県の不正経理はシステムの問題 [みどり日記]
本日、熊本県、県教委、県警の不正経理問題の実態が、調査の結果、明らかになった。総額1億円を超える額に及んだ。蒲島知事が就任してから、「裏金はないですね」と念を押したものの、出てこなかった経緯があるが、やはりあった。職員の中に長年引き継がれてきた「遣り繰りシステム」を、不正であるとかまずいとか思う感覚が、そもそもなかったのかもしれない。あるいは、自分自身のみならず他人や組織全体に影響が及ぶことを考えると、とても口に出せないということだったのかもしれない。昨年末、自然保護課での不正経理が発覚して、知事が厳しい処分に言及して初めて、本気で県職員も実態の申し出に応じた形だ。
議会人としても、チェックできなかった点に対して、県民の皆さんに率直にお詫びしなければならない。ただ、これまでも議会で何度も議員が質問してきたが、歴代知事は「裏金はない」と言い切って、厳しく調べようとしなかった点は、指摘しておきたい。職員を信じきっていたか、パンドラの箱を開けたくなかったかだろう。
さて、これまでの不正経理はどうしておこったのだろうか。紙一枚、鉛筆一本も税金であり、大事に使うことは当然なのだが、必要な物を必要な時にタイムリーに判断し、購入できる仕組みがないため、遣り繰りに走らせた点もなかっただろうか。時間がかつてより速く過ぎる今、政策判断も企画も執行も、スピーディーに進め、県民ニーズに対応しなくてはならない。物品購入システムの硬直化は要検討だ。
更に、誰もが指摘し、議員としても実感しているが、単年度主義予算のあり方も問題性を孕んでいる。国の事業費は、当然他の事業には使えないが、その事業を担当職員は、県事業も含め複数持って、同時進行させている場合が多い。その際、事務費で購入されるペンなどの備品を、「このペンはこの事業の書類作成にしか使えない」などということは、実態におよそ合うものではない。国の事業、県の事業という線引きは、現実的には難しいようだ。
そこで、「予算執行残となって、次年度の事業予算の縮小につながってしまうし、事業の性質に関係なく使われる備品なのだから、この残金で購入しておこう」ということが起こったのだろう。好ましいことでないことはわかるが、現場の苦しさも幾分理解できる。「つけかえ」や業者への「預け」などが起こる仕組みはこんな事情から作られてきた。
だとすれば、これは自治体だけの問題ではない。国の単年度予算主義の見直しも含めて、地方が地方の実情にあったやり方で、執行できる体制作りこそが重要ではないか。自治体においても、経費節減が奨励され、評価されるような仕組みを作るべきだ。不安を持ちながら、執行残をつけかえたり、預けたりしなくていいように、再発防止への真摯な取り組みが重要だ。
不況の今、県民の行政への目は一層厳しい。しかし、まじめに県民サービスの向上に取り組んでいる職員も決して少なくない。むしろ大半だ。県は”悪の権化”ではないはずで、これまでの仕組みが不正を作る余地を与えてきたこと、新しい仕組み作りに取り組むことが何より大事であることを、マスコミも冷静に報道していただきたい。もちろん、明らかな私的流用は厳正な処分の対象になるが、たまたま庶務等の担当でつけかえや預けに拘わった職員などは、むしろ気の毒であり、知事には温情ある対応をお願いしたい。ところで、県警については、一件だったとのことだが、本当にこれがすべてなのだろうか。あまりの差に首を傾げてしまうのだが。