熊本駅舎建て替え事業費は妥当か? [みどり日記]
「熊本駅在来線駅舎の建て替え費用が5億円から約30億円に?一体またどうして?」
とにかく県民はこの額の変化に驚き、巷の話題となっている。そもそも、建築家の安藤忠雄氏がデザインを担当すると決まった経緯に、平成18年度の新幹線対策特別委員会の委員の1人だった私は、当時、首をかしげた。
今回の費用アップの経緯はこういうことのようだ。熊本の玄関口として、駅の顔とも言うべきデザインを、著名な建築家安藤氏に強く推す声があって(誰だか?)、当時の潮谷知事はこれを容認した。ところが、30億円近くもの見積もりになったことがわかったが、「数字が独り歩きしてしまう」と、知事在任中は金額を公表してこなかった。今回、朝日新聞が情報公開請求し、蒲島知事は公表の判断をした。
当時私も、「財政が厳しい中、著名な人のデザインとなれば、桁外れの金額になるのではないだろうか。ただ、熊本の事情もご存じだろうし、彼を推す人とのつながりも深いだろうから、ボランティア的な金額で取り組んでいただくことが確認されているのだろう」と思いながら、むしろ、「誰もが使いやすい機能的な駅であるか、パークステーションというエコロジカルな駅の顔となれるか、安藤氏の駅の経験や実績はどうなのか」と、委員会で県に質した。本来、建築家として著名であるかどうかは別として、全国や県内の建築家が参画できるような、東駅前広場のようなコンペ方式にすべきなのにと感じていた。
しかしながら、やはり安藤氏の参画は高くついていた。鹿児島駅や博多駅の開発と比べて、30億円は将来の熊本のために、決して高いとは言えないと考える県民もいらっしゃる。また今回の件について、蒲島知事も「夢のある熊本駅を実現するためにも関係者の合意を図りたい」と言っておられるが、再来年には「財政再生団体」への赤信号がついている熊本県であることは誰より知事が身にしみておられるはずだ。同様に、費用負担の影響を受ける熊本市もJRにも必要以上の負担を強いるわけにはいかないし、納得してもらえるとは思えない。
「駅は街の玄関であり、顔である」ということは誰もが認める。しかし、駅に求められるのは、構内の快適な乗り降りや移動ができる機能が保証されていることだ。私たち委員も何度も委員会で発言して来たが、高齢社会であり、外国人を含めた他県の方々が安心受け入れられる駅であることが何より重要だ。高層駅ビルを高架の上に作るわけではない。2階層のビルの外面と、熊本駅の在来線駅舎の建て替え費用だ。この夏には、整備方針が決められるそうだが、県は、安藤事務所、市、JRとの協議において、大幅な費用削減や負担割合の調整に最大限努力する必要がある。透明性のある議論を期待している。