ろう学校分教室設置を議論 [みどり日記]
私は今年度、文教治安委員会の所属しているが、本日の委員会では、この6月定例県議会に提案された熊本養護学校分教室をろう学校の校舎の一部に設置する補正予算案について、かなりの時間を費やして審議した。昨日までに、私たち県議の手元(自宅に郵送されてきた)には、ろう学校の保護者やろう者協会の役員や会員の方等からの「分教室の拙速な設置は見直してほしい」旨の要望書が届けられていた。私は、今回の分教室設置は、甲佐高校・芦北高校については大賛成ながら、ろう学校については、まだ十分な理解が得られておらず、拙速感は否めないという立場で議論した。
熊本養護学校の過密状態については、何度も現場を視察して実情は知っているので、何とか解消していきたいと思う。ただ今回の分教室設置はあくまでも、“過密化”を解消するのではなく、県教委が二桁になると予想する、養護学校高等部を希望する熊本市内の生徒の受け皿を作ることだ。それなら、委員会でも指摘したが、熊養の緊急時も含め医療的ケアの必要な生徒の居場所を、熊養以外に一日も早く作る方が先で(緊急医療対応が出来ずに、これまでに亡くなった生徒がいる)、そのことによって空いたスペースに知的障害の生徒の教室を新たに設置することができる。
委員会でも懸念されていたが、今回の問題を決して聴覚障害vs知的障害という対立の構図にだけはしてはならない。ただ以前も書いたが、日本語を言語とする私たちと、手話を言語とする聴覚障害の皆さんでは、根本的に言語あるいはコミユニケーションの手法が違い、想像以上に情報格差が生じてしまうのだ。県教委は、「再三説明会を開催し、不安解消に努力している。説明後は理解していただいているようだ」と答弁するが、理解し受け入れる意思を確認する段階で、双方の温度差やギャップがまだ大きいということだ。それだけ、時間をかけてプロセスを踏んで進めるべきプロジェクトだったのだ。
様々な点から議論した後、予算案についての採決が行われた。私はろう学校への分教室設置についての予算には反対した。私以外の委員は全員賛成だった。採決後、賛成多数で予算が通ってしまうのならということで、委員会での「附帯決議」を提案した。内容は、
「熊本養護学校の分教室設置については、県立熊本聾学校関係者の十分な理解が得られていないことから、県立熊本聾学校での教育環境の保障に配慮するとともに、関係者の不安を解消し、十分な理解を得られるよう今後も関係者間で協議しながら、丁寧に進めること」
しかし結局、無所属改革クラブの早田順一県議のみ賛成で、残年ながら否決された。
県教委は、熊本県では「ろう学校」の校名は変えず(大分県は特別支援学校と名称を変える)、今後のあり方を検討する場を作り、今の時代に合った情報コースの創設などを議論し、ろう言語やろう教育を守っていくと言う。ろう者の皆さんは、この間のやり方から、にわかに信じられないと思われるだろうが、山本教育長の言葉に、「その場を凌ぐための嘘やまやかし」はないと思う。予算案が可決される見通しとなった今後は、県教委の今後の対応にしっかり目を向けて、問題がある場合は速やかに是正を求めていきたいと思う。