養護学校の分教室設置②(ろう学校) [みどり日記]
昨年度、熊本県県立特別支援学校教育整備推進協議会において、学校関係者、行政関係者、障害のある当事者、保護者、専門家等によって、今後の支援学校のあり方について議論が進められてきた。私も何度か傍聴した。県教委の説明によると、「熊本養護学校での重度心身障害児の緊急時の医療的ケアが、同校内では不十分であり、危険と隣り合わせであるため、施設整備が必要である」こと等々が、整備協議会の中で議論された。た。
また、議論の中では、熊本市東町にある盲学校とろう学校の生徒数は減る一方、「知的障害の子どもたちが年々増えてきていて、養護学校高等部への入学者に施設が対応できなくなっており、特に熊本市や周辺での施設整備が急務である」ことも指摘されている。もちろん、盲学校、ろう学校の生徒は「情報保障」という意味で他の障害と異なる点、特にろう教育、ろう文化は、「日本語ではなく言語としての手話」により、継承されていく必要があることなども、ろう者福祉協会の委員から指摘されていた。
ここで、当初から私が疑問に感じていたのは、そもそもハード面の整備だけでの協議会で収めるこには無理があるという点だ。むしろ、これからの熊本県の障害児教育のあり方そのものを、時代や世界の潮流を意識しながら、ソフト面・ハード面双方から段階的に整備していかなければならず、その議論の末に、どこで、誰と、どう何をどう学んでいくかが描き出されていくのではないだろうか。そのための整備協議会であってほしかったが、今回の整備協議会は「居場所の確保」が主眼に置かれた感がある。今必要なのは、市町村教育委員会との連携の下、県が主体となって「障害のある子ども等、支援の必要な子どもの教育についての総合的計画」だ。
残年ながらハード面のみの整備にはなるものの、その整備も必要であることは確かで、整備協議会での議論を受けて、県教委はこの秋から計画を立てていくことになると聞いていた。ところが、6月定例県議会に提出されたのが、昨日の分教室設置の予算案だった。特に、熊本市内の来年度の高等部枠で、行き場が無い知的障害の子どもが20人ほど出そうだと説明を受けた。その分を、ろう学校の校舎の中に設置したいという予算案だ。
これにはろうの生徒や卒業生(ろう者協会)、保護者のみならず、私も驚いた。確かに、ピーク時の400人規模の生徒数から現在は70人ほどと、ろう学校に在籍する生徒は減ってきている。しかし、国連障害者権利条約の中でも、ろう文化やろう教育、手話言語は、日本語(母国語)と異なるコミュニケーションの分野であることとして、尊重されてきている。そのことの重みは、十分認識されなければならないはずだ。
整備協議会を受けての計画が立てられていなうちに、ろう文化を軽視したとも言わざるを得ない今回の分教室設置は拙速ではないだろうか。ろう者の皆さんが健聴者が大多数の社会の中で、十分かつ丁寧な情報提供の下に、今回の分教室設置を受け入れろといきなり言われても、様々な不安(情報が無い中での)が大きくなるのは当然だ。県教委の認識の低さと配慮の無さを指摘されても仕方ない。
今議会で、一般質問、それから文教治安委員会(私も委員)で、これから議論されるが、ろう学校の分教室設置については、簡単に予算を通せる状況だとはとても言い難い。