知的障害の生徒、高校へ-大阪の取組み [みどり日記]
昨日(19日)の午後は、県教育会館での高教組主催のスプリング・セミナー(って、もう初夏ですが)に参加し、先生方とともに貴重な学びの時間を過ごした。この日の基調講演では、大阪府阿武野高校の平野恵司教諭から、当校の生徒と自立支援コースに在籍する知的障害のある生徒との、「共に学び、共に生きる」という視点での関わりについて、貴重なお話を伺った。
大阪府では、知的障害のある生徒は特別支援学校だけでなく、こういった一般の高校の中に設置された自立支援コースで学んでいる。平成18年度からスタートした。可能な限り通常学級での授業も共有させている。県と国による加配教員の配置の他、大学院生による学習サポーターも配置するなど、教員養成機関とも連携している。
平野先生は主に、一般の生徒が知的障害のある生徒との関わりでどう変わっていったか、あるいは進路にどう影響しているかなど、興味深い報告をされた。中学時不登校であった生徒、自信を失っていた生徒が、知的な障害をもつ生徒や多様な人との出会いによって、学ぶことに前向きになって進学を果たしたり、新たな価値観を形成していって福祉の分野で専門家になったりというケースも紹介された。
ただ、当の知的障害のある生徒たちの変化やあるいは卒業後の自立や就労を目指した、具体的な支援の取組みについては、別の先生方が担当しておられるそうで、今回はその点についてのお話が聞けなかったのは、少し残念だった。今後も機会を作って、大阪の仕組みや効果について調べていきたいと思う。
障害のある生徒と共に過ごすことで、障害のない子どもたちが変わっていったという話をよく聞く。当然の変化だと思うし、それこそがインクルーシブ教育の産物だ。ただ、障害のある子どもが、障害のない子どもたちの学びの“教材”になってはいないかというケースもままみられる。こんな点にも注意しなくてはならない。双方にとっての丁寧な支援と学びの工夫を、教える側は用意していく必要がある。
さて、基調講演の後の分科会では、養護学校分教室が設置される甲佐高校や芦北高校や各養護学校の教職員の皆さんから、今回の補正予算による分教室設置とその前後の現場の現状についてのお話があり、その後意見交換があった。県教委はあくまで、「養護学校の分教室を置くだけで、高校とはまったく別。体育施設等は共有するが、きちんと時間を割り振る」等々、何だか、「反発が出ないよう、現状はできるだけ変えない」とでも言わんばかりに、過度に警戒している感がある。
現場の先生方から出てくる意見はむしろ、「一緒の空間にいるのだから、お互いが知り合い、学び合う機会はむしろ作るべきだ。『何かあったら』ではなく、色々あるだろうが、高校と養護学校の教員同士も、事前にも、日常的にも連携して、対応の仕方を含め学んでいくべきだ。そのためには、担当者を決めて一部の人で準備をするのではなく、まずは校内全体で色々な意見やアイディアを出して、取り組む必要がある。県教委も、現場全体での設置に向けての議論を促して欲しい」とのことだった。
現場の職員は、突然知らされて、まだ情報も無く、考える素材がないようだが、決して否定的でなく概ね歓迎しておられる。恐らく、甲佐、芦北の両高校に在籍している、支援の必要な生徒についても、養護学校の職員とも相談し合って取り組みたいという現実があるのだろう。杓子定規な取組みでなく、分教室の生徒と高校の生徒の、同じ世代の仲間として支え合える関係作りを、現場の先生方には支援していっていただきたい。