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2008年09月11日

「ダム中止」、蒲島知事が英断!

2008年9月11日は、熊本県にとって歴史的な日となった。計画から42年間、五木村の苦悩と共に存在してきた川辺川ダム計画を、蒲島知事は白紙撤回した。様々な立場の様々な意見を検討した上での重い決断であったと思うが、今回の英断に感謝するとともに、心から敬意を表したい。

議員となって11年目、この日を迎えられたことを感慨深く思うと同時に、心から喜んでいる。私としては、駆け出しの議員の時から、多くの流域住民の皆さんや市民運動の皆さんに、集会や勉強会に呼んで頂いたり、現地視察に同行して頂いたりと、多くの学習の機会を与えて頂いた。更には“政治は人・命”が何より重要であることを教えていただいた。本当に有り難く思っている。

今日の知事の表明を大きく頷きながら聞いていた。時折、胸が詰まる場面もあった。その判断と内容は、ぎりぎりまで幹部県職員はもとより誰にも明らかにされなかった。今朝、地元紙はトップで「ダム計画中止」と打っていたが、知事本人の言質をとったものではなかった。それほど、事前に知れることの影響と妨害を懸念してか、秘密が保持されていた。

振り返れば、今春の知事選で私が蒲島候補を応援したことで、これまで様々な皆さんに心配や不安を抱かせてしまった。私にとっても、9月までは忍苦の日々だったが、蒲島さんが川辺川ダムについて反対であることを信じて応援し、結果が明らかとなり、正直ほっとしている。

さて、知事は表明の中で、画期的なことを発言された。重要だと思う発言をいくつか列記してみたい。
①球磨川・球磨川流域は、熊本県民にとって、かけがえのない財産であり守るべき宝。
②地域独自の価値観を大切にする機運を盛り上げていくことが求められている。
③新しい河川法は、環境の整備・保全と地域の意向を重視している。
④国交省には、「ダムによらない治水」のための検討を極限まで追求することを求める。
⑤国交省は、遊水池についても既存の考えにとらわれず、土地所有形態と通常時の利用について可能性を検討すべき。
⑥穴あきダムの環境や技術的な課題について詳細な説明がない現状で、是非は判断できない。
⑦財政面でも、国交省が最大限ダムなし案での検討を行っていると住民が評価していない以上、川辺川ダム計画は認められない。
⑧五木村の振興計画についは、私自身が本部長となって、夢のある新たな計画策定に取り組む。
⑨人吉・球磨のブランド価値を高め、地域の観光資源としての価値を一層高める。
⑩川辺川ダム問題による対立を超え、結束すべき時がきた。熊本の夢に向かって、私とともに新たな一歩を踏みだそう。

2日に「白紙撤回」とした人吉市の田中市長の表明から、新たに踏み込んだ国交省への毅然とした蒲島知事の発言内容であったと評価したい。自民党県議団は、「ダムでないなら、代替案を示すべきだ」と主張するが、河川管理者である国交省にこそ、流域の民意や首長の判断に添った治水方法に全力を尽くす責任がある。ダム以外なら代替案を示せと県に求めるのはおかど違いだ。是非、知事や県民大多数の思いを、真摯に受け止め、今9月県議会に臨んでもらいたい。

応援して当選した蒲島知事に、自民党はこの問題ではフリーハンドを与えていたはずだ。間違っても不信任を突き付けることはないだろうが、むしろこの際、「熊本の夢に向かって、私とともに新たな一歩を踏みだそう」という知事の訴えに、一緒に応えていこうではないか。
知事の表明内容

2008年09月08日

口利き体質からの脱却を

昨日の川辺川ダム反対集会には、我が家は家族・親戚も参加していた。「ダムより高齢者の医療と福祉をどうにかして」と、片半身麻痺の母も夫に車いすを押してもらい参加。相良北小学校に勤務していた叔母も、足と腰の痛みを抱えながらの参加。その他、平野みどりとくらしを政治につなぐ会で案内していたため、初めてお会いする会員の方も参加されていて、私としても心強く、嬉しい機会となった。

以前にもブログで書いたが、私と川辺川とのつながりは42年ほど前(小2の頃)から始まる。前述の叔母が、毎年夏におみやげとして持ってきてくれる西瓜の香りがする鮎が何より楽しみだった。それが、「ダムが出来るからもう鮎は食べられなくなるよ」という辛い言葉にショックを受けた事を記憶している。しかし、何故かその後も毎年鮎は捕れていた。ダム工事は簡単には始まらず、何と2008年の今でも、結局本体工事は始まっていない。この事実こそが、やはりダムは不要だという証に他ならない。本当に住民の素朴なニーズから出てきた計画なら、支持を受けて進められてきたはずだ。

国交省九州地方整備局長の「ダム以外はあり得ず、それ以外なら水害を受忍してもらわなければならない」という脅しが、全国紙でも報道され、当の国交省も「不適切な発言であった」と認めるに至っている。当然だ。今回、もし蒲島知事が「ダム反対」と判断されても、今後、国交省が河川整備計画を作る中で、本気で真摯に地元の意向を汲み、現実的な対応を取る必要がある。一筋縄ではいかない省庁であることから、最終的に「地元の声が反映されないダム行政」にピリオドを打つには、来るべき総選挙で政権交代を実現し、利権と複雑に絡み合っている国交省の体質の刷新をしなければならない。

利権と言えば、県教育委員会の次長が、県内のNPO法人が発行する情報誌を、同法人の要請で高校など全県立学校に有償で購読するよう依頼文で口利きしていたことが分かったと、地元紙で報道されていた。「Hand to land」という情報誌で、今年3月、国会で社民党の福島瑞穂参議院議員が、道路特定財源の不適切な使途として指摘しており、その後、この雑誌を発行していたNPO法人は国交省からの支援が受けられなくなっていた。実は先週、私のところにもこの問題を指摘する匿名のファックスが、社民党を経由して届いており、今週から始まる9月県議会で質す予定だった。マスコミ報道が先行したが、これはこれでいいと思う。まず、多くの方々に知ってもらうことは意味がある。

さて、この“官製”情報誌を発行している法人の理事長は、これまで国交省のお先棒を担ぐ内容を掲載する代償として、発行委託費で支援してもらっていたわけだが、今度はそれがもらえなくなったからと、県教委や県に有料での購読をと泣きついてきたようだ。それを受け、この教育次長は、県立学校長にメールで購読を依頼したという。これは、口利きと言われても仕方ない厳しく問われるべき対応だ。県教委から依頼が来れば、「まあいいか、年間16,000円なら」といい顔をする校長もいなくはないだろうし、ポケットマネーならまだしも、学校現場の厳しい予算や育友会費などからの支出だとすれば、現場の反発が大きいのも当たり前だ。

私がうさん臭さを感じるのは、この情報誌を発行している法人の、行政とのこれまでの係わりだ。恐らく、教育次長まで話しが行く段階で、“県職員や元県関係者による”、一方ならない配慮が、この法人や理事長にあったのではと思われる点だ。一介のNPOや市民団体にはそっけなく、厳しい対応をするとも言われる行政だが、この手厚い対応との違いは何なのか。もちろん教育次長も、見返りを求めて手助けしようとしたわけではないだろうが、立場が立場だけに、その行動が特定の団体に便宜を図るための圧力と受け取られても仕方ない。今後、県教委だけでなく、県の組織全体で、来年度からの「口利きの文書化と情報公開」に向けて、一層厳しく取り組んでいただきたい。もちろん県議会も同様だ。

2008年09月07日

着実に広がっていくフェアトレード

新屋敷のらぶらんどエンジェルは、熊本でフェアトレードを進めてきた中心的なお店だ。私より一歳上の明石祥子さんは、フェアトレードに共感し、活動する学生たちを熊本で着実に増やし、社会に送り出してきた。親子ほど年が離れた学生たちと同じ目線で、南北格差など世の中の矛盾を共に考え、具体的な行動を起こし、県内の各大学でフェアトレードを浸透させてきた。インターンシップで年に2回学生を受け入れている私も、彼女の姿勢と地道な取組みにはたくさん学ばせていただいている。

ところで、What’s Fair Trade?
フェアトレードとは、公正な貿易。東南アジア・南米・アフリカの職人さんが環境に負荷をかけない伝統技法を活かしてつくった製品を日本や欧米と適正な価格で対等に取引するという貿易の形だ。お買い物で世界を変える!生産者も消費者も地球も、みんながhappy!・・・となる。今日は、フェアトレードスチューデントカフェ「はちどり」が、常設店を出している国際交流会館1階で、取組みの発表と、バングラディシュの生産者からのお話があった。午後から、川辺川ダム反対集会とパレードがあったため、午前中のみの参加となったが、改めてフェアトレードの人材と活動の裾野が着実に広がっていることを実感した。

もったいないとか、アジア・アフリカの貧困への認識が深まり、フェアトレードと言う言葉もマイナーではなくなっているが、大手スーパーや流通企業がフェアトレードと称して安易に展開していくことには危機感を感じると、アフリカでボランティア活動をして帰国した学生が語っていた。全く同感だ。大きな渦の中でのフェアトレードは想像できない。もちろん、生産者に消費者の好みや流行を伝え、製品を付加価値の高いものにしていく仕組みは必要で、それはできつつあるが、それはお互いのコミニケーションや信頼が崩れない規模の方が、フェアトレードらしい。フェアトレードの考え方をしっかり理解し購入する人を、一人、一人と増やしていくことの方が大切だ。

また一方、フェアトレードに関わって学生時代を過ごし、熊本の大手企業に就職した女性の、「就職して、自分たちが当たり前と思っていた地球環境やアジア・アフリカの貧困撲滅への思いが、一般にはほとんど共有されていないのだと実感した。しかし、地道に出来ることからやっていきたい」という切実な声も印象に残った。諦めることはない。既に彼女たち先駆者が道を切り開いているのだから。

今年のフェアトレードの製品カタログをもらったが、材質はもちろん気の利いたセンスの製品も女性ものを中心に満載で、早速購入を申し込もうと思っている。天然コットンの安全で安心なベビー服などもお薦めだ。皆さんもフェアトレード商品で、是非アジア・アフリカと繋がっていただきたい。

2008年09月06日

周回遅れの熊本県を変えるには

朝から川辺川ダム問題で、幾人かの人や議員と意見交換し、データのやり取りをするなど、来週11日に向けて、とにかく動きを止めずに進めている。今週末、蒲島知事も捻りはちまきで、表明文の作成にあたっておられることだろう。

さて、総選挙も近づいているようだが、今やどんな選挙にも欠かせないのが、「マニフェスト」だ。私が初めて選挙(97年の補選)に出た頃は、まだマニフェストは知られていなかった。いわゆる「公約」が、一般的に有権者との約束とされた。しかし、公約は候補者を強く拘束するものとはならず、一方、「選挙の時だけ、耳障りのいいことを言う」と有権者側からも緊張感の無い批判を受けてきた。どちらにとっても曖昧なままだった。

ところが、地方分権が進み、地方の政策力をもっと高められなければならなくなる中、財政的な裏付けを伴う、具体的な約束として、マニフェストが認識されるようになった。特に、絶対的な権限を持つ首長選挙においては、マニフェストは大きな縛りであり、首長の任期中、逐次検証され、進捗の報告がされるのが一般的となった。議員にとっても、首長ほどではないにしろ、マニフェストは重要な意味を持つ。その実現の方法においては、有権者の利益を最大限に考え、議員、会派、政党間で切磋琢磨も要るし、相互協力もいる。しかし、ここがなかなか進まないジレンマもある。

実は、私自身なかなか活動に参加できていなかったのだが、「ローカル・マニフェスト推進議員連盟」に加入している。ちなみに、本県議会の大西県議が全国の共同代表の一人だ。熊本県議会は、本格的に議員が発議し、議論を重ねた上での条例は、恥ずかしながら一本も出来ていないという、全国でも最低レベルの状況だ。条例の有無で議会のレベルは計れないという批判もあるだろうが、間違いなく大きな要素であり、現実の有り様を直視しなければならない。そんな県議会をどうやって変えていけるのか、これが10年議員活動をしてきた私の最大の課題だ。「総選挙で与野党が逆転し、その後の地方議会選挙で勢力図が変わらない限り、何を提案しても通らないし」という言い訳で自分を納得させてきたことも事実だ。しかし果たしてそれでいいのか。

さて、ローカル・マニフェストを首長選や地方議会選挙で広める旗手を務めてこられたのが、前三重県知事で早稲田大学大学院公共経営研究科教授の北川正恭さんだが、熊本にもシンポジウムや講演で何度も来られており、7日に御船町で行われるまちづくりマニフェストの取組みについて、佐賀県知事などと共にアドバイスをされるため、来熊しておられる。そこで、今日、熊本のローカル・マニフェスト議員連盟参加議員と話しがしたいということで招集がかかり、意見交換をすることになった。

私自身は、北川さんが参加しておられたシンポジウムは一度聞いたことがあり、県議・国会議員・知事を経験した北川さんならではの、地方への熱い思いが随所に現れたお話だったと記憶している。まだ面識はなかった。昨日、北川さんは「熊本は全国的にみても、県庁も県議会も旧態依然としている。地方分権時代にこれでは先が開けない。知事が替わった今がチャンス。蒲島さんは友人なので、今後とも、意見交換しアドバイスしていきたい。皆さんも、二元代表制の一翼である議会で、県民の利益を最優先にチェック機関としての役割を果たし、議員提案の条例をどんどん実現していただきたい。すべて”原案のまま可決”でいいのか」というメッセージをいただいた。ではそれをどう進めていくかについては、差し障りもありここでつまびらかにしないが、その一歩として、知事のリーダーシップにより、人事によって執行部と拮抗するほどの議会事務局の政策力を高め、議員をサポートすることが極めて重要だと指摘された。そのことにより、議員が口利きや有権者への“お世話”より、政策で勝負しようという体質に変わってきたと、三重県での実践も含めて語られた。

議員活動11年目の今、変わらない議会にある種の閉塞感を持っていた私だが、やる気に少なからず刺激をいただき、希望が湧いてきた。簡単ではないと思うが、しがらみを超えた議会のあり方を求めながら、微力だが動いていきたい。もちろん、蒲島知事には、県庁の体質や仕組みを知ることは重要だが、取り込まれることなく、改革を進めていただくことをお願いしたい。これまでと変わらず、自民党を押さえておけば安泰とばかりに、彼らの意向ばかりを気にして動いている幹部職員が多ければ、県民を見て仕事をしたいと思っている力とやる気のある職員がうかばれないし、何より県民にとっても損失だ。

2008年09月05日

川辺川ダム問題に対する民主・県民クラブの意見

本日、県議会において、知事による「川辺川ダムについての意見を聞く会」が開催されました。民主・県民クラブの意見は、代表の渡辺代表が表明しましたので、全文を掲載いたします。

<川辺川ダム問題に対する民主・県民クラブの意見>

 1966年に発表された多目的ダムとしての川辺川ダム建設計画は、もう今では存在していません。どうしてこうなったのでしょうか。それは、このダムを造る目的と必要性に、そもそも無理があったからです。
 まず利水については、本当に水を必要とする農家のニーズに基づくのではなく、無理に国営となる3,000ヘクタール以上の利水事業にするために、ウソの説明や存在しない人の同意の印鑑取りなどが明らかになり破綻しました。
 治水についても、根拠となる昭和38年から40年の人吉の水害による死傷者数が、国交省の発表は大きなウソであることが明らかになりました。
扇千景国交大臣は国会で「3年間で54名もの死者が出たからダムが必要なんです」と答弁しました。しかし球磨川の洪水による死者は、中洲に住んでおられたお年寄1人だけであり、あとは球磨川の氾濫とは関係のない、土砂崩れや家屋倒壊などによるものでした。その後の42年間においても、球磨川の氾濫による死者は1人も出ていません。更に国交省が示すダム建設の根拠となる資料やデータが、いかに信憑性が無いかが明らかになったのが、9回に亘る住民討論集会でした。
 その結果として、国交省が川辺川ダムの必要性を県民に納得させることが出来なかったことは、今年3月の熊日新聞の世論調査で賛成16.6%、反対が58.4%であったことからも明らかです。
 それでも今回急に「穴あきダム」まで持ち出して、なりふり構わずダム建設を押し進めようとする国交省の姿勢は異様と言う他ありません。
 先週知事に対し、国交省九州整備局長は「ダムを建設しない場合は流域住民に水害を受忍して頂かざるを得ない」と発言されたそうです。
 「人吉市民の生命・財産を守るためなら何でもします」と言うべき国交省が「ダムを造らないならあとは知りませんよ」と言ったのは、正に「ダムを造ることが目的なのです」と表明したに等しいと思います。
 こうした官僚支配がこの国をおかしくしてしまいました。
 川辺川ダム問題は、もはや一地方の問題ではありません。こうした中央集権、官僚支配による霞ヶ関で作り上げられる公共事業の弊害が全国到る所で噴出し、そのことを地方から正すことが出来るのかどうかが問われる象徴的な問題として全国から注目されているのです。
 地方分権推進法で国と地方は対等になったはずです。官僚の恫喝に屈することなく、184万県民の代表として勇気を持って判断して頂き、本当の民主主義の姿を熊本から全国に発信して頂きたいと思います。
 さて、私共は3年前に「ダムによらない治水・利水を考える県議の会」を結成しました。 選択肢として、本当にダムしかないのか、ダムで洪水が防げるのかという思いで、調査や学習会を重ねて参りました。
 国交省がダムの必要性と規模の根拠として金科玉条の如く言い続けてきたのが、80年に一度という確率で、2日間雨量が440㍉あれば、人吉市に毎秒7,000㌧の水が流れ、計画流量は4,000㌧しかないから3,000㌧をダムでカットしなければ、人吉市の堤防から水があふれてしまうというものでした。
 しかし、その想定雨量と同等、又はそれ以上の大雨が、71年、72年、82年、93年、95年、97年、04年、05年と8度も降っていますが、一度も人吉市の堤防を水が超えたことはありません。95年7月3日と4日の2日間では、500㍉を超える大雨でしたが、人吉市地点で毎秒3,759㌧と計画高水流量を大きく下回っています。反対に過去最大の洪水と言われた82年7月25日には、毎秒4,000㌧しか流せないはずの人吉地点で、毎秒5,400㌧の水が堤防に1メートルの余裕をもって流れています。
 多くの専門家が指摘しているように、基本高水流量毎秒7,000㌧というのは、あれだけの規模のダムを造りたいがための机上の空論だと言わざるを得ません。その後、検討小委員会においては、40年間言い続けてきた2日間雨量を急に12時間雨量に変えたり、基本となる数値がコロコロ変わるなど、国交省の主張はますます信頼性を欠くものとなっています。
 
 さて、知事の決断の2週間前になって国交省は唐突に穴あきダムまで持ち出してきましたが、穴あきダムも含めて本当にダムで洪水を防げるのでしょうか。
 森林の保水力は大きなものがありますが、それでもスポンジが満タン状態になったら、あとはそんなに期待できません。ダムも一緒です。ダム湖の洪水調節容量の8割に達した時点で洪水調節は不能となり、ダム湖への流入量はそのまま放流量となります。ですから毎秒3,000㌧の水をカットすると言っても、それが出来るのは4~5時間程度です。それ以降は何の役にも立たないばかりか、危険度は増すばかりです。
 更に近年、地球温暖化による異常気象が顕著になってきました。
 今年6月以降、全国51ヶ所で観測史上最多の1時間雨量が記録されています。先週も愛知県岡崎市では1時間に146㍉というゲリラ豪雨が生じています。こうした異常気象による豪雨は、スーパーコンピューターを使っても予測することは難しいと、気象庁の専門官が言っておられます。
 穴あきダムを造っても、予測のつかない豪雨に対し、誰が適格にゲートの開閉を指示できるのでしょうか。むしろ危険度は増します。これ迄にも県営氷川ダムにおいて、大雨が来そうだからと貯水量を減らしたり、干ばつになりそうだから増やしたりと水量調節をやられていますが、予測が当たらずに殆んど空振りに終わったと聞いています。異常気象時代に入った今日では、ダムによる洪水調節は不可能だと思います。
 私共は球磨川流域の治水対策については、堆積土砂の撤去、堤防の強化、遊水地の整備、森林整備の強化など、地元業者で可能な事業を総合的に推進することで、十分可能であると考えます。新たな河川法の精神や「これからは洪水と共存する治水対策が望ましい」とする河川審議会の提言の方向で情報伝達体制、避難警戒体制の強化などソフト面も含めて、国、県、地元が一体となった治水対策を推進していくべきだと思います。
 
 次に県の財政上からの視点で意見を申し上げます。
 厳しい財政状況は皆様ご存知のとおりですが、ダム建設となれば県の持出しは、本体建設に約350億円、維持費に何と毎年4億9,000万円の支出となります。これまでの経緯からしても更に増えていくと思われますが、この負担が今後更に厳しくなる県財政にどれ位大きな影響を及ぼすのでしょうか。
 球磨川流域の住民の生命と財産は何ものにも替え難いものです。しかし、県が守らなければならない県民の生命と財産は他にもまだ沢山あることも事実です。
この10年間で土砂災害発生件数は370ヶ所、死者20人となっています。
 この他、不知火高潮災害等を合わせた自然災害による死者は39人、負傷者は516人となっています。早急に整備すべき土石流危険渓流のランク1の箇所は2,120ヶ所、急傾斜が3,552ヶ所もあります。この他耐震強化されていない小中高校の校舎は1,200棟余りあります。
 限られた財政の中で、優先順位については厳しく客観的に判断すべきだと思います。

 最後に、長きに亘り対立してきた県政の課題に、9月11日をもって終止符を打ち、みんなで未来指向の熊本県政にしていきたいという思いを申し上げます。
 「行政が一旦決めた事業を見直すことは難しい」「言っても変わらないから長いものには巻かれておこう」という風潮が強い中で、利水訴訟を闘った農家の皆さん、ダム代替案を発表した民間団体の皆さん、9回に亘る大規模な住民討論集会で膨大な資料と財政力を持つ国交省と闘い抜いた住民団体の皆さんの存在を忘れてはなりません。不毛の対立だと言われる方もいますが私共は決してそうではなかったと思います。
 こうした農民・住民の闘いのお陰で、私共は長いものに巻かれてしまっていた目を覚まし、立ち止まって考え直すことができました。ベールに包まれていた国交省や農水省のやり方や計画のズサンさを白日のものにすることができました。
 住民の力は偉大です。住民の声に耳を傾けてやっていく、これが地方自治の本旨だと思います。
 9月11日には、国、県、住民が力を合わせて、ダムによらない治水のあり方を追求していく道を選択されることを望みます。又、40年余に亘りダム問題に翻弄されてきた、五木村・相良村の振興については国、県の責任で持段の振興策を推進すべきであることを強く訴えて、民主・県民クラブの意見を終わります。
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【補足】9月5日付けの東京新聞の社説(中日新聞と同じ)で川辺川ダム問題が取り上げられています。

2008年09月04日

意中の人、姜尚中さん”当選”で一安心

蒲島知事が公約で上げていた熊本県戦略会議が、「くまもと未来会議」と称して発足されることとなった。そして、この会議において、熊本の将来像や可能性を話し合うメンバーが昨日発表された。とにかく、私の意中の人、姜尚中さんがメンバーとなったことが何より嬉しい。機会あるごとに色々な人に、「姜尚中さんは絶対欠かせない」と言い続けてきただけに、ほっとした。ジェンダーバランス的には、7人のメンバーの中で板東真理子さん一人が女性であるのは残念だが、板東さんは何人分もの女性の思いを代弁してくれる方だと思うので、ここはまあ許そう。

委員の方々は、決して肩書きで選ばれたわけではないだろうから、それぞれの見識を活かしながら、全国的な視点、全九州的な視点で、熊本に対してズバズバと発言し、提案していただきたい。それにしても、政権交代で政府を変えて、特別会計の全容を明らかにし、巧みに構築された天下りシステムを打破するなどしない限り、地方への税財源委譲が実現せず、夢や未来を展望できる状況ではないと冷めた声も聞こえなくはないが、来年から毎年60億円の財源不足が見込まれている熊本県の厳しい現実も受け止めて頂きながらも、委員の皆さんには新たな視点で可能性への道を模索していただきたい。

ところで、委員の姜尚中さんの新書「悩む力」は、この夏ベストセラーとなった。とても読みやすいので、若者に是非読んでもらいたい。悩むことは悪いことではなく、悩むことを自分の中に取り込んで、情況を俯瞰してみる力を培っていくことが大切なのだというメッセージを頂いた。本の中でマックス・ウェーバーと共に引用されていた夏目漱石が、姜さん自身が育った熊本市黒髪にある旧第五高等学校(現、熊本大学)で教鞭をとっていたというのも、何かの因縁であったのだろう。

悩みに取り込まれて病的になっては困るが、私も齢(半世紀!)を重ねながら、切り替えるスイッチの操作もうまくなっており、自分を俯瞰して見る力もついてきたようなので、これからも姜さんのように悩み、迷いながら自分と向き合っていこうと思う。

2008年09月03日

映画「靖国」を見て

政局が一気に慌ただしくなってきた。安倍氏に続き福田総理も突如の辞任を表明し、次の新しい首相の下、即、解散総選挙となりそうな情勢だ。それにしても、日本のトップがコロコロ変わることには国民も世界も慣れっ子なので、激震が走るというほどのことではないようだが、こんなふうに日本の政治が動くから、官僚の不動の実質的優位性が揺るがず、天下りや利権など不正が後を絶たない状況が続くのだとつくづく思う。個人的には、火中の栗を拾うような就任だった福田首相誕生だったので、気の毒な気もする。

今回の総選挙は、前回議席を取りすぎたこともあり、確実に自民党が議席を減らすと言われている。折からの与党批判に乗って、民主党が過半数に達するか、そうでなければどんな連立が生まれるのか、外野的には楽しみではある。原油高や物価高騰、様々な弱者ターゲットの医療・福祉制度改正など、いくらポピュリズムに弱い国民でもここまで極限に追い込まれれば、今回どんな判断をすべきかわかるはずだ。地方議員としては、自民党が首を誰に変えようが、もうごまかしは利かないほど政治システムが破綻していることを含め、しっかり訴えていきたい。若い有権者層も、決してアキバ系の某首相候補に惑わされないように!

私が福田首相に少しばかりシンパシーを感じる点としては、政界のウルトラナショナリズム派に距離を置いているところだ。そして、アジア諸国の神経を逆撫でするような言動もなく、友好関係構築に努めようとしているところだった。靖国神社にも当然ながら参拝していない。

実は先日、物議を醸した映画「靖国」を見た。この手の映画にしては、結構人が入っていた。観客は、靖国肯定派も否定派も、どちらでも無い人もいただろう。右派国会議員からの圧力など一騒動あったが、もしあれがなかったら、左派からの上映禁止をという動きもあり得たかもしれない。それほど、中国人の李纓監督は淡々と事実をカメラに収めていて、そこには恣意的な誘導は感じられなかった。

しかしながら、私としては、人々のメンタリティーを非日常である戦争へと変容させていくバックボーンに、宗教がいかに大きな役割を果たしたか、言い換えれば、為政者と結びついて、天皇を現人神と祭り上げ、その勢力をいかに拡大していったかを改めて学ぶきっかけとなった。「戦争はいかん」とつぶやきながらも、戦争遂行のための装置だった靖国神社のご神体である「靖国刀」を、今もこつこつと鋳造し続ける職人の姿には、正直、不合理を感じた。ただそれでも、彼も含め、どんな立場の人にとっても、先の大戦をどう評価するかの如何にかかわらず、結局、「戦争はいかん」という思いは少なからず共有されているのだろうなとも思った。

そうは言っても、靖国神社については、A級戦犯の合祀問題(昭和天皇ですらA戦犯合祀後は参拝していない)、台湾や朝鮮半島出身で日本兵として戦場に散った外国人の合祀問題など、遺族の思い、当時は表せなかった本人の思いなどをくみ取った政治判断が必要であることは言うまでもない。戦後、政治と宗教が切り離され、もはや国策の神社ではない。難題を抱え、短命に終わらざるを得なかった福田首相には無理だったが、解決できていない靖国の諸問題にピリオドを打ち、日本がアジアにおいて、欧州におけるドイツのような位置に立てるような日が来るように、タブーを恐れず踏み込んだ判断をするリーダーを待ち望んでいる。

2008年09月02日

二人の首長の英断に続こう!

あの連日の酷暑がうそのように、秋の気配を感じる晩夏が続いている。とはいっても、立秋や処暑はとうに過ぎて暦は9月に。8月にオリンピックがあったせいか、今年は夏の終わりは早かった気がする。そうそう、私もご多分にもれず、女子ソフトボールの上野投手の3試合の力投に涙した。危機を跳ね返すあの沈着冷静さは男性、女性を超えている。いやー、思い出しただけでも胸が熱くなる。

さて、9月11日が近づいている。川辺川ダムについて蒲島知事が判断を明らかにする日だ。相良村の徳田村長の「ダムは容認できない」という表明に続き、今日は、人吉市の田中市長も「白紙撤回すべき」と9月市議会の姿勢方針で表明された。その格調高く、多角的に深く考察した内容を読み進めがら、正直驚き、感動した。ダム反対と訴えてきた者としては、難しい地域事情の中でのお二人の判断に、心から感謝と敬意を表したい。流域住民の皆さんも反対運動を地道に続けてこられた皆さんも、私同様大きな勇気を得られたことだろう。11日にも、実りの秋に相応しい、熊本の未来が切り開ける知事の判断が求められている。

知事がダムについて判断をするのは9月と誰もがわかっていたわけだが、当選以来、荒瀬ダム問題も含め、会見等で知事が発言される度にハラハラし、時には肩をがっくり落としてきた。「知事はダム容認派だ」、「流域の思いがわかっていない」、「環境の常識が足りない」という声があちこちで聞かれたのもやむを得ない。正直、こんな事態は予想を超えていた。知事選で蒲島知事を応援した私には、意見するというより罵倒するような電話がかかってきたり、空々しい人の態度に出くわしたりと、いささか暑さが倍増した夏だった。

そんな中、荒瀬ダム問題の学習会、川辺川ダム集会、会派勉強会、視察等に参加したりしながら、今更ながら時代はダムを求めていないこと、これまでダムに翻弄される中で失われた資産がいかに大きかったかを痛感させられた。漁業生産高もそうだが、観光収入、人的資源、地域力等々だ。今後リーダーに課せられる宿題は、それらを取り戻し、更に付加価値をつけていくための舵取りだ。ダムという呪縛からの解放こそが重要だ。

そもそも今春の知事選では、5人の候補者のうち4人が反対の立場、蒲島候補は中立で9月に判断するという立場をとった。結果は、蒲島知事誕生となったが、たとえ自民党シンパの人であっても、蒲島候補に投票した人の多くは、熊本県に川辺川ダムは要らないという思いを共有していた。ましてや、無党派はほぼ100%反対だっただろう。すなわち、知事選の時点で、既にダム事業推進は頓挫しており、争点ではなかった。ところがこの間の数々の知事発言の過程で、「もしやダムも有りか?」と、意気消沈だった推進派の元気を取り戻させてしまった感もある。残された時間、知事には、流域住民はもちろん、184万県民の総意がどこにあるのか、賢明な分析をお願いしたい。

有識者会議の報告書については、新聞各社でも評価の仕方にズレがあり、そのことが知事の判断についての県民の推測に混乱を与えてきた。「知事は一体どっちなんですか?」と率直な問い合わせが私にも寄せられる。たった2回しか傍聴していない私には、この会議の評価は難しいというのが正直なところだ。ただ、発言もなく座っているだけの委員もいる多くの審議会などを傍聴した経験からすれば、県側からの説明時間が多くを占めていたとはいえ、委員の皆が必ず発言する委員会は新鮮ではあった。ましてや、始めからはっきりわかるダム派の委員は一人で、この少なさ故に、ダムを全面否定しない結論になったにせよ、最後まで彼らに席巻されなかった要因ではないかと思う。

現ダム計画が破綻していることが自明の理である中、本来は財政面や行政学的な議論や考察がもっと加えられるべきだったし、最後にお茶を濁した程度で終わり、極めて残念だった。結局、すべての全8回に参加した蒲島知事にとっては、フィールドワークも含め、喧噪を離れ、学習する時間がとれてよかったということだろう。もっともその”授業料(経費)”は、県民のそろばん感覚からすると高すぎると言われても仕方がない。

様々な関係者から意見を聴き、一定の学習は終え、残すは5日の県議会での意見聴取だ。民主・県民クラブは代表の渡辺県議が意見を表明する。目下、会派で内容の確認中だ。そして、意見聴取後の11日に、知事はその”成果”を発表することになる。ただ、それが熊本の再出発として誇りを持って発信できるニュースとなり、全国を駆け巡ることができるか、あるいは、県民を落胆と失望へとおとしいれ閉塞感を増幅させるかは、すべて11日の内容次第だ。その結果如何では、知事の求心力に深刻な影響が及び、今後他の施策を進める際も、県民の賛同が容易に得られない事態も懸念される。そんな事態に陥らないためにも、賢明な判断をと切に願う。

人吉市長の姿勢方針演説です。


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