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阿久根市訪問起 [みどり日記]

12月18日早朝、車いすで活動する熊本市議の村上博さんと私は、県立大学の学生2人とともに、熊本駅からJR、新幹線、おれんじ鉄道を乗り継ぎ、鹿児島県阿久根市に向かった。JRのリレーつばめには大牟田から、大牟田市議の古庄和秀さんも同乗していた。彼もまた脳性麻痺という障害を持っている仲間で、私たち3人は、全国組織「障害者の政治参加をすすめるネットワーク」の九州ブロックの議員として活動している。この日のことは、既に報道各社によって伝えられているが、今、全国的に物議を醸している阿久根市の竹原市長のブログ問題で、ご本人の真意と障害者問題への認識を確かめるための行動だった。

これまで再三に亘り市長に面会を求めても、「一切対応できない」、「文書も受け取らない」との秘書課からのけんもほろろの対応だった。そこで市長が必ずおられる阿久根市議会の最終日である18日に訪問することにした。市議会の協力で何とか市庁舎に入り、モニターで議場での議事を傍聴することができた。ちなみに、市長への問責決議は、鹿児島県議会のように全会一致とはならなかったが、11:4で可決された。(定数16,議長票は除く)しかし、市長の議会軽視は甚だしく、全く意に介さない様子だった。

出入りに待機していた私たちのうちの村上市議の「市長!私たちの話を聞いてください!!」という直談判に反応してか、マスコミをシャットアウトしてなら面会に応じるということになり、閉会後に30分ほど、私たち3人と市長は、学生2人の同席のもと、意見交換に入った。

いきなり、笑みをうかべて握手を求めてくる市長に、私たちは少々違和感を覚えながら、大人同士丁寧に対応し、問題の指摘に入っていった。しかし、竹原市長は、どんなにこちらが歩み寄って、言い聞かせるように接ししても、議論が噛み合うことはなかった。人間観、死生観、国家観が私たちとは根本的に違っているなと、感じざるをえなかった。

市長の主張は、「あのブログの全体を読めば、差別ではないことはあかるはず。高度医療が行き過ぎていることを指摘している。差別しているつもりはない」と。

私たちは、「一部の高度医療が、多額の予算によって技術の追求に走っているという指摘は間違いとは言わない。むしろ、不足している産科医や小児科医あるいはホームドクターを増やしていかなければならない。しかし、高度医療の支援を受けて生きている人の生を否定するのはどうか。医療的ケアの必要な障害を持った子どもの親や当事者はいたたまれない。いくら傷つけるつもりはない、差別するつもりはないと言っても、現にあなたのブログで傷ついた人たちがいる。その事実に向き合うべきではないか」と切り返しても、暖簾に腕押し。

面会の最後に、市長はブログでの記述については「修正は考える」と述べ、現在は「修正中」となっているが、「謝罪はしない」、「差別はしてはいないし、マスコミが煽った。誤解だ」と言い張り続けている。

残念なことに、私たちが訪問した2日後、福岡での民間会社の講演でも、障害のある子どもを持つ親の大変さに言及し、「社会をつくることは命の部分に踏み込まないとだめ」、「枝の先が腐れば切り落とさないといけない」、「切り込む作業をしないと全体が死ぬ」など、臆面もなく発言し、エスカレートしている。

なぜあのような人が市長になれたのか。それは、阿久根という町の事情も少なからずあるのかもしれない。九州新幹線開通時に、JR九州は、鹿児島本線を切り捨てた。そのため、鹿児島県・熊本県で、新八代-鹿児島間の鹿児島本線を、おれんじ鉄道という第三セクターとして残したが、以前は、急行も止まっていた阿久根駅に、今では、おれんじ鉄道のディーゼル車が日中は1時間に一本だ。駅前は、シャッター街で、駅構内に売店すらなく、近隣の出水市や川内市に新幹線が止まるのとは対照的で心が痛んだ。私も熊本県議会の交通対策特別委員会でこの問題に関わった時期があったが、阿久根市が交通の利便性から取り残されるのではと、議論になったことを記憶している。そういう意味で、遠因として、国策としての交通政策という点で、政治の責任もあると感じる。

これといった企業も無く、水産業も、観光(夏は海水浴客が集まっていました)も振るわないと現地の記者が言っていた。市民からすれば安定した市職員に、不満が向かっていたのかもしれない。竹原市長のような人が、市民の不満を”代弁”して当選した理由も想像できる。もちろん、公務員側にも、時代に合ったサービス提供側としての意識改革は必要だが、市長の公務員への敵愾心や嫌悪感は度を超えている。市長は職員懲戒免職の件で、議会から不信任を受けて、議会を解散したが、僅差でまた再選されたばかりだ。

ただ、鹿児島県議会に続き、阿久根市議会でも竹原市長への問責決議が可決されており、ここにきて、あまりに弱い立場の人への認識がひどいということで、市民の中にも問題視する人が増えていると聞く。とにかく、市民の命を預かるどころか、優性思想により人間を選別する市長に同調するような空気が、日本に蔓延しないよう、厳しい困難な時代であるからこそ、私たち全国の当事者議員は、今後も賛同者とともに、警戒し取り組んでいきたい。


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