きや利権は一掃されてはいないが、かつての規模の御利益は望めないと「利権狙いの自民党」ですら思っているのではないだろうか。ましてや推薦を取らずにすんだ蒲島氏は、「口利きや要望の文書化と情報公開」、「選挙応援はしない」等々マニフェストで書くことすらできた。
投票率が低い要因としての政治家の見解が変化したためという件で、「まじめに耳を傾けてきた有権者にとっては投票箱が疎ましく見えても不思議ではない」とある。それはあるだろう。県議会の動き、変化も含めて、議員の判断が状況に応じて変わることはある。そして一般県民に、そこはなかなかわかりづらいだろう。できるだけ私自身、このブログで考え方を書いてきたつもりだが、いつも私に投票してくだっている後援会以外の支持者でPCアクセス環境にない方たちに、タイムリーに思いを伝える術を見いだせないことに苦慮している。今朝も「新知事がダムで推進と結論を出したら辞職せよ」という電話をもらった。県政はダム問題だけではないですよと言いたい。現に今回、有権者全体が考える最重点課題は、財政再建、医療・福祉、産業や農業振興であり、川辺川ダム問題は5.3%だった。もちろん、ダム反対かと問われれば6割の方が「Yes」と答えられるし、私はこれまで通りダムを止めるという立場で、9月県議会に向けて全力を尽くすつもりだ。
いずれにしても、鈴木教授が指摘しておられるような「期待と可能性を秘めて船出する蒲島県政」を、「期待と可能性を”実現する”蒲島県政」にすることが、何より不安をお持ちの方に応えることだと思う。